取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

映画『闇金ドッグス7』

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STORY

生活保護費をだまし取られた債務者と年老いた母親が無理心中したことから仕事に嫌気が差した須藤司(青木玄徳)は、闇金の世界から足を洗い、キャバクラでボーイとして働き始める。一方ホステスのエマ(逢沢りな)は、昼は会社員として働き、家では交通事故で体が不自由になった姉の介護をしながら、夜は司が勤めるキャバクラで働いていた。司はエマと親しくなっていく過程で、彼女が700万円の奨学金を返さなければならないことを知る。

映画『闇金ドッグス7』 - シネマトゥデイ 

REVIEW

若手俳優にアテられる逢沢りなの安心感がすごい。これめっちゃどうでもいいことなんですけど、『華鬼』の時からお世話になってますって感じで、まさかワタナベか???と思ったんだけど違うのな。『メサイア』にも出てたよねうん。

青木玄徳氏の顔の鋭さが際立っててもはや凶器だったうえに、前山剛久氏のホスト役めちゃ最高だったん・・・ファンにはエグいおまけ付きだし。『マジックナイト』観た過ぎなんだけどどこに行けばいい???

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エグい・・・ショタな趣味恐ろしい・・・「サイコーに罪と罰だぜ」わかる。でもさ、これ読んでから一概に否定できるものなのか判断がつかないので困ってる。むずいよめっちゃ。

『ラブセメタリー』木原音瀬|担当編集のテマエミソ新刊案内|集英社 WEB文芸 RENZABURO レンザブロー

女が腹くくって吉原で働くっていう考えにあまり抵抗感がないんだけど、抵抗感がないのはどうなん?とは思う。そんな中ドラム缶で問題解決する忠臣さんは相変わらずかっけえ・・・最近の忠臣さんのようじょみが村山と重なってしんどい。めちゃかわじゃん。なんだかんだ須藤司に戻ってきてほしい気持ちが溢れてるし。なんだかんだ楽しそうだし。闇金やる苦悩の根本的な解決にはなってないんだけど、それもこのシリーズの生ぬるい空気感とあっていて良いなと思った。職業に向き不向きがあって、それと好き嫌いはやっぱり違うんだなというか。仕方ないという空気感が私は好きなんだろうなと。あと個人的にツボなのは闇金屋の想い人がソープ嬢っていう状況な。『池袋ウエストゲートパーク』世代としては、職業:ソープがあってもそうそう驚かないし。毎月、吉原に出向く須藤司を私は影で見つめていたい。それを笑顔で迎えるエマに貢ぎたい。

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前作で結構気分が落ちていたけど、やっぱ好きだな闇犬。

 

OFFICE SHIKA PRODUCE VOL.M『不届者』

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STORY

新之助紀州藩藩主の四男として生まれたが、母は農民、育ちは卑しく、出世に縁が無い。
「自分は何者なのか」と苛立ちを募らせるが、ある日、次男が幼くして死んでいるという噂を耳にする。
満開の梅の下、新之助は胸騒ぎがした。
「他の兄たちもいつ死ぬか分からぬではないか……」

幼馴染の相棒・村垣左太夫と共に、薬学・暗殺術の研究に没頭していくようになる。
元服した新之助は「徳川吉宗」と名乗り、いよいよ行動を開始する。
長男の紀州藩三代藩主を左太夫と共に暗殺したのを皮切りに、次々に兄弟たちを毒殺、吉宗は二十二歳で紀州藩五代藩主となる。
既に吉宗の目には全ての人が敵に見えていた。
「恐怖から逃れる為には一番上、江戸幕府の将軍になるしかない」

吉宗は、更なる野望の炎を灯し始めた。
一方、徳川御三家の筆頭である尾張徳川藩では、吉宗のライバルとなる男が名乗りを上げていた。
徳川宗春」吉宗とは逆に派手な男で、人柄と気前の良さで尾張の民に人気であった。
将軍の地位をめぐり、吉宗と宗春は死闘を繰り広げることになる。
時空を超えた、不届者たちの不届きな舞台である。

