取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

改竄「熱海殺人事件」

f:id:aooaao:20200322105741j:plain

www.youtube.com

www.atami2020.jp

感想

この作品の感想を書くには物語としてと推し語りとしてを分けた方がいいなかなと思うのでそうします。

物語

私は『熱海殺人事件』という作品を初めて観たし、つかこうへい作品も『引退屋リリー』『新・幕末純情伝』しか観ていないし、モンテカルロイリュージョンも観ないので比較してなにか語ることはできない。ただロンゲストスプリングが「愛」についての話だということはパンフレットよりもなによりも作品を観ていて分かった。

取調室で展開されるお話で、犯人は明らかなのにいろんな角度から探っていって最終的に本心を吐露させるという点では『クロードと一緒に』に近いものがあったなと思う。

 

aooaao.hatenablog.com

 

木村伝兵衛(部長刑事)と水野朋子(婦人警官)、熊田留吉(刑事)とユキエ、大山金太郎(容疑者)とアイ子のどのパターンでもぐうと苦しく熱い愛が舞台の上からほとばしっていてのっけからつらいのってなんの。そりゃもう確かにどこについて書いても書いても書ききれないくらいな感じなのですけど、特に水野が部長と一緒にいられると思った便所掃除のシーンはもうとても耐えられなくて。美しいという「愛」ではないことだけは分かってるのだけど、水野が部長のことを話せば話すほど「愛しているのだ」と言っているのと同義なので息が詰まるほど苦しかった。虚栄とプライドの男である部長が羞恥を隠しながら便所掃除してるの水野じゃなくても愛すでしょ…。そのくだりを受けてのクライマックスシーンは哀しい、哀しすぎる…。部長、エゴの塊で救いようもない人間かもしれないけど、それを凌駕する哀しさでずるいなって思った。一歩踏み出せない人間…。

そんな中で一見一般人に見えてしまう熊田もなかなかにひどい奴なんだけど、彼には戻れる場所があってこれから笑顔で生きていけるんだろうなと推測できる感じがやっぱり一般人なんだなと。一歩踏み出せなくても選択を間違えない人。

金ちゃんは純粋な人だなと。だからこそ一歩踏み出していくことに躊躇がなかった(間違いだとは思わなかったから)んだろうな。犯罪者の美学もなにもないのに、金ちゃんのアイ子にやったことは当然だろうなと受け入れている自分がなんだか可笑しい。

中屋敷さんの演出もとても好みだった。直前まで『いまさらキスシーン*1YouTubeで見ていたから、遠からず屋敷さんの趣味はここにあるのだなと思った。私も好きです。めちゃくちゃ。

推しについて

知ってる人は知ってると思うのですが私の推しは荒井敦史です。そのため観劇後はこうなりました。

見てこの私の動揺。でもそのくらい荒井さんの木村伝兵衛部長には衝撃を受けたし、キャラクターと推しを重ねるくらい最高だわと感じたことをお伝えしたい…。

aooaao.hatenablog.com

ここに書いた通り、荒井さんってそこまで自分自身の個人的なことを発言しない人だし、きっとハングリーで面白い人だなと思われていたいんだろうなと感じる一方、内側ではこれ(芸能)しかない人生を歩んできて不安も沢山あるんだろうなと常々思っているわけです。でも、彼自身はいつも明るく振る舞っているじゃない。そういうところが、どこか木村伝兵衛という人に重なってしまってもうだめだった。最後一人残されたところとか哀しくて。

台詞回しやアドリブっぽいノリの上手さはいつも通りだけど、ここまでシリアスな表情や色っぽい雰囲気はめちゃくちゃ反則だと思うのでもっとやってください。映画に出ているのも良いけど、これを観てしまったらもう舞台で汗流す荒井さんが定期的に観たくなっちゃうに決まってるじゃん。

www.youtube.com

そして最後に言いたい。荒井さんは本当に顔がいい。煙草の煙が似合う。孤独を一生抱えてほしい。

 

関連記事

aooaao.hatenablog.com

aooaao.hatenablog.com

ニュース&取材記事

spice.eplus.jp

headlines.yahoo.co.jp

headlines.yahoo.co.jp

enterstage.jp

spice.eplus.jp

natalie.mu


 

*1:期間限定公開なのでリンクなくなってったらすいません。https://www.youtube.com/watch?v=3LYQ7vM8aGU