取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

映画『初恋』

f:id:aooaao:20200301195845j:plain

www.youtube.com

アニメーションの使い方が格段と上手くなっているので100億点!*1

あらすじ

欲望うずまく新宿・歌舞伎町。天涯孤独のプロボクサー・葛城レオ(窪田正孝)は稀有な才能を持ちながら、負けるはずのない格下相手との試合でまさかのKO負けを喫し、試合後に受けた診察で余命いくばくもない病に冒されていることを告げられた。
あてどなく街を彷徨うレオの目の前を、少女が駆け抜ける。「助けて」という言葉に反応し咄嗟に追っ手の男をKOする。が、倒した男は刑事! レオは懐から落ちた警察手帳を手に取ると少女に腕をひかれ現場を後にする。少女はモニカ(小西桜子)と名乗り、父親に借金を背負わされ、ヤクザの元から逃れられないことを明かす。さっきレオが倒した男は刑事の大伴(大森南朋)で、ヤクザの策士・加瀬(染谷将太)と裏で手を組み、ヤクザの資金源となる“ブツ”を横取りしようと画策中。その計画のためにモニカを利用しようとしていた。

ヤクザと大伴の双方から追われる身となったレオは、一度はモニカを置いて去ろうとするが、親に見放され頼る者もいないモニカの境遇を他人事とは思えず、どうせ先の短い命ならばと、半ばヤケクソで彼女と行動を共にする。

かたや、モニカと共に資金源の“ブツ”が消え、それを管理していた下っ端組員のヤス(三浦貴大)が遺体で見つかったことを、その恋人のジュリ(ベッキー)から知らされた組員一同。組長代行(塩見三省)のもとで一触即発の空気が漂う中、刑期を終えて出所したばかりの権藤(内野聖陽)は、一連の事件を敵対するチャイニーズマフィアの仕業とにらみ、組の核弾頭・市川(村上淳)らと復讐に乗り出す。ヤスの仇を自らの手で討ちたいジュリもそれに続いた。

一連の黒幕と疑われたチャイニーズマフィアのフー(段鈞豪)もまた、売られたケンカを買ってシノギを乗っ取ろうと、モニカとブツの行方を追うために、構成員のチアチー(藤岡麻美)に命じて兵力を集めにかかる。

ヤクザと悪徳刑事にチャイニーズマフィア。ならず者たちの争いに巻き込まれた孤独なレオとモニカが行きつく先に待ち受けるものとは……。欲望がぶつかりあう人生で最も濃密な一夜が幕を開けた!

STORY | 映画『初恋』オフィシャルサイト

感想

前提として三池崇史がどちゃくそ好きな人間が書いています。それでも『無限の住人*2とか『テラフォーマーズ*3とかは心が死んでました。直近でまだ面白かったのは『極道大戦争』だなって感じだったんですけど、きましたこれは。そもそも10年ぶりに窪田正孝を主役に使うってとこでそれだけでエモ中のエモだったけど、そこに中村雅って『QP』じゃん…2016年の私におめでとうって言ってあげたい。『新宿桜幻想』じゃなかったけどこれは最高のラブストーリーだった。

aooaao.hatenablog.com

『初恋』というタイトルはつまりこの映画の中で書かれているモニカの「初恋」を意味していると思っているのね。まずその表現が良い。夢見がちにもせず、とはいえ現実の厳しさで殴ってこない。三池崇史にしては優しい!!!ロードムービーになってるのも良かった。っていうか全部良かったんだって。(キレ芸)

似たテーマの作品がないとは言えなくて。例えば『あゝ、荒野』なんてボクサーの話だし、あっちの二人はバラバラになってしまって悲しいなと思ったり、三池崇史が総監督だった『QP』にもボクサーでてきたしね。だからテーマとして新鮮さがあるかというとうーんなんだけど、それでも三池監督が本領発揮してくれることがどれだけありがたいことか…!ヤクザものを下品に、かつスタイリッシュに描けるのは三池崇史だけだと思っているので、冒頭の頭ごろんからアドレナリンドバドバでてしまって、自分の中の「これが欲しかった!!!」って欲求に勝てなかった。ほんと、日本刀ブン回すの大好きだよな…私も好きです。