不届者

REVIEW

秀逸で精工で非の打ちどころのない作品だったとは決して思わない。この世の中に史実と現実を重ねて展開される物語が少ないわけでもない。でもこれが松岡充と丸尾丸一郎の二人で作り上げた作品だと考えた時、彼らを応援しているファンが本当に羨ましいなと思った。

イチから作っているだけあって、登場人物はみな宛書に近いんだろう。丸尾が見詰めた先のキャラクターたちはどれも愛おしく、いきいきとして、哀しいまでに可愛らしかった。劇団鹿殺しのメンバーと客演のどちらかだけに目を奪われるわけでもなく、ひとりひとりが本当に生きている人のようにそこに存在していた。それがなんだかうれしくてうれしくて。鹿殺しの作品は『竹林の人々』『キルミーアゲイン』『田舎の侍』で4作品目なのだが、正直劇団員に心を奪われたのが今回が初めてで、特に椙山さと美演じる聖子にはずんと心臓を掴まれた。

ハッピーエンドでないし、綺麗でもない。身勝手で、突発的で情けない人間のなんと醜いこと。でも人生というのはそういうなんともしがたい人間の愚かさを噛みしめることなのではないかなとも思う。でも、そうそう自分にそんな出来事は起きないし、起きてほしくもないからこうやって演劇を観たり、本を読んだり、映画を観たりする。そうしてまた生きていこうと思ったりするんだなって。そんな気がする。

というところで、以下キャラクターおよび俳優について思ったことだけ書きます。

松岡さんって立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花なんじゃない?って本気で思ってしまった。何あの46歳。すごくない?さらっと羽織を羽織るだけで美しいってなに?あれだけ顔が整ってるとヒモ感にリアリティがある。本当に悪気がないまま全部が進んでしまったって思ってそう。

荒木さんの役は数年ぶりに会った幼馴染の梅本(松岡さん)の悪事に手を貸す役なんだけど、普通に梅本のこと好きすぎだよね。梅本への執着にも似た感情があふれ出しているのを私は見てしまった。自分の人生を人に託すというか、壊れる時は諸共な感じ。無理そんなの好きすぎる。ってか台詞だとしても、梅本が影山(荒木さん)に「アイドルとかダンスグループとかねえよな」という趣旨のことを言った瞬間ちょっとだけしゅんとした。D☆DATEではLove Heavenが好きです。

小沢のみっちーさんは最初のキャスパレ終わって喋りだすまで彼だって気が付かなかったからマジで。これは本当に。美しいってわけじゃないのに自然だった女装が。マジで。そういう役どころだからか、男性が女性器を作る話を叫んだりするんだけど、私の精神が幼児だからそれがサイコーにカッコ良くて好きだった。愛してる。あと、みっちーさんの周辺だけ天王洲じゃなくて下北沢だった。

そしてなんといっても池田純矢。まず存在がえっちだった。

 控えめに言っても最高じゃない???

 女の復讐で梅本を追い詰める時のあの顔。タンくんを無表情で蹴ったり、おしぼりを客に投げつける時のあの顔。めちゃくちゃ好き。なんだろう、満ち溢れるサド感。でも本質がサドかっていったらそうでもない気がする。パンフレットのインタビューにも書いてあったたけど、彼は「相手によって自分を完全に変える才能」の持ち主だから、まあつまりピエロなんだよね。ピエロって真ん中にいてみんなから注目を集める時もあれば、周辺でちょこまか動いて笑わせる時もある。彼もそういうところがある。だから私は彼が真ん中に居て決まったことをしなくちゃいけない状況じゃなくて、自由に動いていいっていうバッファーがある時の方が力を発揮しているように思っている。へらへら笑う顔の裏で泣いている。派手な格好も真には弱い自分自身を隠そうとしている。まあ正直に言うと、ピッタリとした黒服姿が一番好きだけど。

で、池田純矢の演技が好きって話まだする?それは今までの努力の賜物なんだろうとは思うんだけど、ふらっとサンダルで来てストレッチもせず、現場でしか台本を読まない、俳優で声優で劇作家で演出家ってやっぱすごい(小並感)いっそ生まれ変わりたいもん。あの背の低さでも無問題。顔と言葉で普通にあらゆるものを性別を越えて侍らせたい。芸能界で染まったんだろうなって思うひねくれ感もいいと思う。早めにいろんなこと経験してそう。知らんけど。「エン*ゲキ」ね。あれと相性が悪いの私。どうしたらいい?

