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映画『溺れるナイフ』

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STORY

東京で雑誌モデルを務める望月夏芽(小松菜奈)は、急に父親の郷里である浮雲町に転居することになる。彼女は都会とはかけ離れた田舎での地味な生活に幻滅してしまうが、長谷川航一朗(菅田将暉)と出会ったことで人生が一変する。彼は田舎町で有名な神主の一族の出身で、夏芽はひねくれ者で一風変わった航一朗に強く惹き付けられる。 

映画『溺れるナイフ』 - シネマトゥデイ

REVIEW

確かに原作からラブストーリーとしてしか読んでないからなかなか気づけなかったけど、この作品なかなか怖い話ですね。っていう他人事みたいな感想がまず浮かんでくるほど、始終息の詰まる話だった。内容知ってるのに。

とにかくすごいコウちゃんの存在感。子供の頃ってちょっと大人びた雰囲気とか不思議な雰囲気とかそういうものを持ってる人と妙な距離をとりつつ、反面憧れたりした人もいると思います。私にもいました。でも、ある時に気がつくんですよね。「あ、人間なんだ」って。そうすると勝手にイメージをしていたくせに、なんか失望したり、恨んだり、貶したり。これはそういう子供たちの話だと思っているし、この感じは子供のときだけかとおもったらアイドルを見ている時の自分もそうなんじゃないかなと思った次第です。  

#私を構成する9冊(漫画) - DD過ぎて中身が薄い

以前こんなこと書いたことあったけど、なんだろう。それこそ原作じゃコウとナツメが小学生の頃から見ているし、その時から二人の「共依存しない依存」に付き合ってるから「そういうものだ」と思って恋仲を見守っているけど、その間にいろいろありすぎってくらいにあるわけで。それをいつの間にか「二人なら乗り越えられる」とか「二人が幸せならそれでいい」とか思うようになってるんですよね不思議と。だから、映画化されて二時間弱にまとめられたら、いろいろとビジュアルの衝撃と話の目まぐるしさに「濃い…重い…」ってなりました。これは良い発見。

やっぱり原作17巻を二時間にするのだから端折られていたり、映画なりの新解釈な部分は所々あって、でもそれはそれ。正直に言って映画として私はとても楽しめた。ただ、こんなもんじゃないんだぞ。二人はもっと幼くて汚くて眩しい衝動をお互いにぶつけ合って戦って来てるんだぞって言いたい気持ちもある。それはもう映像化の限界というのかな。これが精一杯な気がする。原作、本当に情報量が多いんです。もともとファンだった自分だって、『仁義なき戦い』を見ることからまた始めようかなと思ったくらい。意味分かんないでしょうけど、そういうことです。

長谷川航一朗役: 菅田将暉

私が特に映画の中で好きだったのはコウちゃんが泣くシーン。はっきりと泣いてるのは二箇所かな。心はいつも泣き叫んでいるけど、外にはそれを出さないコウちゃん。代わりに泣くナツメ。という対比がいつものことだったのに、コウちゃんが芯の部分を見せてしまう瞬間は見てるこっちもつらい…となるんですけど、それを菅田くんが本当に見事に表現していたと思います。菅田くん自身もオム・ファタール的なところありそうだなって勝手にダブらせてました。というか菅田将暉、なんかめちゃくちゃ日本映画のセーフティーネットって感じがしてやばいんですけど。決してコウちゃんに似ているわけではなかったですけど、とても美しく目に有難かったです。

望月夏芽役: 小松菜奈

ナツメを演じた小松菜奈ちゃんも若干舌っ足らずな喋り方が見た目の大人びた感じとチグハグで幼く感じさせてくれていて良かった。確かに、黒髪か~と思わなくもなかったけど、ナツメもナツメで全く純粋ではないから、そのちょっとずる賢そうな表情とか自然にできるのは彼女かなと。壁ドンとか顎クイとかなかったけど、浴衣の帯を結び直そうとして雑にひっくり返されて街灯の棒に手をつかされる小松菜奈はなんか見てはいけないものを見ている気がした。

大友勝利役: 重岡大毅 松永カナ役: 上白石萌音

大友役の重岡大毅くんも思ったよりは大友だった。今作でほとんど唯一の陽キャラとしてキラキラしてて、彼を見ているときだけは「ああ、恋愛映画をみているんだ」と思った。カナちゃん役の上白石萌音ちゃんは、思った以上に作品に登場せず、というか原作では結構動かされるキャラクターだったから意外でした。多分、カナちゃんが一番削られたんだろうなという感じ。でも、見た目も話し方も、度の過ぎた羨望も鬱屈とした考え方の発露もカナちゃんそのものだった。すごい。

広能晶吾役: 志磨遼平

一番ジョージ朝倉の世界観に合っていたのは志磨さんかもしれません。ああいうどうしようもないクズ男よく見る。でも、最初の方鼻を啜る音が気になって、いつか捕まったりやしないかとヒヤヒヤした。というのは妄想ですが、めちゃくちゃかっこよかったです。ドレスコーズはほとんどですがこれはよく聴きます。

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主題歌がドレスコーズとはいえ、どっちかって言うと大森靖子っぽさが強いので、劇中歌として個人的には違和感があって。若干の思い込みですが、こういう少年少女のヒリヒリした物語にはジャキジャキしたロックが合うと思っている節があります。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTとかNumber Girlとか。そうでなくてもフジファブリックとかね。でも最近は『おんなのこきらい』のMOOSIC LAB系とか、内藤瑛亮監督の『ドロメ』とか観ても同じことを思ったけど、ポップでかわいい曲が好まれてるのかなという漠然とした印象。今はいいんですけど、この点でいつか解釈違いが起きかねないんじゃないかと懸念しています。

総論

長くなりましたが、ラブストーリーだと思って観てると思わぬところでHPを削られて、菅田将暉小松菜奈の美しさで回復して、プラマイゼロという感じでした。私は好きです。

 

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