取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

映画『チワワちゃん』

キャストと監督で観ることは決めてました。でも最近の心の映画離れからして観に行かないままま終わるかもななんて思っていたんですけど、なんたってTLの人気が高い。通っているネイルサロンのBTSファンのお姉さんも「観たい」という。どうなってるんだ。そんなに注目されてる映画じゃないだろ。みんなあれだろ。『ボヘミアンラプソディー』観に行くんじゃないの?ってなりながらチケットを取りました。

余談ですが、二宮監督は卒制で作ったという『スラムポリス』で度胆を抜かれてからおひさしぶりですって感じで。以前は新宿武蔵野館だったんだけど、今回はバルト9ですか。すごいですね本当に。パンフレットで監督が、卒制の公開時に声をかけてくれたプロデューサーに「この作品(原作の漫画を読んで)やりたい」言ったことからスタートして、可能な限り希望のキャスティングが叶って作品が出来たらしいことを知るとなんか持ってる人だなと思わずにはいられない。これからも期待しています。

話は戻って『チワワちゃん』、岡崎京子の漫画の中にある若者の焦燥感と欲求、孤独感を如実に描いていて、TikTokみたいな映像やテクノ系の音楽も個人的にはドンズバだった。いろんな人も言ってるけどチワワちゃんが好きな曲がPale Wavesってのも良い。完全ポップでもなく、とは言え玄人好みのCrystal Castlesみたいな振り切れた感じもなく、すごくちょうどいい。誰もが心の中に持ってるメンヘラなところがくすぐられる。

話については概ね観る前の想像通りだったけど、想像通りというのはもしかしたらまだ自分が彼らみたいな心を持ってるからなのかもしれないなと思った。事件の解決に繋がるような人も話題もないけれどそれは警察が探し出せばよい。こういう物語になるのは、そういう真実とは別にチワワちゃんを少しずつ孤独にしていって、誰にも相談できない状況に追い込んでいった原因の方。「青春の自爆テロ」という言葉がしっくりくる。ひたひたと最期に近づいていったチワワちゃんを誰も止めることができなかった。だけど、物語の誰も自分が止められたとは思っていない。どうしようもなかったと責任から無意識に逃れている。命の終わり方は違うけれど『青い春』の青木や『13の理由』のハンナの死んだ理由にすごく近い気がしている。

『13の理由』を観るべき13の理由 - i-D

群像劇の中で、一人一人と大人になったり変わっていったりするのに自分だけ取り残されていく。あるいは、誰とは言わずみんなに少しずつ自尊心を傷つけられ、裏切られ一人になる。気持ち悪いくらい言うけど昔の人の本なので『死に至る病』はみなさん読んでください。人間の根本です。

全然関係ないけどみんなタバコ吸いすぎな。最近の若者はあんなに吸わないだろ。

もう一回ぐらい観に行きたいし、DVD出たら買いたいなと思いながら、なぜかまだ観たことのないラリークラークの『KIDS』を観たくなった。借りてこよう。