STORY
同級生の寺泊満と山鳥芽衣は、偶然同じ町に住んでいることを知り、二十数年ぶりの再会を果たす。
しかし二人には盛り上がるような思い出もなかった。
語り合ううちに、お互いに奇妙な問題を抱えていることが分かってくる。
寺泊はある手品師との出会いによって、世界の見え方が変わり、妻が別人のように思えてくる。
新しい目を手に入れたと自負する寺泊は、仕事でも逸脱を繰り返すようになる。
芽衣は品名に「無」と書かれた荷物を受け取ったことで日常が一変する。
無は光の届かない闇として物理的に芽衣の生活を侵食し、芽衣の過去を改変していく。
二人にとって、この世界は秩序を失いつつあった…。
REVIEW
率直に観念論(と実在論)の話だな、と思った。
見えているものでなくて、実際には比喩も含む真っ暗闇の中で自分が「認識」したものが存在するのであるということ。モノが先に立つという考えとは逆で、個人的には人それぞれの観念に寄るから不安定だなと思う考え方という理解なのだけど、それがそのまま表現されているような戯曲で、最近で一番見方について考えたかもしれない。例えば、今まで存在しなかった「息子」が突然現れたのも、ずっと一緒に暮らしていた「奥さん」が急に美しく見えたのも、そこにそういう存在があったからではなく、気づいたから。もしくは、一定のルールでそのことを忘れていたとしても、そこにそれがあると受け入れた瞬間に存在するようになる。そのことに気が付いた人たちの物語だなあと。私が今までに見たイキウメの中では、SFではなく哲学寄りに感じた。
余談ですが、私が最近暇さえあれば観ている『ねおミルクボーイチャンネル』にアップされた「泥酔先生」の中のエピソード*1で「飲み屋を4軒はしごして最後の4軒目どこ行ったか覚えてない。これなんですか?(意訳)」っていうのがあって、酔って記憶がない人が認識してない時間は「ない」んだな、と勝手に哲学感じてたんですけど、そのあと『外の道』を観て「これだ!」と思いました。
本題に戻します。今回は安井順平さんが優勝です!!!みんな観て!!!