取り留めもない

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映画『ANTIPORNO』

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STORY

世間からもてはやされている小説家兼アーティストの京子(冨手麻妙)は、今日も極彩色の部屋で分刻みのスケジュールをこなしていた。しかし、寝ても覚めても消えない悪夢が京子をさいなみ、彼女は自分は京子なのか、京子を演じているのかと混乱してしまう。そして、虚構と現実の間で、彼女の過去の秘密が明らかになり……。

映画『アンチポルノ』 - シネマトゥデイ

REVIEW

そうそう、園子温ってこんな感じだった。鑑賞後の感想はこれだった。

主人公は京子、もしくは京子を演じる典子。どちらでもありどちらかだけでもなく、二人は一つの人物であり、異なるキャラクターである。性に対して放埒である自分と、禁欲的な自分。その二つで一つを「演じる」という行為によって浮かび上がらせる。ポルノというジャンルを観るときに搾取される女性性を問い、反芻することが「アンチポルノ」ということだろう。そもそも、男性ばかりの観客の目にどう映ったのか私も気になる。私にとっては至極当然に「自分たち」の物語であってそういう意味で観るほかなかったが、男性を自称する人たちにとってはもしかしたら「どこぞの無様な女」を観るようだったのではないかと、そう思ってしまうしまうから。だから気になるのだ。

性に狂気する女は面白い。『恋の罪』でもそうだった。それを表現することがアンチというのなら、それもそれであることなのかもしれない。少なくとも私は、ポルノを性(生)の表現とするなら、それに対するものは死であると思っているので、「アンチポルノ」があれほど「いきたい」と叫ぶ作品とは思わなかった。

主演の冨手麻妙ちゃん。闇金ドッグスぶりに見たけれど、とても良い女優さんになるのではないかと思った。どちらも内田英治監督の『獣道*1』と『ダブルミンツ*2』が楽しみ。園子温作品にもよく出ているけれど、つくり手に愛される役者になるのだろうな。