取り留めもない

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アレンとピエトロとTRUMP

TRUMPは、TRUTH/REVERSEがあるくらいだからいろいろ対になる「ふたり」はいくつか提示されているわけだけど、それとは別にここではアレンとピエトロについて。

 

TRUMPシリーズってもはやエヴァンゲリオンみたいに頭の良い人たちが与えられたものに対して「何か」を考察するだけし尽くてして、それでも結局のところ創造者からの唯一の答えによって博識者たちが無残に裏切られていく、現代小説家を論じるみたいな虚無感がなくもないなと思いながら、でもそれなら、想像できる答えと創造をする答えを生み出しても良いんじゃないかと思う。それがここでいうアレンとピエトロ。つまりフィクションです。

 

アレンが人間と吸血種の混血ダンピールだとする。

 

それが彼の特徴であるとする。クランを飛び出し、人間に近づきたいと望み、ヴァンパイアハンター(人間)であるピエトロと心を分かち合う理由が、彼の中の人間性なのだとしたら、総てに納得がいく。アレンは短い彼の一生を生きている時にはクラウスのことを理解しようとはしていなかった。寧ろ、クラウスがいくらアレンに心を注いでも、アレンはクラウスから逃げようとしていた。それは、クラウスのTRUE OF VAMPとしての見えない力が本能的にアレンをそうさせていたのだとしたら。ダンピールという忌み嫌われる素性を明かされるのではと恐れていたのだとしたら。総てに納得がいく。

 

アレンの生まれ変わりがソフィなのだとしたら、ピエトロの生まれ変わりがガバンリである。

 

TRUMPのガバンリはかつてのノームで、ノームがオリジナルのガバンリから一度引き受けた名前はソフィで、ソフィという名を捨てた人間はガバンリというヴァンパイアハンターとなり、ノームは一度預かったソフィという名前を血のつながらない姉の命と引き換えにこの世に産み落とされた子供に与え、そのソフィが生まれたとことがLILIUMの悲劇を生みだしたというのが公式の答えならば、クラウスの平穏を守れず、アレンを死に追いやった上に自らも呆気なく死んでしまったピエトロに子供がいなかったという確証がどこにあるのか。TRUMPのガバンリが24歳にもかかわらずクランにいたのなら、ピエトロの血が後世にも繋がっていたと考える方が寧ろ妥当ではないか。ということで、ピエトロの血がSPECTERのガバンリに繋がり、ガバンリは愛するリリーとの間の子である後のノームが生きてることも知らず、成長したノームと出会い、彼に自分の仮の名前を受け継がれ、アレンの血のソフィとピエトロの血のガバンリはまた出会うのです。アレンとピエトロ、そしてソフィとガバンリはクラウスの仲介のもとに存在している。

 

クラウスの心の平穏のためには、アレンを殺すことさえピエトロの仕事だった。でも、それはできなかった。寧ろ、アレンの危機に対してクラウスに助けを求めた。アレンを救えるのはクラウスしかいないと知っていたから。でも、その一方で、それが一世一代の賭けであることも分かっていた。過去の過ちが繰り返され、輪廻の中で総て登場人物の運命が永遠に巡り続けることを見通していたから。その時からすでに、ピエトロとその末裔は、アレンとその残したものを守るために存在したのかもしれない。