取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

一週間遅れのお盆休みで遊びまくる(1日目)

題名そのままなんですけど、帰省もできないんで都内・近辺で生きたいところに全部行こうと思い立って予定立てて一日目。朝一で六本木に居ました。というような日記なのでしょうもない感じですが日記なので。

ところで最近はずっとAwichを聴いています。ずっと聴いています。

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六本木駅(ミッドタウン前)

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マジで人がいない。これが六本木の朝なの(AM10時)そして目的地はここ。

新国立美術館(MANGA都市TOKYO)

manga-toshi-tokyo.jp

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こういう状況下というのもあって時間で予約制なんだけど、朝一だからかめちゃくちゃ人いなくて最高だった。暇だと大体美術館か映画館行くけど、平日の美術館が最高。特に展示の内容で主だった学びはなかったけど、上條淳士の『8』と『TO-Y』が読みたい。あと『すばらしきこのせかい -Final Remix-』がやりたい。これはメモです。

つるとんたん(お昼)

なんか六本木にきていつも食べないもの食べようっておもったらここしか思いつかなかった。

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やまかけなんちゃらうどんです。美味しかったけど、店員さんが「細い麺に代えられますよ」って教えてくれた意味分かった。氷が削られて乗ってるからどんどんうどんの歯ごたえが良くなっていく。これは代えた方がいい。

六本木蔦屋書店

そもそもの場所がめちゃくちゃ遠いよね、六本木の蔦屋書店。f:id:aooaao:20200817201926j:plain

蔦屋書店って、行くと大体写真集のコーナーに行くんだけど、やっぱりペトラ・コリンズの写真集欲しいな。あともう一つくらいほしい写真集あったんだけど忘れてしまった。以上です。

みなとみらい駅横浜トリエンナーレ

六本木から横浜ってまあ遠いかなと思ったんですけど乗り換え1回だけだったので行きやすさはありました。

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この展示、横浜美術館とプロット48という場所でやってるんですけどこの二か所まあ近くではない。この間に工事現場とビルしかないし面白くない。なのでずっとAwich聴いてました。

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このプロット48で記憶に残ってるのは海老です。永遠に海老。

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そんな中で一番好きだったのはこの展示です。ラス・リグタスという方の作品です。神秘的でエキゾチックで謎です。

そんなこんながお休み1日目。明日も20時のシブザイルが始まるまで出かけるのでまた書きます。

 

 2日目はこちら↓

aooaao.hatenablog.com

 

映画『Honey Boy』

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STORY

 大人のふりをしていた、12才の自分に会いに行く―
若くしてハリウッドのトップスターに躍り出たオーティス(ルーカス・ヘッジズ)は、撮影に忙殺されるストレスの多い日々の中で、アルコールに溺れるようになっていた。2005年のある夜、泥酔して車を運転し事故を起こしたオーティスは、更生施設へ送られる。そこでPTSDの兆候があると診断され、「まさか」と驚くオーティス。原因を突き止めるために、今までの思い出をノートに書くようにと言われたオーティスは、過去の記憶を辿り始める。真っ先に思い出すのは、父のこと。
10年前の1995年、子役として活躍する12歳のオーティスは(ノア・ジュプ)いつも突然感情を爆発させる前科者で無職の“ステージパパ“ジェームズに、振り回される日々を送っていた。そんなオーティスを心配してくれる保護観察員、安らぎを与えてくれる隣人の少女、撮影現場の大人たちとの交流の中で成長していくオーティスは、新たな世界へと踏み出すのだが──。

映画『ハニーボーイ』 公式サイト

感想

原作はシャイア・ラブーフの自伝で、本作主人公のオーティスはシャイア・ラブーフ自身と思われ、でも実際シャイア・ラブーフはオーティスの父親役を演じているという。なんとも自分自身をえぐっていくような作品です。『マザー』に続いて最近は毒親ものばっかり観ている気がする。特に好きなテーマってわけでもないのですが…

 

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 子供の稼ぎで生きていく親なんてザラにいると思うのですが、子供が「僕の(私の)おかげで生活できているくせに」と思わないわけがなく。大体そういう場面で親は激昂し、今回だとちゃんと働いている母親をけなす父親とどこまでもクズだなと感じはする一方、まだ意識はしっかりしているので救われているというか。『マザー』で長澤まさみが演じた母親は完全に自分を正当化していたので観ていてつからったけど、今作は子供から親への愛情が感じられました。わずかにね。シャイア・ラブーフが自分自身の過去を美化したかったといえばそれまでだけど、真実はわからないし。

