取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

舞台『99才まで生きたあかんぼう』

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STORY

 笑顔の両親のもとに、
泣いて生まれてきたあかんぼう。
いじめを知り、人を欺くことを
覚えてしまったあかんぼう。
泣き、喜び、悩み、ひたむきに
生きることを学んだあかんぼう。
幸福に気づき、成功を収め、
人生に翻弄され、挫折を知ったあかんぼう。
99才まで生き、
笑いながらわたしのところへやってくる
あかんぼうの、人生劇場。

辻仁成が贈る、いのちの輝き──百年の物語。『99才まで生きたあかんぼう』2018年、待望の初舞台化。

 REVIEW

想像通りというか、想像の内側でしかないというか。今この時代に凄まじい人間賛歌でした。多分辻仁成が自分の子供に送りたかったんだろうなという感じなんですけど、それにしてもこのメンツで舞台化しちゃうのはすごい。申し訳ないんだけど、家族ごっこだったし最後の感動は映画のテーマでいう犬や赤ちゃんの類で泣いちゃうのとおんなじだし、それならもっと意味あるものにしてくれればいいのにななんて思ったけど、まあこれはこれで良いのかもなという気もする。

よみうり大手町ホールめちゃくちゃ綺麗で美しいホールだった。だがしかし、大手町は遠い。

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最近は漫然と音楽を聴いている

MURA MASA

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Mura Masaを聴き始めたのは初来日公演が終わって少しした1月末。Apple Storeで流れている曲っていう妙に鼻につくプレイリストに入ってた。偏見は良くない。

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Charli XCX

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ついでにCharli XCXのBOYSも聴いてる。子犬とDiploが一番好き。

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MGMT

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それから MGMTの新譜を聴いたりした。

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MGMTはやっぱりKidsだよねと思ってしまう。フジロックでの演奏クオリティ(悪い意味で)は忘れられない。

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The1975

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そして今日はずっとThe1975を。

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なんていうかMaroon5並に安心するポップサウンド。そんでもってやっぱりミーハー過ぎというような批判をされてるらしいけど、私が高校生だったら絶対人生狂わされてるから私は絶対肯定する。アメブロでファンブログ書いちゃうもん。

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あとアルバムタイトルにもなってる“I like it when you sleep, for you are so beautiful yet so unaware of it”はEMO側の人間からしたらFall Out BoyとかPanic! At The Discoの曲かなって思う。

そんな感じで日本じゃないどこかの何かに自分自身を映しながらただ生きている。

映画『羊の木』

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STORY

さびれた港町・魚深(うおぶか)に移住してきた互いに見知らぬ6人の男女。

市役所職員の月末(つきすえ)は、彼らの受け入れを命じられた。
一見普通にみえる彼らは、何かがおかしい。
やがて月末は驚愕の事実を知る。

「彼らは全員、元殺人犯」。

それは、受刑者を仮釈放させ過疎化が進む町で受け入れる、国家の極秘プロジェクトだった。

ある日、港で発生した死亡事故をきっかけに、月末の同級生・文(あや)をも巻き込み、
小さな町の日常の歯車は、少しずつ狂い始める・・・。

映画『羊の木』 | 2018年2月3日(土)全国ロードショー

 REVIEW

感想っていうか基本的に宮腰(松田龍平)の話しします。

最近は松田龍平の出演映画に期待しないでおこうと思うようにしているから、必ず観に行くってほどではなかったんだけど、とある感想でヘンテコ映画(超訳)と書いてあったので観たのです。いや、観てよかった。

元殺人犯が集められて何か描くって言われたら、みんな更生しましたという感動エンドか、徒党を組んで人を殺しまくるかどっちかだと思ってたんだけど、そのどちらでもなく殺人犯もまた様々いて、不思議だなという感じでした。原作者自身が「ヤクザの抗争で3人殺した人よりも、借金を断られて人殺しするヤツのほうがヤバい」ということを描きたかったというのだけど、その通りだと思う。

そんな中、今回の主役(個人的に)の宮腰くんはナチュラルに人を殺します。やめてくれと言ったのにやめてくれないから殺したと言わんばかりです。そこに善悪はなく、前に進むために殺す。だから自分がやったことも人に話せる。本質的には悪いことだと思っていないから。でも社会的にはNGなんだなということは知っっている。その矛盾に苦悩はしないが、どこか違和感を感じている。そんなところで出会った月末(錦戸亮)の親切で親身な態度におそらく初めての友情を感じる。何度も確かめる「それは友人として?」許すも許さないもないのだけれど、友人だと真剣に向き合ってくれる月末に対して、宮腰は思う。どうしたら良いか分からない、と。もうどこからおかしくて、どこから巻き戻したらいいのか。みんなと同じように普通に生きていたはずなのに、何かが違ってしまう。やり直そうとしてもうまくいかない。きっと宮腰自身そういったことを何度も考えては「もうどうにもならない」という結論にたどり着いては揉み消していたに違いない。受け入れることが怖かった。他の人と同じように生きられないとは認めたくはなかった。でも真摯に向き合おうとする月末を前にして、彼の手を取り海に飛び込んだ。

