4月に上演される舞台『Yé -夜*1』について、元となる映画のことをまとめておく。
主人公はゲイの青年で、階段状になった坂道に立って客を誘い、その体を売る、という生業をしています。そんな彼が知り合ったのは、同じ場所に立ち始めた同年代の娼婦。彼女は決して美人とは言えないのですが、自分を飾ろうとせず、顔もスッピンのまま客を誘います。2人はなぜか気が合い、客待ちの間にいろんなことを話すようになります。
そんな時、彼と一度関係を持った年下の男が、すっかり彼に恋してしまいます。こうして3人の間で、友情のような愛情のような感情が芽生えていくのですが....。
関連サイト
- 二年後また奈良に見に行きたい | ワールドカップは引っ越した後のマンションで見る・・・
- THE NIGHT | Coproduction Office
- 《夜》The Night | 好戏网
- 夜(90后导演周豪导演的同志电影)_百度百科
上記のサイトで元になったと説明されているギリシャ神話のナルキッソスの話。
若さと美しさを兼ね備えていた彼は、ある時アプロディーテーの贈り物を侮辱する。アプロディーテーは怒り、ナルキッソスを愛される相手に所有させることを拒むようにする。彼は女性からだけでなく男性からも愛されており、彼に恋していた者の一人であるアメイニアスは、彼を手に入れられないことに絶望し、自殺する。
森の妖精(ニュンペー)のひとりエーコーが彼に恋をしたが、エーコーはゼウスがヘーラーの監視から逃れるのを歌とおしゃべり(別説ではおせじと噂)で助けたためにヘーラーの怒りをかい、自分では口がきけず、他人の言葉を繰り返すことのみを許されていた。エーコーはナルキッソスの言葉を繰り返す以外、何もできなかったので、ナルキッソスは「退屈だ」としてエーコーを見捨てた。エーコーは悲しみのあまり姿を失い、ただ声だけが残って木霊になった。これを見た神に対する侮辱を罰する神ネメシスは、他人を愛せないナルキッソスが、ただ自分だけを愛するようにする。
ネメシスは無情なナルキッソスをムーサの山にある泉によびき寄せる。不吉な予言に近づいているとも知らないナルキッソスが水を飲もうと、水面を見ると、中に美しい少年がいた。もちろんそれはナルキッソス本人だった。ナルキッソスはひと目で恋に落ちた。そしてそのまま水の中の美少年から離れることができなくなり、やせ細って死んだ。また、水面に写った自分に口付けをしようとしてそのまま落ちて水死したという話もある。ナルキッソスが死んだあとそこには水仙の花が咲いていた。この伝承から、スイセンのことを欧米ではナルシス(Narcissus)と呼ぶ。また、ナルシスト(ナルシシズム)という言葉の語源でもある。
ある日、喉が渇いたナルキッソスは通りかかった池の水を飲もうとして、はっとしました。
「誰だろう、この美しい人は?」
ナルキッソスは水に映っている自分の姿を、美しい妖精と思い込んだのです。
「何と素敵な妖精だ。妖精よ、池からあがっておくれ。ぼくの前に出てきておくれ」
当然のこと、水に映った自分は何も返事をしません。
「外に出てきてもらえないのなら、せめて、ぼくがあなたをずっと見つめていよう」
自分の姿に恋をしたナルキッソスは、その池から離れられなくなりました。
そして食べる事も寝る事も忘れてしまったナルキッソスは、ひどくやせおとろえてしまいました。
それを知ったエコーは、じっとしていられません。
エコーはナルキッソスのそばにやって来て、ナルキッソスが小さなため息をつくと自分も同じようにため息をつきました。ある春の事、すっかりやせ衰えたナルキッソスは、美しい自分の姿が映っている池に手を伸ばしました。
「美しい妖精よ。今日こそは、ぼくのところに来ておくれ」
そしてそのままバランスを崩して、ナルキッソスは池の中に落ちてしまったのです。
体の弱っていたナルキッソスは、池の底に沈んで二度と浮かんではきませんでした。
ポスターにもなっている、鏡を覗き込む「水仙」はこのイメージから来ているとすると、あれは最も苦しく残酷な瞬間であり、一番美しい姿なのかもしれない。邪推だがこの神話を読んで『夜』の登場人物を見たときに、エコーに当たるのが「薔薇」で、アメイニアスが「客」の誰かか、もしくは「夜来香」だ思った。
舞台『Yé -夜-』
中国の地方都市。その寂れた裏路地に毎夜のように一人立ち、出会う客に身体を与える事で日々の糧を得ている水仙(スイシェン)。いつものように過ごす《夜》だったはずが、一人の青年と一人の少女との出会いが、その《夜》を変えていく。ゲイの自分に後ろめたさを感じながら水仙と《夜》の深い世界に溺れていく青年・夜来香(イエライシャン)。娼婦として水仙と同じショバに立つことに決めた薔薇(チアンウェイ)。
その出会いから紡がれる“自分を否定し、誰ともつながれない若者たちが、それでも、つながりを求めて生きようとする中で自分を見つめ直していく”物語。自分の気持ちに素直になれない、恋に臆病な若者たちに訪れる結末は・・・
舞台キャスト
「刺」ってどんなキャラクターなんだろうか。舞台版のオリジナルキャラクターかな。
インタビュー
北村諒単独インタビュー掲載!
北村諒が出会うべくして出会った作品に全身で挑む。
見た人の心に響く何かを届けたい。