最後の方なんか愚痴になっちゃったけど『不届者』観て。大阪まだ始まってないから。観るしかないでしょ!!!

 

natalie.mu

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PARCO STAGE『人間風車』

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STORY

売れない童話作家の平川(成河)が披露する奇想天外な童話に、近所の子供たちは大はしゃぎ。
けれども、童話の登場人物や題名はレスラーの名前、テーマも"三流大学出身より高卒の方がまし" だから、子供の親からはクレームばかり。
公園に集まる子供たちの中には、へんてこ童話の主人公になりきって現れる奇妙な青年・サム(加藤諒)がいた。
ある日、平川はひょんなことからTVタレントのアキラ(ミムラ)と知り合う。その出会いは平川の作風にも大きな変化をもたらしていくのだが…

人間風車| PARCO STAGE 

REVIEW

鉄コン筋クリート』 という松本大洋の漫画がある。クロとシロという少年が居場所を追われ、戦い、苦悩し、最後は自分たちの新たな場所を見つけるという話だ。クロはシロを身をていして護り、シロはクロを精神的に支える。ときにクロが闇に飲み込まれそうになっても、クロを救うことができるのはシロだけ。これは偶然で、奇跡なんだ。クロにシロがいたことも、シロにクロがいたことも総て。

鉄コン筋クリートall in one (ビッグコミックススペシャル)

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鉄コン筋クリート (通常版) [DVD]

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 『人間風車』は平川という人間の破壊と後悔の物語。ただただ闇に落ちていくばかりといえばそれまでだ。平川は人間の無垢を持ち、邪悪を育て、悪の華を咲かせてしまった。そして後悔する。死ぬまで生きて苦しみ続ける。もし彼に、彼を理解しいつも寄り添ってくれる存在があったら。もし彼に、理解し分かり合える存在があったら。クロのシロ、シロのクロが居てくれたら。恐ろしい怪物と決別することができたのではないかと思わずにはいられなかった。もちろん、それは平川自身のせいでもある。彼は他人を理解し分かり合うような関係構築をしてきていないように思える。人望、人徳のなさというのか。ある側面では「いい人」であるかもしれないが、他人から見れば「クズ」かもしれない。彼は彼自身の軽率な言動で彼はアキラを失い、国尾に裏切られ、小杉に馬鹿にされた。最後、かわいそうな平川はいつまでも自分の中に悪を飼いながら生き続けることを観客は知る。そうして観客は平川を通して人間の愚かさと、美しいものの儚さを同時に知る。私はこの作品を観て、純粋無垢に誰かを信じたり愛することの難しさというものは、信じたい愛したいと思うほどに大きくなっていくものなのかもしれないと思った。

この物語は残酷だ。人は惨たらしく死ぬし、救いようのない展開が広がっていく。視覚からの刺激は大したことではない。平川の物語を聞いたサムのように、観客の中で大きく膨らんだ想像力がどんどんどんどん心から余裕を奪っていく。全部自分が作り上げた虚像だと分かっているのに、実際に目で見るよりも恐ろしい。この感覚がとても不思議だった。

平川を演じた成河さんの演技を初めてみた。初めのうちは子供のように無邪気な平川が悪に取り憑かれ暴走し、自らの愚かさに絶望する様子は、苦悩する平川その人だった。台詞量は相当なものだったが、闊達に言葉が連射されるのは小気味よく、伸びのある声は最後まであふれる源泉のようにとめどなく発せられていた。すごい。つかこうへい劇団わかるという感じ。一公演の精神の消耗は想像もつかない。