そんな宮腰くんがめちゃくちゃ好き。好きすぎて無理。そして願わくは生きてて欲しい。おろろ様の中にすっぽり入って戻ってきて…って心から思ってる。私は宮腰くんの心の闇に寄り添って生きていきたい。頼む。宮腰 another sideください。っていうのは冗談じゃなくて本当に宮腰くんのことしか考えられない。嘘ついた。99%宮腰くんで、残りの1%は田中泯さんめちゃくちゃLOVEかな。これは冗談じゃないのでそういうのこじらせがちな女子は観てほしい。『46億年の恋』の有吉並に好き無理ってなってしまった。多分いま高校生だったら宮腰くんで人生狂ってしまってた。

関連記事

www.tbsradio.jp

www.cinematoday.jp

filmaga.filmarks.com

映画『ゆれる人魚』

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STORY

 1980年代のポーランドワルシャワで、人間たちを捕食して生きる美しい人魚姉妹は海からあがりナイトクラブにたどりつく。ストリップやライヴ演奏を披露する大人の社交場で、ふたりは得意のダンスと歌を披露し、すぐにスターになる。そんななか、姉シルバーはベーシストの青年ミーテクと恋に落ちる。初めての恋に浮かれるシルバーだが、妹ゴールデンは、そんな姉を複雑な眼差しで見つめていた。人魚にとって、人間の男は“餌”でしかないからだ。やがてふたりの間に生じた緊張感は限界に達し、残虐で血なまぐさい行為へと彼女たちを駆り立てる……。

映画「ゆれる人魚」オフィシャルサイト

REVIEW

 先週から引き続き少女が人肉を食べる話を観てしまった。

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っていうか人魚姫の話ってこんなにも無茶苦茶だったっけ?って言うくらい謎な描写が多かったけど、それさえ「アイディアの洪水」だと思えれば音楽にビジュアルにめちゃくちゃお洒落で心が潤う作品だった。でも『人魚姫』ってもうちょっと切ない話だった気がするんだよな。話の大筋は変わってないから切ないのは切ないんだけど、それ以上に差し込まれるトンデモ展開になんの意味があったのかな(ブドウ糖の点滴のあたりが最もモヤった)って考えちゃってもう。意味があるのかも知れないけど意味ありげ過ぎて考えたくないみたいな意地が出てきてしまった。へんてこな映画だよ。10年くらいしてカルト映画の仲間入りするよ。

音楽の使い方とか、画面の色気とかがどことなくグザヴィエ・ドランの作品に似ていた。荒削りだけどアイディアに溢れていて、今後の作品が楽しみな監督。

参考記事

i-d.vice.com

realsound.jp

www.fashion-press.net

www.cinemacafe.net

bunshun.jp


OFFICE SHIKA PRODUCE『おたまじゃくし』

shika564.com

REVIEW

舞台は住民をなくした文化住宅。売れないメタルバンドでボーカルを務める小森憲一(鈴木裕樹)はなくなった父親の遺品を片付けながら、父親と自分の過去を思い返し、と同時に「精子無力症」である自分を受け入れられずにいた。そんな中、目の前に現れたのは自分の息子を名乗るアキノリだった。

なんだかちょっと古臭い。と同時に感じる懐かしさと気恥ずかしさ。どことなくキャラメルボックスの作品に似ている。丸尾さんは親子、兄弟を描くのが好きなんだなと思う。本当にどこかにいるかのような普遍的な親子。ただ今までのOFFICE SHIKA PRODUCE作品の中ではミラクルが多い作品だったし、そのことがリアリティを失わせていた気もした。人生はこんなにも分かりやすいものなのか。連綿と続いていくものなのか。そうは思えない。

ずっきーを久しぶりに舞台で観た。飄々としているようで情に厚い。憎めないけれど優柔不断なところは天性のクズさを感じさせた。っていうか鹿殺しの良さは生バンドだと思ってたのに、バンドモノなのにバンドなしなんかい。そしてあれはメタルじゃなくてパンクやろ。どうでもいいけど。シュートミヤザキはまたしても天真爛漫な少年。ちょっと飽きてしまう。私は違う側面が観たいぞ。

そう簡単に「幸せな」話を受け止められなくなってきた今日このごろ。

舞台『三人姉妹はホントにモスクワに行きたがっているのか?』

髙橋里恩くんと池本啓太くんという舞台『露出狂』鈍牛倶楽部ペアを観たいがために観に行ってきました。

aooaao.hatenablog.com

里恩くんの舞台は『僕らが非情の大河をくだる時』ぶりで、そこではト書きだったからいろいろ表現の制約があったわけだけど、演劇青年という熱い役の中にさらに最近の若者らしい俯瞰した目線を併せ持っていて良いなと。

aooaao.hatenablog.com

池本くんは正直『露出狂』ではそんなに活躍の目立たない役だったから「関西弁の子だ~」くらいしか記憶になかったんだけど、飄々としてでもやっぱり演技が好きなんだなと分かるような素敵な俳優さんになっていた。

