取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

時折思い出す受験ソングの話

受験ソングって言ったら、卒業ソングとか、結婚ソングとかみたいに一概にこれというのはないと思うけど、私はThom YorkeのThe Eraserだった。

北関東の、一応進学校に通ってて、だけど市外に通う形だったから、夏休みなんかは特別な授業がない限りは市立図書館で朝から夕方くらいまで勉強してた。朝っていうのは家の仕事が始まる前、大体9時くらい。夕方は夜の仕事が始まる前だから16時くらいかな。もうそこら辺はよく覚えてないけど、とにかく高三の夏休みは図書館の学習室にいた思い出がある。

その図書館は本だけじゃなくて、CDとかDVDも少しだけ貸し出しのために置いてて、なぜか私はそこでRadioheadでもなく、Thom Yorkeのアルバムを借りて、MDに落として聴いてた。ずっと、永遠に、何度も繰り返して。多分私は自分が思っているよりずっとそのアルバムが好きだし、図書館の学習室が好きだし、お昼に持って行っていた蜂蜜とクリームチーズを挟んだサンドイッチが好きだった。

あんまり過去に戻りたいという気持ちは湧かないけど、いつかこの時間には戻ってみたい。勉強はつらくなかった。そのほかにしたいこともなかったから苦でもなかった。知らない高校の学生と学習室の席を取り合ったり、ある程度周りの人と顔見知りになって定位置ができたり、毎日本や新聞を読んでるおじさんを見つめたり、窓の外の緑を眺めたり。ひとりだったけどひとりじゃできない思い出が沢山ある。

人との繋がりって脆いなと思うけど、身の回りに起きていることに文脈を感じて、今の今まで覚えている人たちのことは好きだし、多分これからもそう簡単には忘れない。そういう瞬間を集めるために生きている気もする。

余談だけど、そうやって勉強して入った大学1年目の夏。音楽フェスでatmos for peaceを見た。そこでこのThe Eraserも演奏していた。その時、私の人生の初めの辻褄が合った気がした。