貧しい親子がモーテルで生活しているのってアメリカあるあるなんですかね。そうなんでしょうね。その日暮らしでも住む家が確保できるから重宝するんでしょうけど、『フロリダ・プロジェクト』とか観てると割と楽しそうだなと思う。日本だったら長屋とかなのかな。あっちのほうが陰鬱な感じがする。

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 主役のオーティスを演じるノア・ジュプが出てきた瞬間、映画館の隣の席の女性が息を飲んだので「そんなにアイドル化してるの???」って思ったんですけどどうなんでしょう。かわいいからこれからめちゃくちゃ話題にはなりそう。泣き顔も良かった。あと個人的には最近ルーカス・ヘッジズをよく見る。『WAVES』に出てたし、来月観ようと思ってる『mid90s』にも出てる。 彼も観るたび大体泣いている。かわいい。あとFka Twigsは最高。流石に少女には見えなかったけど。

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 思ってたよりハッピーな終わりだったので「いいやん」って思ったけど、実際現実だったら悲しいなと思ったのでプラマイゼロです。

監督はアルマ・ハレルという方。i-Dなんかでドキュメンタリーを撮ってる人だそうで、そんなわけでFka Twigsも出たのかしら。今後の作品も楽しみです。

i-d.vice.com

 

公式サイト

gaga.ne.jp

 

ひとりしばい vol.4 橋本祥平『いまさらキスシーン』

STORY

部活!勉強!そして恋愛!
あらゆるものに心奪われながら天才女子高生は今日もひとり 国道4号線をひた走る!
爆走系青春喜悲劇!

感想

私たち(主語が大きい)が大好きなひよりちゃん!まさかこの役を中屋敷さんの演出で玉置玲央さん以外がやるなんて誰が想像してた???しかも祥平くんだってさ~~~~~~~!早く言ってよ~~~~~~!完全に生配信で見逃したじゃん。アーカイブ配信にマジ感謝。何度も観られる。8月4日(火)20時まで販売してます。*1

これはもうしょうがないことだけど、三御堂島ひよりちゃんはあくまでもあのしなやかで強い「玉置玲央」という役者が演じているひよりちゃんであって、そのほかの何ものでもないことが前提だった訳です。いままでは。初見で見ると決して「かわいい」と言えないその人が、だんだんかわいくなっていくことが最高の要素の一つだったんです。なのに祥平くんが制服を着て、ポンパドールをして、チークをピンクにした途端に普通にかわいい。かわいい子にかわいい役やらせただけじゃん。でもわかる。そういうのも観たかった。

祥平くんのひよりちゃんは最初から感情豊かで、「こんなひよりちゃん居たんだ(?)」みたいな気持ちになりつつ、このひよりちゃんはやべえやつというよりちょっと多感で行き過ぎちゃう子なんだな~と考えてながら観てた。一方の玲央さんのひよりちゃん本当に最初からやばいやつなんで、男前田先輩が引いてないの逆にすごいって感じだったんですよ。なんですが、祥平くんはわりかし序盤は普通に女子高生として観られていたのに、そこからの緩急というか、ある事件までとその後の落差がすごいのでそこらへんから観てるこっちは心臓を掴まれるような思いになって、マジでエモい。エモい。本当にエモい。

 

 

 

青春にボッコボコに殴られて、体がボロボロになっても、かわいいかわいいひよりちゃん。最後もサイコパス感薄れてめちゃくちゃ爽やかなんだけど?!?!?ってうろたえた。すきぴ。

 

アフタートークの話
  • 女装ありきで作品を選んだ中屋敷さん
  • こういう(バキバキの演劇)作品をやりたかった祥平くん
  • 自分がバッキバキのときに書いた作品を祥平くんにやらせたかった中屋敷さん
  • 高校は帰宅部で上下関係がなかったので後悔している祥平くん
  • 次は祥平くんに学ランを着せたい中屋敷さん(ストーカーしてくる後輩から逃げ回る祥平くん)

