取り留めもない

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舞台『いとしの儚-Dearest Hakana-』

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荒井敦史さん主演の『いとしの儚』を観てきました。スズナリ、コロナ禍になってから本多劇場より行ってて何?頑張っても密なんだけど。

それは良いとして、話は博打で生きていた男が好きな女ができて人間らしい心と引き換えに博打のセンスを失っていく話。好きな女とはいえ死体をかき集めてできたいわばフランケンシュタインの怪物のような存在で。最初からこれは悲恋なんだろうなと思ってた。ここからはネタバレします。

この博打打ちの鈴次郎というキャラクター、本当にクソ野郎。なので、彼が賭博で負けようと、金を集めるために人を殺そうとそれは自業自得だし観ている方は心痛めないんだけど、身を崩すきっかけが好きな女とその女を想う心、というのが本当に皮肉。彼が生きていくためにはそれまでと同じように博打のことだけ考えているべきだったなんて。人と心を通わせたり、大切に想うことが悪いことだなんて誰も考えないのに、鈴次郎にとってはそうじゃない。そう思うと、マジで哀しい。

そんな鈴次郎を演じる荒井さん、こう言っちゃあれだけどめちゃくちゃ似合ってる。というかこういう身の上で擦れた不器用男あてがいたくなるのわかる。私は瞬時にガチバンシリーズの紅レオくんを思い出しました。この話は百万回書いた。 

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 でも、結構「なんでそんな急に???」みたいなキャラクターの説明不足感があったので、やっぱり自業自得だなって思った。そして、また言うけど博打以外の生き方は本当になかったんだろうからどうしようもない。髭面(描いてたのかな)+オールバックの荒井さんは率直に好き。ガタイがいいからあの感じですごまれたら本当に怖い。キャラクターを知っていくと木偶の坊感が出てくるのも良い。

人間ならざるものの儚を演じた藤間爽子さん。生まれたての赤ちゃんのような姿から物書きを覚えて人間になろうとする姿まで純粋無垢な雰囲気がとても良い。阿佐ヶ谷スパイダースの方なんですってね。それに日本舞踊のプロ(言い方わからん)でもあるという。確かに所作が美しかった。儚って結構難しい役だと思うんですよ。だって、いくら自分が生まれるきっかけになった人だとはいえ、めちゃくちゃクソ野郎の鈴次郎をどこまでも許さないといけない。そして、その演技に「そうである」という納得感を持たせないといけない。特に、儚に教育を与えた両親とも言える人を鈴次郎に殺されて、「これからまともになるから」と言われても普通はついていこう!とならないじゃん。でも、そこに信じているからではなく、同しようもないんだという演技を乗せた藤間さんには本当にぐっと来た。人間の感情は説明できることではない、ということなんだなと思った。

どうでもいいけど荒井さんと藤間さんの身長差が良すぎる。

最後は、まあそうなるだろうなというクライマックス。だって、何があったって鈴次郎だった儚が鈴次郎のいない人生を過ごせるとは思えない。ただ、よく考えてほしかった。だって鬼になったとしても、賭博場にいた鬼みたく会えそうじゃない?って思ったのは私だけじゃないはず。それもだけど、結構話としては「なんだかなぁ」と思うところがちょいちょいあって、それは脚本なのか演出なのかと思ってるんだけど、過去の上演写真とか観て、着物でやっててなんか納得した。お金の単位が「両」だったりお殿様が出てくる時点でだとは思ったけど、この変更はあんまり効果的じゃない気がする。違和感だけが残った。あとは、スズナリでやるのも違うかなと。使うものやセットがごちゃごちゃしすぎてる。それと声量。シンプルにところどころうるさい。

ここまで書いて、自分自身が演劇に向いてないのかもと思い始めたので、見に行く人はあまり気にしないでほしい。純粋に楽しめなくなってる。でも自分が思ったことなので残してはおきたい。

natalie.mu

これはこの記事の見出しに対する文句なんですけど、普通に「濃厚接触を渇望する」って書くのきもすぎる。もっと、作品の内容を伝えてくれ。

作品は14日まで。当日券もあったと思う。

公式サイト

hakana2021.com

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