取り留めもない

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モノモース『エンドルフィン』

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「俺はここに居たんだ」

この言葉に行き着くことは想像ができていて、だからこそそれ以外が想像できなかった。筋のような筋も提示されてはいなかったし、できるだけ排除しているように思えた。「俺はここに居たんだ」居たいと思ったことはないけど。「俺はここに居たんだ」居るしかなかったんだ。「俺はここに居たんだ」生きると決めたから。「俺はここに居たんだ」生きる理由を見つけたから。だから命以外はさほど重要ではなかった。でも、「俺はここに居たんだ」という言葉を残すことになってしまった。

エンドルフィンは彼が生きるための麻薬。生きる歓びを感じられる人はなかなか居ない。感じられるのは死にそうな人だけ。エンドルフィンはそういう人にだけ与えられる麻薬。終わりも始まりもない。いつの間にか居なくなっているだけ。エンドルフィンはそういう言葉。

山崎彬(悪い芝居)のお話は荒涼としている。と同時に生の歓びに満ちている。ナマなのだ。血の気が多く、時に吐き気をもよおす。それができるのも元気に生きているから。にしても、今なぜこんなに「生きたい」と望む作品を産み出したのか。モノモースの出発だからなのか。

三人なのに一人。同じ場所から生まれて細胞分裂しても、もとは同じっていう感じなのかなと勝手に考えていた。三人とも似てないのに、一人に見えてくるから舞台ってすごいなと。玉置玲央が叫ぶ時、他の二人も叫んでいるような。不思議な感覚。

「共感できるのは痛みだけ」

治されないまま放置された痛み。わからなくはないのだけれど、共感した痛みはどこいくのか。開始10分でこれから起こるだろうことは想像できたので、その共感した先を知りたかったなと思う。

 

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