 

最後のはめちゃくちゃ観たいので祥平くん宛書きでお願いします。男前田先輩ってことで。

 
公式サイト

officeendless.com

玉置玲央さんの『いまさらキスシーン』とその感想

v2.kan-geki.com

aooaao.hatenablog.com

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映画『破壊の日』

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STORY

7年前、田舎町の炭鉱の奥深くで見つかった怪物。その怪物は何なのかは不明のまま不穏な気配を残して時が過ぎる。 7年後、村では疫病の噂が広がり、疑心暗鬼の中、心を病む者が増えていく。そんな中、修験道者の若者、賢一は生きたままミイラになりこの世を救うという究極の修行、即身仏になろうと行方不明になる、、、、、。 そして、「物の怪に取り憑かれた世界を祓う」と賢一は目を覚ます。

「破壊の日」 | Imagination 

感想

 

まあちょっとこれが感想のすべてなんですけど。『モンスターズクラブ』の感想はこちらです。 

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 この頃の感想の書き方キモいな。誰だお前って感じ。豊田監督の作品は何か(今回はコロナウイルス)に対する圧倒的な怒り、怒り、怒りが渦巻く作品が多いなと思うんだけど、それに対してめちゃくちゃ映像がかっこいいっていうの本当にずるいんですよね。好きってなっちゃう。ただただ渋川清彦と松田龍平がかっこ良く、窪塚洋介が「マジでなんだったんだ」と思うので豊田監督が好きな人なら観てほしい。それ以外の人は多分めちゃくちゃ疲れると思う。

Filmarksやってます~!

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映画『君が世界のはじまり』

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STORY

希望と絶望を爆発させる夜が幕を開ける──。
大阪の端っこのとある町で、高校生による父親の殺人事件が起きる。その数週間前、退屈に満ちたこの町では、高校生たちがまだ何者でもない自分を持て余していた。授業をさぼって幼なじみの琴子と過ごすえん、彼氏をころころ変える琴子は講堂の片隅で泣いていた業平ナリヒラにひと目惚れし、琴子に憧れる岡田は気にもされず、母親に出て行かれた純は東京からの転校生・伊尾との刹那的な関係で痛みを忘れようとする。皆が孤独に押しつぶされていたその夜に、事件は起きた──。

About the Movie | 映画『君が世界のはじまり』公式サイト

感想

びっくりするくらい全然わからなかった。いや、感情の断片的なところは分かるんだけど、なんか体感温度が全然違うって感じで観ていても居心地が悪くてどうしようもなかった。一つは自分の年令だと思う。この映画の中の感情を受け止める前に理解しようとしている自分がいて、なんか嫌になった。そういう作品じゃないってわかってるのに、もう仕方がないのかもしれないけど、「分かろう」としている時点で違うって思うのに。高校生の自分だったらそのまま受け止められたのかな。この映画高校生が観に行ってくれるんだろうか。今の学生が観る感じがしない。せいぜい大学生~って感じ。なんかそれもどうなのかな。

あとは自分が女子高校だったから、高校生男女のやり取りが新鮮だった。逆に主人公の縁のような感情はまあたまに見たなと思った。だからこそ最初からすんなり入ってきたし、一周回ってちょっとだるいなと。もっとサラッとしてたんだよね。自分の周りでは。でも、そこに男子の存在があるとああいう雰囲気になっちゃうのかな。好きな子の好きな子が自分を好きで、それに対して好きな子が感情爆発させたらなんとも言えんよな。だからこそ最後の「綺麗」は純粋で素直な言葉の最上級として切なくはあった。

伊尾くん、ほんとわかんないんだよな。純くらいむちゃくちゃな方が寄り添えるんだけど。伊尾くんのその無秩序で少し優しいところが私は結構嫌い。純がメンヘラじゃなくてよかったなと思う。メンヘラだったら多分刺されてる。甲本ヒロトも「そうか~」て感じ。この選曲のせいで今の映画じゃなくなる気がするんだよな。『殺さない彼と死なない彼女』*1*2みたいな映画かと思ってたら『リリィ・シュシュのすべて』観てた(雰囲気伝われ)

