忘れた頃に続いてました。お暇だったらお付き合いください。
りぼんっ子でした。周りにはなかよしと花とゆめを読んできた人率が高くて不思議なのですが、私はりぼんっ子でした。でも小学生の私にはよく分からない描写とか、あまりに過酷なキャラクター設定に戸惑いながら読んでいたと思います。分からなかったからこそ、何度も読んでいた気がします。「幸せになりたいです」も結構な衝撃でしたが、個人的にファンと並ぶアクセスがまろんと稚空、都と大和の子供に産まれてくることがショックで。というのも子供に生まれたらまろんとフィンとの間に生きる時間の時差が生まれてしまうじゃないですか…悲しい。私のファンタジー脳はこの作品で培われました。
映画化も決まった『溺れるナイフ』とにかくすごいコウちゃんの存在感。子供の頃ってちょっと大人びた雰囲気とか不思議な雰囲気とかそういうものを持ってる人と妙な距離をとりつつ、反面憧れたりした人もいると思います。私にもいました。でも、ある時に気がつくんですよね。「あ、人間なんだ」って。そうすると勝手にイメージをしていたくせに、なんか失望したり、恨んだり、貶したり。これはそういう子供たちの話だと思っているし、この感じは子供のときだけかとおもったらアイドルを見ている時の自分もそうなんじゃないかなと思った次第です。
溺れるナイフ コミック 1-17巻セット (講談社コミックスフレンド B)
- 作者: ジョージ朝倉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/02/13
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『ファイブ』ふるかわしおり
りぼんっ子だった私は、その後なぜかショーコミやチーズに行って別マに戻ってきました。集英社LOVE。正直、物語的には『花より男子』だし、最後も打ち切られた感は否めない。でも、単純にふるかわしおりのデフォルメされた作画と、少年漫画に憧れてるっぽい*1意味不明なアクションシーンが好きでした。あと、アニメに触手が動かない私がドラマCDを買ったり、声優を知ったりしたのも『ファイブ』のおかげです。
『刺青の男』阿仁谷ユイジ
BLです。ヤクザものです。先に言ってしまうと、伏線回収系の良作です。残念ながらハッピーーー!という感じではありません。言い訳がましくなるかもしれませんが、世の中そうなるべくしてなってしまった物語があって、それは友情、信頼、恋愛、ありとあらゆることにそのシチュエーションがある。この物語も全ての設定や登場人物があるべくしてあってこうなったというせつない話です。万人に勧めることは難しいけど、ヤクザもの&ノット・ハッピーエンドOKという人には読んでほしい。あえてBL如何は別として。そして、感想を教えてください。
『Jの総て』中村明日美子
JUNEとか何も知らない状態で読んだのでギムナジウムの物語といえば私にとってはこれです。その後『風と木の詩』を読んだので「あ~なるほど」と思うところと、描きたいことが違うなと思うところがありました。『Jの総て』はJと呼ばれる「オカマちゃん」が主人公。性同一性障害で~なんていう面倒臭いことは語らず、ただJの生涯(とはいえ死にはしない)が描かれます。「Jって強いな~」というのが最初の印象だったけど、そのうちに強いとか弱いとかそういう簡単な定義付けではなく、いかに自分らしく生きるかということを追求した姿が輝いて見えていたんだなと思いました。それでいうと映画『キャロル』で「心に従って生きなければ人生は無意味よ」というシーンがあったのですがまさにそれだなと。よくあるギムナジウム系の話と違うのはヨーロッパの話ではなく、アメリカの話であるところでしょうか。耽美に溺れず現実を描こうとしているのだと感じます。う~んやっぱりすきだ。
『エンドレスワールド』蛇龍どくろ
これも『刺青の男』と同様に好き嫌いがハッキリ分かれる、鬱展開モノ。最終的には幸せなのだけど、後味が悪いというのは否めない。ただ、こういう空白の多い、読者に考える余地がある話が大好きです。主人公のイッキが出会った昔の友人であるトシミツの親戚という青年ロン。トシミツ行方やのロンとトシミツの普通ならざる関係が明らかになるにつれ、イッキにとって曖昧だったトシミツの存在が浮かび上がってくる。トシミツがロンやイッキの話をするところが特に好きなのですが、もう単純に愛なんですよね。それ以外ではありえない。なんていうか言葉よりも行動が先に出てしまう人に課せられた苦悩って悲劇だなって思ったりするんですけど、それがトシミツなんだよな。この話を描いて、この作家さんもいろいろ悩んだらしいことをどっかで読みましたが、こういった作品のイメージがつくのも善し悪しだな。次が描きにくいのはわかる。でも好きだからたまにはお願いします。
- 作者: 蛇竜どくろ
- 出版社/メーカー: ソフトライン 東京漫画社
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『茜新地花屋散華』ルネッサンス吉田
版権同人界隈でよく描いている作家さんのオリジナル。「遊廓の立ち並ぶ架空の町、茜新地を舞台に開高、深沢、埴谷という三者三様の人間の恋情とエロスの業を描いた壮絶なドラマ。」と作品紹介に書いてありましたが、そうとしか言えない。この作家さんの特長として、「ボサボサとした筆致の絵柄」と「荒唐無稽な台詞の展開」と「壮絶な自分語り」だと思っているのですが、まさに読んでいると鬱になる。でも、何かを思うこと考えること、吐きだすことはともに重要なことで、そうすることでいろいろとバランスを取る必要があるというのは、個人的に自分と通じるところがあるので、なんだか愛さずにはいられない。もっとわかりやすい作品として『愛を喰らえ!!』があるけど、はじめてルネッサンス吉田を読んだ時の衝撃が忘れられないということでこれです。
どうも私は絵が特徴的な漫画が好きらしい。知ってたけど。別に私が語る必要もないほど有名だと思っているこの作品。漫画を読んでシロとクロの純粋でゆえに狂気な関係性に感動したものだけど、なんといっても映画版がすごくいい。映像はもちろん、音楽がすごい。Plaidというバンドが全編音楽担当なんだけどその世界の白と黒を音だけでも表現していて最高です。話を漫画に戻すと、木村と鈴木さんの親子とも言えない距離感が『青い春』のヒリヒリ感を想起させて胸が苦しくなるし、何よりシロとクロの救いはお互いでしかないところがなんともつらくもあり、美しくもあり、一度は読むべき作品でしょう。
鉄コン筋クリートall in one (ビッグコミックススペシャル)
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『デスコ』カネコアツシ
めちゃくちゃ最近の作品ですが、印象的というか今後もこういう作品が好きなんだろなという意味を込めて。殺し屋のデスこは仕事をしていない時は自分の存在価値はないと思いこむメンヘラ少女。殺し屋に狙われるターゲットなだけあって、ダークヒーロー(ヒロイン)と言えないでもないけど、いまのところ殺しは生きる意味でしかないのでそういう観方は美しくないなと思う。『シンシティ』を見てる時の気分なのでアメコミっぽさが強い。かっこいい絵柄でかっこいい描写が連続するとそれだけで満足なので、形式美ってことで好き。言ってしまえば、「こういう作品が好き」という自分が好きというところもなくない。ところで、個人的にはカネコアツシの漫画を読むより『乱歩地獄』の『蟲』の監督というイメージなので、「へ~漫画描いてるんだ~」という言語道断感があります。
以上、まとまらないけどどうにか書きあげたエントリでした。