サムを演じた加藤諒くんは、残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』ぶり。彼が身を投げる瞬間、サムの無垢の中に『淋しいマグネット』のリューベンを見た気がした。サムもリューベンのように「誰か」信頼できる人を探していたのだと思う。31歳にもなって何もできない自分が、別の人物として生きることができるというのは夢のような出来事だったのかもしれない。でも、何か起こしたサムは本当に幸せだったのだろうか。サムは平川に「ずっと見ていてくれ」と懇願した。きっとサムも平川のことをずっと見ているんだろう。死ぬまで生き続ける平川のことを。

 

目当てにしていた松田凌は死ぬまでいきいきしていた。果たして今の小学5年生がいったいどんな風なのかまったくわからないが、始終楽しそうだったし、実際アフトで楽しいと言っていた。声の作り方が『パラノイア★サーカス』の少年を思い出させた。

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そして彼の気持ちがわかったからこそ私も悔しかった。

アフトは和んだ~~~。ササキさん(進行役)の知の欲求がすごくて、松田凌と矢崎広のミュージカル『薄桜鬼』の馴れ初めを話させたり、呼び方を暴露させたり、なんだったんだあれは。二人に挟まれる良知くんは「劇的に顔が良い」ってことが強烈に脳に焼き付いている。つまりはサイコーなアフトでずんと沈んだ心が救済された。ありがとう。あとは東京千秋楽なので、そこまでにまたパワーアップしてるだろうから、心を鍛えておかないとだな。

ULTRA JAPANと書いて「マジ」なんだよ!!!

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https://twitter.com/UltraJapan/status/909745070403997697

初年度ぶりに行ってきました。会場は広くなってたし、ステージも増えていて、フェス感が強かった。1ステージでフェスって言われると萎えるよね。とはいえすでに3日間フル参加する気力がないので最終日だけ。とはいえ、この3日目が最&高だった。

MIYAVI

ついてすぐ腹ごしらえをして、優雅に会場の椅子に座りながらのMIYAVI。ってなんであんなにかっこいいんでしょうね。あんだけ顔がよければ別にあの超絶技巧なギタープレイなくでも生きていけそうなのにさ。鬼に金棒とはこのこと。

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昔はちょっとソリッドなV系少年みたいな感じだったのにすっかりただのセクシーなお兄さんじゃないですか。なんかめちゃくちゃ性癖を突いてくる。無理好き。青木玄徳さんと対バンしてほしい(?)

KYGO

トロピカルトラップの申し子。いつ見てもTシャツにキャップなので好感度が高い。もちろん顔もいい。

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Apple Musicでドンキュメンタリーが観られるんですけど、これがドラマティックで、マネージャーの存在とか、色んな人に上まで引き上げられた感が面白い。

Kygo: Stole the Show (字幕版)

Kygo: Stole the Show (字幕版)

  • Kygo
  • ドキュメンタリー

DJを聞いてみるともっとポロンポロンって感じのTHEトロピカルなのかと思ったらそうでもなく、ウルトラっぽいダブな感じもあって楽しかった。お客さんの入りも良くて人気があるんだなと。トロピカルも一つの流行りだから今後はどんな広がりを見せるのかすごく気になる。決して『EDEN』の様にはなってほしくない。

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Pendulum

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普通にRobが歌ってるだけで泣いた。チョロすぎてマジでびっくり。ライブ行きたいと思った頃にはもう活動休止してたから、思いもひとしおです。観客がどんなに盛り上がってようとRobの表情が変わらないこと。イケメンかよ。ギター・ベース型MIDIコントローラー似合いすぎかよ。

どれも楽しかったんだけど、deadmau5 feat. Rob Swire - Ghosts N Stuffが異様な盛り上がりで以後ずっと聴いている。

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私は本当にドラムンベースというジャンルが好きだし、これからもこのジャンルで成功するバンドが出てきてくれたら嬉しい。Enter ShikariとかThe Qemistsあたりが後続かなと思ったんだけど、勢いは出ず。おしゃれな雰囲気なんて微塵も感じられない毒々しいバンドが現れることを祈るのみ。