伊尾くんは嫌いだけど、金子大地くんは好きだよ。なんか一生こじれたキャラクターやってそうなところも好き。今の時代になんかちょっと世の中をすかしてるみたいな雰囲気を持ってる俳優さんって大事だと思うんだよね。イケメンキラキラってテンションで2時間の映画を見続けるのも保てなくなりつつあると思うし。物語が面白いか、キャラクターが面白いか、その二択の後者でいっぱいお仕事してほしいな。

 

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kimiseka-movie.jp

 

 

江戸川乱歩『孤島の鬼』の読書感想文

何故かこのタイミングで『孤島の鬼』にハマった友人から「読んでくれ、面白いから」という言葉を授かり、読みました。ちなみに、全く内容を知らないわけではなく、過去舞台で観ていたのでほんと朧げに内容は覚えていました。

話はそれるんですけど、これを読む前に家にあった『芋虫』読んでて、「これこれ、江戸川乱歩ってこんな感じだったわ」って感を取り戻すトレーニングをしました。

芋虫 江戸川乱歩ベストセレクション2 (角川ホラー文庫) | 江戸川 乱歩 |本 | 通販 | Amazon

そうでもしないと、最近の読書怠り人間はあの文章についていけなくなるので...この間読んだ津原泰水『ペニス』で死んだ時みたいな読後感になりかねないので...

ペニス (ハヤカワ文庫JA) | 泰水, 津原 |本 | 通販 | Amazon

まあ同じ江戸川乱歩でも『芋虫』と『孤島の鬼』だと天地の差ぐらい書かれ方が違うとは思うのですが実のところ。同時期になんか観た方がいいのではと思って観てた横溝正史悪霊島』の方が近かった。

Demons Island | Netflix

本題です。江戸川乱歩にしては話の筋を通そうとしている、推理小説風な作品なので読みやすかったです。内容知ってるって言ってたくせに、途中まで諸戸道夫が真犯人だと思ってたし、蔵に閉じ込められてた双子のこともすっかり忘れてました。すいません。そんな上手いことあるかよ〜っていう諸戸から箕浦への復讐劇の真実とその裏にあるもっと薄暗い復讐劇の二重構造が面白い。正直、物語のトリック的なところにはあんまり惹かれなくて(自分の嗜好的に)、文章の凝り方とか犯人のどうしようもなく捻くれた結果の数々の所行が乱歩だな〜と笑顔になりました。実際は『パノラマ島綺譚』*1の方が影響を受けているんだろうけど、谷崎潤一郎フリークな私は『金色の死』*2を思い出しながら読みました。ところで、横溝正史悪霊島』も同じように壊れた家族と愛憎に溢れてるのでみんなこのテーマ好きすぎん???

『孤島の鬼』について、乱歩はどこに主眼を置いて読んで欲しかったんだろうって考えてみるんだけど、割りと連載物のがちゃがちゃ感からしていろんな要素を盛り込みこんだんだろうなと推測できなくもないので、個人的に好きだったところを書きます。

まず自分が望まずして不具に生まれたことから、望んで不具者を作るのであるという悪魔的な考え方と、その徹底した世界観を作り上げたあの島の存在がやばすぎて好き。あんなに誰も憧れない理想郷もないわ。それも、母親の愛(実際は母性ではないけど)のために諸戸道夫という美しい男が育ってしまったことから綻びが生まれて崩れ去っていくディストピア。いっそ美しい。一方、愛のために行動して最後まで拒絶された諸戸道夫の哀しさよ。箕浦、髪が白髪になったぐらいで文句を言うな。結婚もできただろ。というのは冗談ですが、自分の運命に翻弄されまくりながら、とはいえそれとは無関係に死んでいった諸戸のことを考えるとつらい。というようなことを舞台を観た時にも思ってたらしく、私の思考は3年前から何も変わってないしこれからも変わらないんだろうなと思いました。

視点を変えて、あれも一つ丈五郎(諸戸道夫の父)の作り出した「美しい」不具者なのだろうなと考えると、乱歩はこの手の不幸をめちゃくちゃ愛しているんだなという思いになった。

わかる。(終)