物語はチェーホフの『三人姉妹』を上演しようとしている劇団員たちが、次第に『三人姉妹』の登場人物たちと重なっていくという話なんだけど、『三人姉妹』の物語の中に劇団員たちの今風な立ち居振る舞いと台詞などの表現が溶けていくのが面白かったと同時に、そこまでして下敷きにしたい『三人姉妹』ってなんだろうと思った。いわゆる古典の楽しみ方がいまいちわかっていない私です。かといって、俳優ベースで観劇しているから能動的には古典を見ないと思うのだけど。

公式サイト

www.dongyu.co.jp

関連記事

natalie.mu

舞台『密やかな結晶』

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STORY

海に囲まれた静かな小島。この島では“消滅”が起こる。香水や鳥、帽子など、様々なものが、“消滅”していった。

“消滅”が起こると、島民は身の周りからその痕跡を消去し始める。

同時にそれにまつわる記憶も減退していく。

『わたし』は、この島に暮らす小説家。近所に住む『おじいさん』とお茶を飲みながら話をするのが日課という静かな毎日。

おじいさんは、わたしのことを赤ん坊の時から見守り続けているが、その頃からずっと若者の容姿をしている。

わたしの母は秘密警察に連行され死んだ。鳥の研究家だった父も亡くなり、おじいさんだけが心安らぐ存在だ。

この島にも、少数ではあるが記憶が“消滅”しない人、記憶保持者がいる。彼らはそのことを隠して生活しているが、謎の組織である秘密警察は手を尽くし、彼らを見つけて連行する。島民が恐れる記憶狩りだ。

記憶狩りが激化する中、わたしの担当編集者R氏から、記憶保持者であることを告白される。

もう二度と、大切な人を秘密警察に奪われたくないと思うわたしは、R氏を守るため、自宅の地下室に匿うことを決意する。

わたしの身を案じるおじいさんはR氏の存在を危険視しながらも、わたしのためR氏を匿うサポートをする。

一方の秘密警察たちも、自分たちの行為の真相は知らず、実際は組織の中で翻弄されるただの人間である。

ナチスからユダヤ人を匿うような緊張の日々の中、わたしとR氏の心の通い合いは深くなっていく。

R氏はわたしに、人間の生活に寄り添っていた些細なものたちがいかに愛おしいか、本来の豊かな記憶の世界へ引き戻そうとする。が、おじいさんにとってその行為は、わたしを秘密警察の記憶狩り対象者にすることに等しい。

記憶を失うことでわたしが『わたし』ではなくなってしまうことを防ごうとするR氏。わたしを危険にさらさず、島の世界の道理に順応して生きることで彼女を守りたいというおじいさん。考え方は全く違うが、わたしを大切に想う気持ち、守りたいという気持ちが二人をつないでいる。

秘密警察の苦悩、R氏の抑圧感、おじいさんのジレンマ、わたしの恐怖・・・

様々な想いを抱えた島は、「消滅」がさらに増えていく。

人々はどう生きるのか。

最後に消えるのはいったい何なのか―――――

あらすじ | ホリプロ オンライン チケット

REVIEW

原作を読んで理解が深まる、というならまだわかる。でも、原作を読まないと分からない、というのは違うと思う。

今作がそういう作品なのか、つまり原作を読めば納得がいくのかわからない。でも私個人の感想として舞台単体であまりよく理解できなかったことにまた納得がいかない。そもそもなぜあの島ではものの概念を故意的に消しているのか。もしかして故意的に消しているのではなくて、消えていく運命だったところを秘密警察という分かりやすい悪が理由付けのために活動していたのか。

bookmeter.com

読者の感想を読んでいると、だんだんと静寂に包まれていく物語の世界を楽しんでいるようだ。記憶をなくしていくことに対して騒がしくしている人間たちが、あらゆる概念を失ってその活動を止める。分かりやすい終わりもない。ただあったものがなくなって閉口せざるを得ないということを、一種の恐怖と美しさで表現するような。ただその恐怖や美しさは舞台上の物語としては伝わってこなかった。

概念を失う物語で個人的な正解があったことも話に入り込めない要因だったと思う。

aooaao.hatenablog.com

そもそもミュージカルでもないのに歌を挟んできて、何かが分断されるのが個人的に気持ちが悪かった。関西弁でぐいぐい捲し立てられるのも非現実的な世界観とはかい離していたように思う。これは仕方ないことなのだけど、機材トラブルで小休止したのも環境的には悪かった。

さとみは可愛い。それは4年前の『ピグマリオン』でも思った。でも映像の方が好き。

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