Pendulum活動再開についてはこの方と完全同意です。

note.mu

 かわいいかよ。

Underworld

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最後の最後までなんでUnderworldがULTRAに居るのかよくわからなかったけど、3連休の最終日にめちゃくちゃチルな曲たちを聴きながら、カール・ハイド(ボーダーシャツのおじさん)のきもかわいいダンスが見られてよかった。っていうかDJが最高。これがDJだよってくらいの完璧さ。なんていうか、曲で高揚させるんじゃなくて完全にプレイであげていく感じ。トランス状態っぽいあの感覚。すごくいい。

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ということで今年の夏はBorn Slippyと共に終わりました。来年も行けたら良いな。

 

P.S.

タイトルはどこぞのホストの言葉を参考にしました。

映画『散歩する侵略者』

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STORY

 数日間の行方不明の後、不仲だった夫がまるで別人のようになって帰ってきた。
急に穏やかで優しくなった夫に戸惑う加瀬鳴海。
夫・真治は会社を辞め、毎日散歩に出かけていく。一体何をしているのか…?

その頃、町では一家惨殺事件が発生し、奇妙な現象が頻発する。
ジャーナリストの桜井は取材中、天野という謎の若者に出会い、
二人は事件の鍵を握る女子高校生・立花あきらの行方を探し始める。

やがて町は静かに不穏な世界へと姿を変え、事態は思わぬ方向へと動く。
「地球を侵略しに来た」真治から衝撃の告白を受ける鳴海。

当たり前の日常は、ある日突然終わりを告げる。

ストーリー | 映画『散歩する侵略者』

 REVIEW

早速どうでもいいことだけど、私は映画を観る時に「○○な映画」と規定してから行く。例えば今作ならば「松田龍平が出演する映画」もしくは「黒沢清の映画」そうでなければ「イキウメの作品が基になった映画」。それで結局今回は悩んだ結果3つ目の視点で観た。はずなのに、感じたのはやっぱり映画と舞台とは違うんだなってこと。もちろん物語全体は『散歩する侵略者』なわけで、別物であるという訳ではないけれど、ある人たち(これで言うイキウメ)の作品かというとやっぱりそれは違う。例えば高杉真宙くんの台詞回しなんかはそれっぱい畳み掛け感があったけれど、それは彼のアプローチの問題であり、作品自体の一体感とはまた別の問題。それでも長谷川博己は胡散臭い記者にしか見えなかったし、恒松祐里ちゃんの圧倒的な身体把握感とふてぶてしさは最高だった。

それでもって、良くも悪くも黒沢清臭が強い作品だなとひしひしと感じたのだけど、やっぱり黒沢監督の作品は血の描写が良い。ためらいがない。私はめちゃくちゃ好き。嘘臭い感じも良い。映画だもん、刺激がほしいの。ただ、SF映画、しかも登場人物が宇宙人を名乗るとなったらどうやっても『美しい星』を思い出してしまう。

aooaao.hatenablog.com

だからなんだって話なんだけど、なんかもうちょっと違ったテイストかなと思ってたのに、海を前に感慨深そうに立つ感じとかめっちゃあれやん、相似やんと思ってしまった。別にいいんだけど。ちょと馬鹿すぎてこれ以上はよく分からないから黒沢さんと前川さんの対談記事読むね。

www.cinra.net

natalie.mu

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filmers.jp

ところで、松田龍平は通常営業だなと思ったけど、私は彼が自分とは「全く」異なるキャラクターを「演じている」ところが好きなのでもうちょっと意外性がある感じこないかなと思っています。例えばチャラいヒモとかね。あ、そんなの『アヒルと鴨のコインロッカー』でありましたね。長澤まさみの演技を真剣に観たのは多分5年ぶりくらい。あまりに気にしてなかったんだけど、奥さんだったら嬉しいなと何目線かわからん感想を抱いてしまった。TLでホットな話題と言えば長谷川博己のサクライと高杉真宙のアマノくんの関係性だけど、無条件で好きって思った。タチバナを見てて思ったんだけど、彼らの星で人間と同じような性別感がないとしたらアマノくんが侵略した身体が偶然少年だったってだけでワンチャン(?)ある。馬鹿は休み休み言え。

