取り留めもない

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映画『闇金ドッグス2』

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STORY

安藤忠臣(山田裕貴)は元ヤクザの闇金屋。彼が営む「ラストファイナンス」の事業もようやく軌道に乗ってきた。そんな中、自分の借金返済のために「ひまわり金融」の取り立ての手伝いをさせられていた元ホストの須藤司(青木玄徳)と再会する。須藤の女に取り入る才能を見抜いた安藤は須藤に今度は自分の仕事の手伝いをさせる。ある日、安藤は優良顧客の一人だった岡林に200万円を貸すが、返済のアテが外れ飛ばれてしまう。同時期、須藤はヘマをして回収金の100万円をライバルの闇金業者「ひまわり金融」の塩田に奪われ、そのことを知った安藤に激怒され逃げる。2つの金の回収に追い込まれた安藤は…。
 

REVIEW

うわーーー!面白かったーーー!そして物語的に観やすくなってたーーー!
ガチバンシリーズからの閉塞的なストーリーの雰囲気はそのままに、暴力ではなく人間の汚い部分を晒していくことでカタルシスを描いていて、黒永勇人にも思ったけど安藤忠臣も本当に生きてるんだと理由もなく実感。折れないし、負けない。損することは許さない。「詐欺師じゃねぇ」という言葉の通り金をむちゃくちゃに稼ごうとはしないけれど、稼ぎは重要だと思っている。社会人デビュー(?)がヤクザというだけあって、ただ地に足着いた生き方を忠臣なりに必死で見つけようとしてるけど、まだ途中段階という感じなんだろうな。
 
パート2というだけあって主役2人には役者の個性が反映されていた。舞台挨拶で山田本人も言ってたけど、安藤忠臣は山田裕貴と成長してるみたいなもんだから、芋っぽいチンピラヤクザの時は山田自身も芝居に対して貪欲で泥くさかったし、そのあとの安藤の組長時代は自分を定めきれないという山田の苦悩みたいなものが透けて見えてた。闇金になってからはどこか達観していて、もう変えようとしたって簡単に変わらない自分自身をどうやったら120%利用できるかみたいな、自らへの客観的な視点があったように思う。忠臣の「あ、また騙された」っていう顔が好きで、失望でもなくただ受け入れて悔しがる姿が愛おしい。このシリーズの中で騙されたということで言えば、勇人もずっとよっちゃん先輩に騙されてるし、その度にやるせなさを感じさせる表情をするところが忠臣と同じ。勇人と忠臣は似てるというのが私の定説です。
 
そして、青木玄徳さん!個人的に今まで彼の出ている作品を見た中で須藤司が一番しっくりきていたというか、かっこよすぎず、ちょっと滑り気味だけど、憎めないキャラクターが存分に効いていた。生き生きしてた。監督にも「演技してると調子に乗ってくる」と言われてて、「めっちゃわかるわ〜」と本人をそこまで知らないにも関わらず思った。須藤司はピエロのなんだろうな。いろいろと隠してここまできましたというのがいつも見え隠れする。そこのところはきっとパート3でわかるんだと信じてるから!
 
安藤と須藤のバディは結構ハマってる。会話をしているだけで前者がツッコミで後者がボケの掛け合いになって、漫才をする雰囲気ではないのにお笑いコンビのよう。お互いがお互いをあまり理解出来ない同士だから逆に馬が合うという感じ。レオと心愛のDVカップルの次くらいに好き。(次点は紋児と京平)
 
安藤忠臣がダークヒーロー然としてきたけど、自分の中ではこの点について良いか悪いかはまだ判断がつかない。人道的ではないけど、非道ではないラインで自分のために生きている彼は人を不幸にしたいわけじゃない。やっと見つけた堅気の道だからある程度の覚悟をもってやりたいというだけ。彼と誰を比べてるのかなと思ったけど、完全に紅井レオだ。レオはお金のために金貸をしてたけど、それよりも自分よりクズを見つけて虐めたかったんだと思う。そうしないも自分が生きていくのが惨めだから。その点で忠臣にとっての闇金は単なる仕事だから不要なことはしないし、割り切れてる。レオもダークヒーローと言われてたけど、彼には忠臣ほどの社会性はない。忠臣のヒーローっぽさの一因は、クライマックス直前のシークエンスで問題解決していくところのせいもあるかも知れない。どこで頭を鍛えたの忠臣…。
 
今回はびっくりするくらい笑いどころがあって(主に青木玄徳のおかげ)、スタイリッシュで、でも最後は救われないところもあって、やっぱり『闇金ドッグス』最高だなって。池谷雅夫大好き。これだったら若手俳優厨でも、Vシネ大好きおじさんにも勧められるし、マジで売れろ。唯一の心残りは、今作にはタイマンがないので最後に一戦して勝つっていう定番の構図がなくなったこと。これ割と寂しい。
 
あと一回は観に行きたいんだけど、来週中は難しいかなぁ。観たいなぁ。観たい。観てね。
 
 
スタッフ
監督: 土屋哲彦
脚本: 池谷雅夫
 
キャスト
安藤忠臣: 山田裕貴
須藤司: 青木玄徳
岡林幸男: 黒田大輔
石川ななえ: 菅野莉央
久保英二: 谷田歩
別所哲郎: 十貫寺梅軒
塩田丸雄: 波岡一喜
石川あざみ: 伊藤裕子
 
パート1の感想はこちら。

aooaao.hatenablog.com

おまけの舞台挨拶動画

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