ここからは思いついたベースで書き散らします。

窪田くんが鬼ほどかわいい

そんなの知ってるよって感じだとは思ってるんだけど、例えば今までの窪田くんが「幼いかわいい」だったら、今回の窪田くんは「大人かわいい」だから。本気です。そんな私が書いた窪田くんのおすすめはこちら。

aooaao.hatenablog.com

窪田くんがどんな作品に出ようとも、このランキングを揺るがすような作品は最近めっきりなかったんですけど、『初恋』は確実に上位に入る。うわ~悩む…2位かな…いちいかな…

そんなことはおいておいて、自暴自棄な窪田くん好き。あとレオくんが案外ツンデレじゃないキャラクターだったのも良かった。いるじゃん、面倒くさそうなの。でも窪田くん演じるレオくんは全然面倒くさくない。行くとこないって女の子には手を差し伸べるし、恥ずかしいこともちゃんと言える。素直!偉い!ちょっと『ガチバン』*4の勇人を思い出したよ(涙)私と同じようなことを斎藤工オッパが言ってるので観て。

youtu.be

『ガチバン』では女子*5を救えなかったんだよねたしか。

余談だけど上の動画でオッパが『ガチバン』に三池さんが関わっているって言ってるけど、監督自体は違くて、『ガチバン』の制作会社の楽映舎が三池さんと近いんですよねかなり。で今回の『初恋』も楽映舎で作っててというやっぱりエモな感じなわけですよ。最近も渋谷区桜ヶ丘のあそこらへんを歩いていたら三池さんとすれ違ってしまいまして、私は思わず声をかけてしまった訳です。とんだけファンなんだよ。

話を戻して、窪田くんはかわいいってことです。そして話的にも、アクション的にも、『ガチバン』や『QP』が好きな人にはグサグサ刺さるはず。

小西桜子ちゃんがずっと無垢

これ良いのか悪いのか1回しか観てない私にはまだ判断がつかないんだけど、あんだけ荒んだ生き方してるのにめちゃくちゃ綺麗なままなのすごくない?擦れてないというか、変な臭いしなさそうというか。だからこそそれで良いのか分からないところではあるんだけど…。あと、幼女の表現がホラー。これは三池監督に言いたい。ふとした瞬間のホラー描写が得意なのは分かってるけど普通に怖い。心臓が持たない。

観てないけど、桜子ちゃんと窪田くんって『ファンシー』って映画で共演していて、どっちが先か知らないけどそんな続くことあるん、新人さんやでって思ってる。

fancy-movie.com

思ってるだけで特に何か言いたいわけじゃないけど、そいうのって続くもんなんですね。そっちでもまあまあ脱いでいるらしい。インタビューで窪田くんが三池監督と桜子ちゃんのやり取りを見ていて「10年前の自分を見ているみたいだな」と思ったというから、純なほどあの無垢さが生まれてたんだなと。すがるような目が少しだけ色っぽくて好き。

染谷将太大森南朋の最高バディ

最高バディっていうのはGO ON THE RAMPAGEの歌詞から引用したんですけど、マジで誰得な引用なんだよですね。解ってます。

三池崇史の映画によく出てくるおかしくなっちゃう方のヤクザ(もう一方は最後までめっちゃかっこいいヤクザ)こと染谷将太。なんやかんやあって、そこまでももうやけくそな殺人が多くて笑ったんだけど「全部バレた」ってとこからのはじけっぷりが一周回って滑稽。そこも見どころではあるんだけど、やっぱりその前に大森南朋おじと一緒に二人で女を探しに行くぜってところのやり取りめちゃくちゃカタルシス!その先の結果までそこで見えたもん。

