STORY
かつて一緒に活動していた劇団仲間のところに、一人の男が訪ねてきた。
故郷に帰る前に顔を見にやって来たというのだが、淡々と語り出した彼の近況は……。
REVIEW
岸田國士戯曲賞を受賞した加藤拓也と窪田正孝の組み合わせということでチケットを取ったものの、窪田くんの代演で平原テツさんとなった今作。久々の加藤拓也の戯曲でヒリつくだろうなと思っていたけど、そんな色々が重なっていっそうグッとくる作品に感じた。
物語が描くのは端的に言えば男の人生で、特別ドラマチックでもないけど、普通でもない世界。死ぬまでの間にそこまでたくさんの人と関わってきたわけじゃなさそうだけど、それでも自分を吐露できる友人たちがいて、最後に一緒にいてくれる家族がいて。やりたいこともまだまだたくさんあっただろうけど、全うできたのかもしれないとなんとなく感じられるクライマックス。『いつぞやは』というタイトルから感じる過去への明るい想いがじんときた。加藤拓也の戯曲なのに嫌なやつが出てこない、と終わった瞬間思ったほどさっぱりしていた。これがシス・カンパニーのプロデュース作品ということなのか?しらんけど。嫌なやつは出ないけど、この日本を舞台に主題ではないところで大麻がナチュラルに出てくる世界はかなり若いなと思ったし、そこはらしいなと感じました。
窪田正孝主演で見たくなかったとは言えないけど、平原テツさんの佇まいにかなりやられてしまったのでこの布陣で見られて良かった。うん。
めちゃくちゃ余談だけど、加藤拓也って10億円の山内仁平に似てる。