取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

舞台『引退屋リリー』

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STORY

 二階堂の前に新たな犯人が現れた。

女の名はリリー。

犬島の火口に立つリリーは助けを求める父親を見捨て、火口へと落ちていった。
「あの人は私の父親なんかじゃありません。」

二階堂は、自殺に付き添ったリリーを厳しく追及する。
「これがあんたの殺人じゃないとしたら…スター誕生ということになりますな」

村川のもとで、映画の撮影に勤しむリリー。スタジオには、リリーについて回っているマコト、村川に使われている犬使いたちと、リリーを監視する二階堂の姿もある。

リリーの過去を見出そうとする二階堂。

だがそこに、猪熊が手下を率いて現れる。犬使いたちが町に出入りしていることに難癖をつけ、撮影を邪魔しようとする猪熊たち。見かねた二階堂は猪熊たちを追い払うが、猪熊がリリーに言い残した言葉に耳を止める。
「利用されとるとも知らんで、かわいそうにな」
二階堂は村川を問い詰めるが、ヤクザの戯言だと一蹴される。

リリーは、島守人のために自分が「偽物のひばり」となりスターになることを決意する。自分が地位を得れば、島守人たちを今の立場から解放できる。

二階堂とリリーは、犬島の火口に向かった。そこには、猪熊たちが待ち構えていた。島を守ろうと、次々に死んでいく島守人たち。だが、数で勝る猪熊たちには敵わず、島は制圧されてしまう。

猪熊たちは島の中心にある社へと向かう。そこは、だれも足を踏み入れてはならないとされた禁忌の地であった。

はたして、事件の結末はいかに…。

つかこうへい七回忌特別公演 新作未発表戯曲「引退屋リリー」 | Information | 株式会社アール・ユー・ピー

 REVIEW

「よくわかんないけどすごい」でお馴染みのつかこうへい作品を初めて見に行きました。率直に言って私は「すごい」と言えなかった。物語は上記の通りで、自動生成しているアフィリエイトブログみたいだなって思ってしまった。これを「よくわかんないけどすごい」と言って済ませてしまうのは罪だなと思う。確かに「すごい」とか「やばい」とかそれ以外の言葉で表せないことはある。例えばLDHのライブなんか本当にそういう単語しか口から出てこないし、最近で言うと『キンプリ』なんかがそれに当たるらしい。ただ、今回の『引退屋リリー』で言うところのちょっとばかし流行に乗っている風な中年男性のダサさとか、政治的なメッセージがある風な台詞とか、フェミニストじゃなくても嫌悪感を抱く女性への扱いとか、埃っぽい廃れた定食屋のかつ丼を食べさせられているようなべたついた笑いとか、旧態依然なメッセージ性その他もろもろが面倒臭過ぎて「すごい」なんて言えなかった。分かりやすく言うと、何にも浄化されず澱が溜まっていく感じで全然快感を得られなかった。物語について考え過ぎなのかな。いやでもこれは私にとっては「楽しい」と思う前の大きな壁で、とても邪魔なんだ。だって今後誰が「長嶋茂雄殺人事件」というキーワードに興味を持つようになるんだ。その何が面白いんだ。分かっている、その議論に私なんてお呼びじゃないことを。そしてこの作品は、話が云々じゃなくて「俳優」の度量を見ることを求められているということを。ただ、私の観賞スタイルに合わない×100000だったので素直なところを書きました。

以下、各出演者について。

馬場徹

テニミュ観ていない勢なのでまさかの『タンブリング』からの馬場徹さん。『タンブリング』でも思ったけど、皆が「ばーちょんの長台詞を見るために行った」というだけあってかっこよかったです。あ、普通のことを言ってしまった。かっこいい台詞でも動作でもなんかちょっと可愛らしいというか、コメディアンなのかもしれないなと思った。

祐真キキ(すけざねきき)

観る前に俳優の真剣佑*1(まっけんゆう)のこと考えてたんですけど、なんか名前似てない?それだけなんですけど、アメリカで何かしようとするとこんな感じの名前がいいんでしょうかね。すごい分かりやすい「ジャパニーズガール」なんでBEAT CRUSADERSJapanese Girlが頭の中に流れていました。全然関係ない。

宮崎秋人

私もそれ思った。一生懸命な泥臭い青年役ね。熱量がすごい。これ何度も言っている気がするんだけど。そしてかわいい。これも何度も言っている気がするんだけど。

町田慎吾

踊ってた。今まで以上に踊ることが自然だったので私が私に驚いた。馬場徹の次くらいには良い役だったから同じ役で他の作品に出てほしい。でもまあ、別にいいか。

鈴木裕樹

すごいごめんだけど、『夕陽伝』の真多羅だったよね、うん。特に役として愛すべき点も見つからないので以上です。

吉田智則

唯一ちゃんと笑えたのが吉田さんの野々村議員のモノマネ部分。なんていうか本当に個人的な思いこみと言われても良いんですけど、「おじさん」がやると純粋に面白いと思えるのがつか作品なんじゃないかなと思います。

山崎銀之丞

 上記と同じです。

 

ということで「演者が頑張ってるぞ!」というのを見るというのが良いんだということに途中から気付いたマンなのでこんなに薄い感想になってしまってしまいました。馬鹿でド新規なのでお許しを。

*1:映画『ちはやふる』に出演している千葉真一の息子