大森南朋おじは「Unidyにはなんでもある」というパワーワードによって会場一の笑いを作ってましたね。わかる。キャラクターとしてはそこまでおいしい役じゃない(いや、ほかが強すぎる)んだけど、やっぱりおおいう役をさせたら右に出る者はいない。

最高バディではあるんだけど、二人でいると死しかないのが目に見えているというタイプの最高バディでした。

最狂メンヘラ女子ベッキー

とか書いてるけど、ほんとめちゃくちゃに純愛なのはベッキー演じるジュリちゃんだからね。私はこういう系の女子好き。『踊るリスポーン』*6の声ちゃん並み。自分の命が危機に晒されていても、危機を抜けたら一目散に男に電話をかけ、出てくれないならZenly的なアプリで場所を確認して、家にいることが分かったら速攻車飛ばして、なのに男を殺されてギャン泣きするジュリちゃんめちゃくちゃ愛。役ではあるけどベッキーが愛に生きている姿を見せてくれる三池監督、かっこいい。良い悪いじゃない!そういうことができる女なんだ!!!って感じですね。何を言ってるんだ自分。

ここで他の誰かをディスるのは何かなって思うけど、三池監督の女子とか今の取り入れ方に個人的には全く不快感がないんだよね。もしかしたら性産業に従事するのは女ばかりって嫌になる人はいるかもだけど、今までの昨日では男性がそういう仕事をしていることもあるし、不快になる男女間の差別は感じない。それに先に書いたZenlyっぽいやつとかちゃんと知ってないと面白おかしく話に入れられないからそういうとこ本当にすごいなと思います。はい。某監督&某脚本家のつまらなさって学ばないことから生まれるんだろうなって。以上、ディスでした(結局)

ジュリちゃんシーンは割とコメディではあるんだけど、それは狂気が振り切れているからであって、本人は大真面目だし、目的を果たしたときの泣き顔が可愛そう過ぎた。あんだけ死なない子だったのに、意味がない人生にが未練がないというような心意気。ヤス(三浦貴大)のどこが良かったのか最後まで分かんなかったけど。

超絶かっこいいヤクザたち

組長代行の塩見三省さんが渋くて最高なのは言わずもがなだと思うんだけど、それにも増して村上淳のとどまることないセクシー。いや、中島健人がセクシーっていうのは理解してはいる。でも、村上淳サイコーだよ?なんで?世の中?気が付かない?すっげえ若い子と付き合っててほしいわ。頼む。

あとはやっぱり権藤役の内野さんすげえ。ほとんど台詞ないまま進んでいくのに、最後の怒涛の持って行き方。朝焼けと権藤。古臭いヤクザって言われようが自分の美学を貫いていく。もしかしたらそんな存在絶滅危惧種なのかもしれんけど、三池監督のこの手のヤクザ好きだよ。私は(倒置法)彼みたいなヤクザがいなくなるなら、全員下衆ってくらいの雑さじゃないとヤクザ映画なんて見ないからね!!!

中華の仲間由紀恵(違う)

孔子の「仁」の教えを愛するチャイニーズマフィアのチアチー鬼ほどかっこいいんだけど、めちゃくちゃ仲間由紀恵に見える!!!藤岡麻美さんていって実はディーンフジオカの妹らしいんだけど、そんなことどうでもいい。かっこいい!!!でもチアチー、出てきた時から死亡フラグは立ってた!少なくとも権藤とは戦うんだろうなって思ったら、なんで!!!出会えないの!!!泣いたーーー(9太郎)

終わりに

作品評をするほど回数観てないし、そもそも三池監督の作品を点数付けすることがナンセンスだと思っているのであれだけど集合知的に言えるのは、三池崇史と中村雅の組み合わせは最高!!!ヤクザ映画は健康に良い!!!窪田くんはかわいい!!!以上です。

 

 

10000000000000000000回言うけど、やっぱり三池崇史はこれが好き。

aooaao.hatenablog.com