取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

映画『ゆれる人魚』

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STORY

 1980年代のポーランドワルシャワで、人間たちを捕食して生きる美しい人魚姉妹は海からあがりナイトクラブにたどりつく。ストリップやライヴ演奏を披露する大人の社交場で、ふたりは得意のダンスと歌を披露し、すぐにスターになる。そんななか、姉シルバーはベーシストの青年ミーテクと恋に落ちる。初めての恋に浮かれるシルバーだが、妹ゴールデンは、そんな姉を複雑な眼差しで見つめていた。人魚にとって、人間の男は“餌”でしかないからだ。やがてふたりの間に生じた緊張感は限界に達し、残虐で血なまぐさい行為へと彼女たちを駆り立てる……。

映画「ゆれる人魚」オフィシャルサイト

REVIEW

 先週から引き続き少女が人肉を食べる話を観てしまった。

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っていうか人魚姫の話ってこんなにも無茶苦茶だったっけ?って言うくらい謎な描写が多かったけど、それさえ「アイディアの洪水」だと思えれば音楽にビジュアルにめちゃくちゃお洒落で心が潤う作品だった。でも『人魚姫』ってもうちょっと切ない話だった気がするんだよな。話の大筋は変わってないから切ないのは切ないんだけど、それ以上に差し込まれるトンデモ展開になんの意味があったのかな(ブドウ糖の点滴のあたりが最もモヤった)って考えちゃってもう。意味があるのかも知れないけど意味ありげ過ぎて考えたくないみたいな意地が出てきてしまった。へんてこな映画だよ。10年くらいしてカルト映画の仲間入りするよ。

音楽の使い方とか、画面の色気とかがどことなくグザヴィエ・ドランの作品に似ていた。荒削りだけどアイディアに溢れていて、今後の作品が楽しみな監督。

参考記事

i-d.vice.com

realsound.jp

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bunshun.jp


OFFICE SHIKA PRODUCE『おたまじゃくし』

shika564.com

REVIEW

舞台は住民をなくした文化住宅。売れないメタルバンドでボーカルを務める小森憲一(鈴木裕樹)はなくなった父親の遺品を片付けながら、父親と自分の過去を思い返し、と同時に「精子無力症」である自分を受け入れられずにいた。そんな中、目の前に現れたのは自分の息子を名乗るアキノリだった。

なんだかちょっと古臭い。と同時に感じる懐かしさと気恥ずかしさ。どことなくキャラメルボックスの作品に似ている。丸尾さんは親子、兄弟を描くのが好きなんだなと思う。本当にどこかにいるかのような普遍的な親子。ただ今までのOFFICE SHIKA PRODUCE作品の中ではミラクルが多い作品だったし、そのことがリアリティを失わせていた気もした。人生はこんなにも分かりやすいものなのか。連綿と続いていくものなのか。そうは思えない。

ずっきーを久しぶりに舞台で観た。飄々としているようで情に厚い。憎めないけれど優柔不断なところは天性のクズさを感じさせた。っていうか鹿殺しの良さは生バンドだと思ってたのに、バンドモノなのにバンドなしなんかい。そしてあれはメタルじゃなくてパンクやろ。どうでもいいけど。シュートミヤザキはまたしても天真爛漫な少年。ちょっと飽きてしまう。私は違う側面が観たいぞ。

そう簡単に「幸せな」話を受け止められなくなってきた今日このごろ。

舞台『三人姉妹はホントにモスクワに行きたがっているのか?』

髙橋里恩くんと池本啓太くんという舞台『露出狂』鈍牛倶楽部ペアを観たいがために観に行ってきました。

aooaao.hatenablog.com

里恩くんの舞台は『僕らが非情の大河をくだる時』ぶりで、そこではト書きだったからいろいろ表現の制約があったわけだけど、演劇青年という熱い役の中にさらに最近の若者らしい俯瞰した目線を併せ持っていて良いなと。

aooaao.hatenablog.com

池本くんは正直『露出狂』ではそんなに活躍の目立たない役だったから「関西弁の子だ~」くらいしか記憶になかったんだけど、飄々としてでもやっぱり演技が好きなんだなと分かるような素敵な俳優さんになっていた。

物語はチェーホフの『三人姉妹』を上演しようとしている劇団員たちが、次第に『三人姉妹』の登場人物たちと重なっていくという話なんだけど、『三人姉妹』の物語の中に劇団員たちの今風な立ち居振る舞いと台詞などの表現が溶けていくのが面白かったと同時に、そこまでして下敷きにしたい『三人姉妹』ってなんだろうと思った。いわゆる古典の楽しみ方がいまいちわかっていない私です。かといって、俳優ベースで観劇しているから能動的には古典を見ないと思うのだけど。