は~やんなっちゃうな。

映画『50年後のボクたちは』

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STORY

マイクは14歳。クラスメイトのタチアナに片思い中だが、臆病者で話しかけることができない。クラスでははみだし者で、授業でアル中の母親についての作文を読むと、同級生から「変人(サイコ)!」と笑われ、先生から大目玉を食らう始末。

ある日、担任が転校生を連れてやってきた。チチャチョフという聞き慣れない名前。
「どこの出身か自己紹介を」
「面倒くせえ」
どうやらロシアのかなり遠い所から移住してきたらしい。目つきが悪く、変な髪型で二日酔い。とんでもない奴がやって来たと、転校生・チックの噂はすぐさま学校中に広まった。


夏休みが始まった。
ある日突然、チックが青いオンボロのディーゼル車“ラーダ・ニーヴァ”に乗って家にやってきた。
「盗難車か?」
「借りただけさ あとで返す」
「捕まるぞ」
「俺は14歳だ 刑罰は15歳からさ」
恐る恐る、車内を見渡すマイク。
「ドライブに行こうぜ」

そして2人はチックの祖父が住んでいるという“ワラキア”を目指して旅に出た。
トラブルに遭遇しながらも旅の途中でいつくもの出会いと別れを繰り返していく。やがて無鉄砲で考えなしの旅は、マイクとチックにとって一生忘れることのできないものになっていく――。

映画『50年後のボクたちは』公式サイト

 REVIEW

いつの間にか9月だし、すっかり秋だし、でも暑い日があったりでまだ夏かもなんて思っていた私の夏もこの映画と共に終わったななんて。

そんなセンチメンタルな感想はひとまず、少年たちのひと夏の思い出ロードムービーかと思ったらそれだけでは終わらず、不思議な転校生チックが大きな告白と新たな謎でマイクや私たちを驚かせてくれた。

どこの国の映画だっけ?とおそらくドイツ語を聞きながら思ってたんだけど、マイクもチックも本当にかわいい。マイクは生意気な子供って感じで今この瞬間だけの可愛らしさを愛でていたいと思うし、チックは憎めないモンゴリアン(イメージです)ヨーロッパの人のロシア系のイメージってどうなんだろう。私は確実にモンゴル人だと思ったよ。

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14歳、ぼくらの疾走: マイクとチック (Y.A.Books)

14歳、ぼくらの疾走: マイクとチック (Y.A.Books)

 

YA小説って響きが懐かしい。金原瑞人が翻訳した小説を読み漁った中学生時代。フランチャスカ・リア・ブロックが大好きだった。『“少女神"第9号』は今でも美しい本だと思う。

“少女神”第9号 (ちくま文庫)

“少女神”第9号 (ちくま文庫)

 

 話がそれた。10代なんてとうの昔に終わってしまったけど、こうやって映画として観ることで自分の送ってきた日々を思い返せるって素晴らしいなと。爽やかな気持ちで映画館をあとにできる作品でした。

 

蛇足

 ああ!名前は知っていたけど検索することもしなかった『チック』という舞台が同じ原作だったのですね…観ておけばよかった…

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池岡亮介という俳優について(お題へのアンサー)

池岡亮介について語ってください。ブルーさんのものの見方、文章の書き方だいすきです。

https://odaibako.net/detail/request/d7c6b689c16840f388d87b90deee90b9

といただいたので今まで観たことがある作品を確認してみました。

舞台

  • Dステ 12th「TRUMP」(2013年1月 - 2月)- ピエトロ・ロンド/ガ・バンリ 役
  • Dステ 17th「夕陽伝」(2015年10月 - 11月) - 毘流古 役
  • 残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』(2015年12月、AiiA 2.5 Theater Tokyo) - 雷蔵
  • Dステ 20th「柔道少年」(2017年2月) - イケオカ・リョウスケ 役
  • 男水!(2017年5月) - 神宮一虎 役

