取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

柿喰う客『いまさらキスシーン』

王子劇場がこの6月から花まる学習会王子小劇場になったらしい。

そんなの初めて行った自分にとって何ら関係もないと思ってたけど、発音した瞬間の戸惑いがすごい「花まる学習会王子小劇場」。そんなことはおいておいて、「柿喰う客フェスティバル 2016」の演目の一つ『いまさらキスシーン』を花まる学習会王子小劇場で観てきた。

恋に部活に勉強に、どれも須らく全力を注ぐ女子高生・三御堂島ひよりが過ごした高校三年間の物語。怒涛の三年間が走馬灯のように30分で駆け巡る。ネタバレしてもいいけど、そんなの書いたところでこの作品の魅力はなにも伝わらない。私がそこで見たものは、唯一の出演者であり女子高生を演じる三十路・玉置玲央の身体能力と熱量と演劇に対する情熱と愛情。そして、一人の女子高生の三年間。

グロテスクというのは、決していい歳の男性が女子高生をやっているからというわけではない。 発せられる言語・繰り出される身体表現。その総てがなにか少し異様で様子がおかしい。拡張された表現であることを加味しても、ひよりの全力はグロテスクだ。いや、全力であることはいつも異様で、総てが総て他人には理解できない一面を持っているということなのかもしれない。そうして、全力な人を見ると年齢関係なく青く壮絶な春を感じてしまう。

これは持論なのだけど、可愛いもの/美しいものとグロテスクなものは共存することでお互いの魅力を最大限に発揮できると思う。というか、一見対立していそうなこの形容詞は「飛び抜けて他と違っている」ことを表現するという意味で本質的には近しいし、それが好感を抱くのか嫌悪感を感じるのかということで分けられているに過ぎない。好感や嫌悪感のどちらかではなく、どちらもあることが普通であって自然。だから、その両方を一緒に管理するためのブログも作っていたりする。

SPACE TRIP

話を戻して、私はキュートでグロテスクな三御堂島ひよりにすっかり恋をしてしまったみたいだ。これから何度、ひよりを夢見るだろう。そうするためにも、ひよりの素晴らしい生命力さながら、自分も一生懸命生きなければと思う。

natalie.mu