映画『私がモテてどうすんだ』

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恋ってなんなのかしら~~~~~~~~~~~~~~~!ってアニメ完走したときにも思ったのですが、花依ちゃんってよく考えたら不思議なキャラクターだよね。恋の感覚は分からないけど、恋愛のあれこれは分かるって?というところまで考えて実は花依ちゃんは男と男のクソデカ感情やプライドがさらけ出されるところが好きなんじゃない本当は?って思うようになってきた。ヤンキードラマとかヤクザ映画が好きなおっさんと同じ感じ。人を好きになる感覚がわからなきゃいくらなんでも萌えないんじゃない?あと、原作に忠実だと分かった上で、身近な人でカップリングできるのはかなりのツワモノだと思う。っていうかカップリングして妄想してるってことを本人たちに言っちゃう人間が性格が良いって言えるのか分からない…

というような部分は原作でも言えることだし、映画のあれこれには関係ないかなと思うので先に書いておきました。以下から映画の感想です。

どんな経緯でこの作品が映画化されることになったのか分からないですが、監督が平沼紀久ということもありめちゃくちゃ舞台寄りです。サッカー部じゃなくて演劇部が出てくるし、最終的にはカテコでエンドです。で、この改変がめちゃくちゃ良い。私モテって大体がルッキズムの話なんだけど、その話をギュッとまとめるために物語の中に更にヒロインを演じる人物を作ることで、今までルッキズムに無自覚だった(めちゃくちゃポジティブな子なので)花依ちゃんが自分の見た目の影響力に気がついて行動をし始めるという流れを作れている。それまでの花依ちゃんって自分の中で全てが完結してて、他との関わりがないから良くも悪くも他人から働きかけられることもなかったわけで。なんにせよ自分が変わらなきゃと思い立つくだりが原作より分かりやすかったと思う。

書き忘れてたんですけど、私モテは元々太ってる腐女子の花依ちゃんが、痩せて美少女の腐女子になってモテモテになるという話です。で、モテモテになってからの塩対応を見ていると『PRINCE OF LEGEND』の果音ちゃんを思い出してしまうんですよね。あっちでは奏様になびいちゃったけど、花依ちゃんは最後まで二次元の推ししか見えてません。そんな花依ちゃんを演じた山口乃々華ちゃんも富田望生ちゃんも可愛かったな~特に望生ちゃんは演技上手いし、『美食探偵』観てたから2号ちゃん///ってなった。

っていうかなんで六見先輩は新しい推しの名前知ってるん?ストーカーなの???吉野北人の顔してストーカーだったらこの世の摂理が狂ってしまうから止めてほしい。個人的にはふうじゅくんが演じる五十嵐くんが普通にかっこいいなと思うんですけど、まあ贔屓目で六見先輩が喋るたび沸いてしまいますよね。六見先輩、ルッキズムの影響下にもなく、ずっとフラットな視点で花依ちゃんを見守って、最後には特別な意味で好きになるというキャラクターですが、一個残念だったのは原作にあった「基本は他人に興味がない、だから優しい」という部分は残しててほしかったなと。そっちのほうがリアルだし、より吉野北人っぽい。吉野北人って言えば、映画に出ると謎ソロ歌唱を与えられるのが決まりなんですかね。(貴族降臨とか)アコースティックなロック調の私モテ主題歌がかかる度に笑った。

あと、二科志麻ちゃんめちゃくちゃ原作に忠実*1なのに、原作ほどに活躍しないのがもどかしかった...!あんまり百合展開好きじゃないからその点ではいいんだけど中山咲月ちゃん最高だからもっと見てくれってなった。

全然本編とは関係のない、舞台オタクに向けた個人的見どころを書いておくと、自転車が趣味の花依のお兄ちゃんを宮崎秋人が演じてたところですかね。映画始まる前に映画『弱虫ペダル』の予告やってたからより一層、「どんなこだわりwww」って思うくらい、自転車とともにお送りしてて悪ノリが過ぎるなと。好きですけど。他が映画用に自然な声音なのに、デカ目の声でハキハキと喋るのも面白かった。シュートについて知らない人からしたらめちゃ謎だろ。

オープニングとエンディングのミュージカル風シーンめちゃ好き。ダンスについては本気を感じるし、ああいう映像を魅せるのは得意なんだろうなと。思ってた何倍も楽しかったので実質0円です。腐女子に解釈違いを起こさない人だったら楽しめるかも。

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*1:比較対象はドラマ『ファイブ』の真人千和ちゃん