ドラマ

映画

多分最初に観たのは『TRUMP』かな。正直その時はなんとも思ってなくて、『ポールダンシングボーイ☆ず』を観ても特段記憶になく。その後ぐらいに「春どこ2012」で頑張って喋ってるいけぴかわいいな、阿久津に絡まれてるな、って漠然と思いはじめて、そこらへんから「顔がかわいい・・・」と確信し。そんな辺りで観たのが『夕陽伝』でした。『夕陽伝』で毘流古を演じていたいけぴはなんかすごかった。

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いけぴであっていけぴではなくて、ニュートラルなのに違和感がある。存在総てが役であり池岡亮介であるみたいな。なんていうか変態っぽいなって。自分でも言ってたし。

――毘流古は骨がなく生まれついた異形の者で、それゆえに親に捨てられた恨みなどを抱えて生きている悪役。本当に強烈なヒールだったのですが、脚本の末満(健一)さんによると、あてがきだそうですね。色気のある悪役ができるんじゃないか、ということで。

池岡 Dステ「TRUMP」(2013年)という作品で演出していただいたとき、「アイツには絶対変態な部分がある」と思って、ああいう役を書いてくださったそうです。母親も「確かにそれはあるよね」って言ってましたし、僕のそういう変態な部分は、毘流古を通じて出せたと思います(笑)。

デキメン列伝【第11回】池岡亮介 | ローチケ演劇宣言beta版

その後も残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』でかわいいオカマちゃんが似合っていて(?)最高だった。『柔道少年』『男水』はどちらも個性的な役柄で、こっちの役で活きてくる役者さんなんだなと。

――池岡さんは1993年生まれの現在22歳。想像よりも低くシブい声をしていたり、お会いすると、実年齢より大人っぽい印象がありますね。

池岡 よく言われます。多くしゃべらない方だし、人とのコミュニケーションに対してあまり積極性がないので、ただおとなしいという意味でそう見られるんじゃないかなと思ったりするんですけど。でも一時期、頑張っていたときはあったんです。D2(俳優集団D-BOYS内ユニット)に所属していて、個性派集団ということで、以前は「自分の個性ってなんだ?」ということをすごく追求していて。個性を出さなきゃとか自分のポジションを確立しなきゃとか、そのときはすごい頑張っていましたね。頑張ることが正義だと思っていたというか。人との関わり方も、積極的に会話に入っていこうとしたり、こういうことを言ってほしいんだろうなとか相手の気持ちを汲み取りつつ笑顔を絶やさず話したり。で、自分の気持ちとは裏腹なことを言ったりしたこともあったし、笑顔で話していれば嫌われないかなとか、平均的なものをずっと探していた感じはありました。でもなんかそういうことを頑張らなくした途端、すごく楽になったんです。余計なことを考えずに役にものめり込めるようになったし、僕に着いてきてくれるというか、一緒にいてくれる人も増えた気がします。

デキメン列伝【第11回】池岡亮介 | ローチケ演劇宣言beta版

 多分ですけど、彼が自分のこと普通だなって思ってた時に感じていたプレッシャーが今はない状態になって彼の素が出てきたら実はめっちゃ面白い人やってんみたいな感じかなと。いやだってなんかすごい爆弾持ってそうじゃん?でもそれを聞いてもなんか許しちゃいそうな自分がいる。あと妹に甘いお兄ちゃんキャラが加わって最強になってきた。

 ぐうかわ。

先日のLINE LIVEでも『関数ドミノ』でがっつり会話劇ができるのを彼自身も楽しみにしていると言ってたけど、私も楽しみです。個人的には『夕陽伝』のまだらひるこコンビが好きだったこともあり、鈴木裕樹先輩とシュールな空気感で会話しているところをエンドレスで見たい。つまりは飲み会をピーピングしたい。あと3年に1回くらいのペースで『コープスパーティー』みたいなイケメン枠での起用がほしいです。まぁつまりはどんな役を演じていても好きな俳優ってことですね。