公式サイト

www.dongyu.co.jp

関連記事

natalie.mu

舞台『密やかな結晶』

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STORY

海に囲まれた静かな小島。この島では“消滅”が起こる。香水や鳥、帽子など、様々なものが、“消滅”していった。

“消滅”が起こると、島民は身の周りからその痕跡を消去し始める。

同時にそれにまつわる記憶も減退していく。

『わたし』は、この島に暮らす小説家。近所に住む『おじいさん』とお茶を飲みながら話をするのが日課という静かな毎日。

おじいさんは、わたしのことを赤ん坊の時から見守り続けているが、その頃からずっと若者の容姿をしている。

わたしの母は秘密警察に連行され死んだ。鳥の研究家だった父も亡くなり、おじいさんだけが心安らぐ存在だ。

この島にも、少数ではあるが記憶が“消滅”しない人、記憶保持者がいる。彼らはそのことを隠して生活しているが、謎の組織である秘密警察は手を尽くし、彼らを見つけて連行する。島民が恐れる記憶狩りだ。

記憶狩りが激化する中、わたしの担当編集者R氏から、記憶保持者であることを告白される。

もう二度と、大切な人を秘密警察に奪われたくないと思うわたしは、R氏を守るため、自宅の地下室に匿うことを決意する。

わたしの身を案じるおじいさんはR氏の存在を危険視しながらも、わたしのためR氏を匿うサポートをする。

一方の秘密警察たちも、自分たちの行為の真相は知らず、実際は組織の中で翻弄されるただの人間である。

ナチスからユダヤ人を匿うような緊張の日々の中、わたしとR氏の心の通い合いは深くなっていく。

R氏はわたしに、人間の生活に寄り添っていた些細なものたちがいかに愛おしいか、本来の豊かな記憶の世界へ引き戻そうとする。が、おじいさんにとってその行為は、わたしを秘密警察の記憶狩り対象者にすることに等しい。

記憶を失うことでわたしが『わたし』ではなくなってしまうことを防ごうとするR氏。わたしを危険にさらさず、島の世界の道理に順応して生きることで彼女を守りたいというおじいさん。考え方は全く違うが、わたしを大切に想う気持ち、守りたいという気持ちが二人をつないでいる。

秘密警察の苦悩、R氏の抑圧感、おじいさんのジレンマ、わたしの恐怖・・・

様々な想いを抱えた島は、「消滅」がさらに増えていく。

人々はどう生きるのか。

最後に消えるのはいったい何なのか―――――

あらすじ | ホリプロ オンライン チケット

REVIEW

原作を読んで理解が深まる、というならまだわかる。でも、原作を読まないと分からない、というのは違うと思う。

今作がそういう作品なのか、つまり原作を読めば納得がいくのかわからない。でも私個人の感想として舞台単体であまりよく理解できなかったことにまた納得がいかない。そもそもなぜあの島ではものの概念を故意的に消しているのか。もしかして故意的に消しているのではなくて、消えていく運命だったところを秘密警察という分かりやすい悪が理由付けのために活動していたのか。

bookmeter.com

読者の感想を読んでいると、だんだんと静寂に包まれていく物語の世界を楽しんでいるようだ。記憶をなくしていくことに対して騒がしくしている人間たちが、あらゆる概念を失ってその活動を止める。分かりやすい終わりもない。ただあったものがなくなって閉口せざるを得ないということを、一種の恐怖と美しさで表現するような。ただその恐怖や美しさは舞台上の物語としては伝わってこなかった。

概念を失う物語で個人的な正解があったことも話に入り込めない要因だったと思う。

aooaao.hatenablog.com

そもそもミュージカルでもないのに歌を挟んできて、何かが分断されるのが個人的に気持ちが悪かった。関西弁でぐいぐい捲し立てられるのも非現実的な世界観とはかい離していたように思う。これは仕方ないことなのだけど、機材トラブルで小休止したのも環境的には悪かった。

さとみは可愛い。それは4年前の『ピグマリオン』でも思った。でも映像の方が好き。

hpot.jp

映画『RAW〜少女のめざめ〜 』

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STORY

16歳のべジタリアン、ジュスティーヌは、両親と姉と同じ獣医科大学に入学する。初めて親元を離れて、見知らぬ新しい環境である大学の寮で暮らし、生活する不安に駆られる彼女。両親に車で寮まで送ってもらうが、寮にいるはずの姉アレックスに電話をかけるもつながらない。途方に暮れつつも、仕方なく一人で寮に向かいルームメイトと対面するが、女性との相部屋を希望したはずなのに、そこにいたのはアドリアンという男性。「俺はゲイだから」と言われてもなんの慰めにもならない。さらに追い討ちをかけるように、『フルメタル・ジャケット』も真っ青の上級生による新入生歓迎のハードコアな儀式としごきが突然始まり、地獄の日々が幕開け。ようやく姉と出会えて安堵するが、狂乱かつ過酷な日々が続く。

