DD過ぎて中身が薄い

映画や舞台の感想書いたり、推しが大好きと叫んだり。

柿喰う客フェスティバル2017『極楽地獄』

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めちゃくちゃ面白かった!!!

 

ひっさしぶりに演劇を見てぶん殴られたっていうか自分の領域だなって感じた。その前に世田谷文学館で『澁澤龍彦 ドラコニアの地平』展を見てきたのもタイムリーだったんですけど。

www.setabun.or.jp

これが『極楽地獄』と何の関係があるんだって、そりゃ直接はないんだけど、澁澤龍彦や中屋敷さんの表現世界の中の倫理や正義、理想というものが純粋に彼ら自身を中心にして回っていて、そしてさらにそこには彼らが生み出したものを素晴らしいという人がいるっていう最高な状況・空間・人々が存在するという奇跡を体感するこの幸せ。自分でも書いてて意味わかんねえなって思うんだけど、つまりは鈍器で殴るようなものを作る人たちと、それを一身に受けたい人たちがいる、偏愛の世界がスポット的にあって、私にとって至高なそれを二つも体験できた今日は幸せな日だったぜってことです。いえあ。

話を戻します。そしてところどころネタバレします。物語はホテルの新人研修の最終日。あと60分でこの研修も終わる。というところで新入社員たちは先輩のナガシマからあるホテルで起きた事件について聞かされる。それは東北大震災と同じ時に起きた恐ろしく、不思議で、滑稽なようにも思える事件。嘘か真か。そんなことどうでもいい。嘘だと言えばウソだし、本当だといえばホントの嘘のような本当の話。いや、本当のような嘘の話。圧倒的な嘘を見せられているからこんなに気持ちがいいのか。リアリティがない?そんなことあるものか。ロシアではつい最近食人夫妻が捕まっているし、嗜好として人を食べる人もいる。またそれとは別に水平思考ゲームの「ウミガメのスープ」はあんなに悪趣味なのに、さもありなんとして受け入れられている。

dic.nicovideo.jp

まあ、そんなことはどうでもいいのだ。供養・文化として食人をする人たちも、興味・嗜好で食人をする人たちも、「そうしない」人たちにとっては同じこと。いくら内輪で「お前と俺は違うのだ」と言ってみたところで、なにも変わりはしない。どこからが「悪」と感じるのかは人それぞれであって、唯一私たちにできることといえば、そういう事実があった時に自分だったらどうするかと考えることぐらい。荒唐無稽な想像にも思えるが、隣人が自分の両親を食うて弔っていたら私はどうするのだろう。嫌悪で引っ越すのだろうか。そういう手もあったかと納得するのだろうか。

閑話休題、私自身今年祖母を亡くした。とても呆気なかった。日付が悪く、夏の暑い日にドライアイスを抱えて横たわる祖母はとても綺麗な顔をしていた。私はそれ見て申し訳なくて仕方なくて、早く弔ってあげたかった。友引など知らぬ存ぜぬ。私は祖母がそこに放置されているのが嫌だった。これはただ、何もできなかった自分の申し訳なさを隠したいだけなのだと分かっていたが、それでも早く目の前から失くしてしまいたかった。目の前にあるうちは何故だか申し訳なさが先だってしまって仕方なかったのだ。「処理をする」ということは「物事をさばいて始末をつけること」だ。私は祖母の骨を拾って始末をつけた。

物語の本質は土着的ななにかではない。現代の、むしろ未来のSF的な『天の敵*1』のような身体と精神の関係性が大きく影響を与えている世界。人間の体も死しては肉となる。精神は食して極楽へ飛び立ち、肉体は残された者たちの糧となる。洒落た雰囲気だってあってよいのに、そこは柿喰う客。ナンセンスにナンセンスを重ね、嫌悪に嫌悪をまぶし、ノンモラルな物言いも大した問題ではないでも言いたげな目で観客の私たちを見てくる。なんなんだ。強い強すぎるよ。すき。

役者別にちょこっと。やっぱり永島敬三という役者はすごい。アフタートークで「全部、永島敬三に台詞喋らせようと思ってた」と言っていたように、ストーリーテラーであり、キーマンであり総てを握る諸悪の根源のような存在でもある。あの柿喰う客特有の台詞の吐き出し方、滑舌、発声。どれをとっても一級品。というようなことを柿の看板役者、玉置玲央さんも仰っているのでブログ読んでください。

hakuaibiyori.seesaa.net

 田中穂先さんは昨年柿喰う客に入ったのにすっかり馴染んでいて、さらに「なんだかよく分からないけど様子のおかしな人が来た」と場の空気を変えるほどの存在感。そのまま「変態」大学教授役だったのも面白かった。ポスタービジュアルも良い。でも『極楽地獄』は15人も演者がいるから、思った以上に出番がなかったのが残念でした。

そして、今年加入の宮田佳典さんはもう「バンズとバンズでバーン!!!」がパワーワード過ぎてこの先1か月は思い出して笑うと思う。普通に顔がいい人が柿の言葉を叫んでいるのが好き。

 カクト エンタテインメント(伊勢谷友介の事務所)っぽい(適当な物言い)

そうだ。平山夢明の小説、特に『ダイナー』を読んだ時の感覚に似ている。すごい!読んだことある人『極楽地獄』観て。

ダイナー (ポプラ文庫)

ダイナー (ポプラ文庫)

 

 あ、これもバンズとバンズでバーン!!!だ。