 ある日、そんなしごきの一環として、全身に血を浴びせかけられ、さらにうさぎの生の腎臓を強制的に食べさせられたジュスティーヌは、体に異変を感じるようになる。身体中に発疹ができ、皮がむけ、体調はすこぶる悪い。悪夢にも悩まされるようになる。学業では優等生として本領を発揮するが、原因不明の精神的、肉体的なドラスティックな変化についていけない。ストレスもマックスで、最悪だ。学食で衝動的にハンバーグを万引きしようとしたジュスティーヌの姿を見たアドリアンは、彼女を連れて寮を抜け出し、バスで小旅行に出かけて夕食を共にする。アドリアンにすすめられて、そこで生まれて初めて自発的に肉を、ケバブを口にしたジュスティーヌは、肉の美味しさに衝撃を受け、がつがつとむしゃぶりつく。その後も夜中に無性に腹が減り生肉にかぶりつくなど、さらなる変化に戸惑うジュスティーヌは、次第に自分の内に秘めた恐ろしい本性と秘密に気づくことになる……。

RAW〜少女のめざめ〜|2018年2月2日ロードショー 

REVIEW

安易には他人に勧められないなとは思うんだけど、私が勧めるとしたらジュスティーヌが「人の味」を知った瞬間のででーんという効果音から起きること総てが面白いってことかな。思った以上にカニバリズムに終止してないし、成長物語としても新しさがあって良かったとは思うけど、それより何より行動が突飛で、理解に収集がつかなくなってから大体なんでも笑けてしまったんだからしょうがない。それと基本的に鉄の臭いがすごくて、それと同じくらいの体臭。そんなの感じるわけ無いじゃんって思われるだろうけど、観たら絶対そう感じる。あれほどまでに臭いを感じた映画は久しぶりだった。

公式サイト

raw-movie.jp

関連記事

natalie.mu

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ドラマ『このサイテーな世界の終わり』

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自分自身のことをサイコパスだと信じている男の子が、そんな彼に興味を持って近づいてきたちょっとエキセントリックな女の子と旅に出るロードムービー。男の子は最初女の子を「どう殺そうか」ってことばっかり考えてるんだけど、旅をするなかでいろんなことが起きて、彼自身の問題に向き合って、最終的には「人を思う気持ち」を知る。基本は主人公の男の子と女の子の独白で物語が進んでいくから、二人の気持ちの交わりは言葉のやり取りでしか分からない。場当たり的に物事を進めたり、楽しいことに流されやすかったりするところが結構ひやひやするんたけど、若者らしいのかもしれないなと。男の子は案外普通なキャラクターだけど、女の子の方は感情的で不安定きわまりないから、作品中でも「人をイラつかせる天才」って言われてて、なんで男の子はこんな子に安心感じてるんだろって思ってたんだけど、素直で偽りのないところが良いのかもな。

タイトルからわかるだろうけど、始まったばかりの世界は終わるし、全然爽やかじゃない。そんなの逃亡系のロードムービーあるあるだけどね。話の筋と関係のないところで、女性同士、しかも同僚とのワンナイトについてゴタゴタするくだりがあるんだけど、違和感なく差し込まれててそれに気持ちが追い付かなかったり、こうやってあえて言及する私がまだまだ理解がないのかなと思ったりする。

元はイギリスのChannel4で放送され、現在Netflixで配信中。だいたい1話20分くらいで全8話だからするすると観られた。Netflixよい。みなさんも観ましょう。

www.netflix.com

1月の映画と演劇まとめ

映画

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演劇

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その他

現時点でHuluとNetflixに加入しているのですが、ようやく「ドクター・フー」をシリーズ9まで観て、「ダーク・ジェントリー」のシーズン1を観ました。うーん、たしかに「ドクター・フー」シリーズ一つ分の伏線とその回収があるんだけど、あまりにも人間味がないんだよね「ダーク・ジェントリー」。ダークはかわいいんだけども。

nuwton.com

映画館以外で観た映画ではドクター演っていたマット・スミスの『高慢と偏見とゾンビ』『ロスト・リバー』デイビッド・テナントの『GO!GO!L.A.』、マット・スミスのリアル彼女のリリー・ジェイムズがヒロインの『ベイビー・ドライバー』、あとはずっと観たかった『怪物はささやく』を観ました。Filmarksもやっているのでよろしくです。

filmarks.com

今年は洋画と海外ドラマの年になりそうです。