ドラマ『あなたを殺す旅』 第1話・第2話感想
ストーリー
情に厚い男前な若頭と密命を背負う組員、極道2人の命を懸けた逃避行を描くBL。チンピラあがりのヤクザの下っ端組員・小田島は、組の命令で若頭・片岡の世話係を任される。片岡が起こした騒動のほとぼりが冷めるまで、2人は旅に出て行方をくらますことに。運転に食事の手配、性欲処理までする便利な世話係となった小田島だが、この旅には「片岡を殺す」という使命が隠されていて……。
ヤクザBL「あなたを殺す旅」FODでドラマ化、和田雅成&高橋大翔がW主演(コメントあり / 動画あり) - コミックナタリー
キャスト
片岡:和田雅成 小田島:髙橋大翔
遊屋慎太郎、堀 海登、寺中敬輔、中林登生、工藤俊作、小沢真珠 ほか
感想
前置き
元々漫画は読んでいた*1し、和田雅成が主演の2人のうちの1人なら観てみたいなぁと思ってたくらいのテンションから、なぜか急に高まって、FODに登録してさっそく観た。今のところ配信のみだし、まだ感想も流れてこない、という状況がもったいないと思ってひさびさにドラマの感想を書いている。
ちなみに、近年のBLドラマだと私は『スメルズライクグリーンスピリット』『ふったらどしゃぶり』『未成年』、次点で『恋をするなら二度目が上等』が好きでした。
構成要素
BLドラマにおける期待値の構成要素は「物語」「キャスティング(キャラクター表現)」「映像」の3つだと私は思う。BLドラマというジャンルドラマを、そもそも"観ない人"がいる中で、どこまでワンクールのドラマに力を入れているか。この3点を見れば分かるというのが持論。
物語
ざっくりとしたあらすじは先述した通りなのだけど、メインは敵方から身を隠すための"ロードムービー"で、ヤクザとか半グレが出てくる作品としてよくあるフォーマット。直近だと清水尋也と高杉真宙の『オアシス』とか、ちょっと前だと『ディストラクションベイビーズ』などあるが、ヤクザの兄貴と舎弟の逃避行となると、男と男のドデカ感情が直接的な行為も含めて表現されがちで、本当に特殊な関係性なんだろうなと思う。
個人的には監督三池崇史、主演加藤雅也の『許されざる者』が一番近さを感じるから、できれば観てほしいですが、Vシネでアクが強いので自己責任で。ただ、加藤雅也と北村一輝のバディは最高*2。
『あなたを殺す旅』は飄々として人たらしな片岡と、暗い過去を抱えて無表情な小田島が、この旅の中でお互いを知っていくことで自分たちに必要なものを見出す話だが、それが今のところ丁寧に表現されている。
ヤクザの世界なんてファンタジーしかない前提で、どこまで観ている人を置いて行かないように共感してもらうかがかなり重要なポイントではある。なんとなく行われる車内での会話や、旅の途中で出会う人たちとの掛け合いの中で、人間性を感じさせ、キャラクターに愛着を感じさせる工夫がこの作品にはある。そんなこと意識しながら観る必要はないけど、BLドラマかつヤクザテーマに興味ないや、と思われるのはもったいないので一応。
まだ第1話、第2話が配信された段階なので、最終話(第6話)で評価が変わってしまうかもしれないけど、今のところ原作に忠実で、かつ映像にした時の改変(主に過去回想の挟み方)がとても最適。*3。
BLドラマだからというより、BLドラマが話数が少ない30分ドラマになりやすいせいで、これから駆け足になったらどうしようとも思うけど、元々1巻(5話)しかない漫画だし、今のところ1話ずつ進んでいるのでなんの心配もいらないかもしれない。
キャスティング(キャラクター表現)

冒頭、元も子もないことを言うが、和田雅成はとても顔がいいな。彼の出演作の多さから比べたら全然とはいえ、ドラマでも舞台でもいくつか出演作を観ている中で、その顔の良さも相まって個人的には一番しっくり感じたキャスティングだった*4。
片岡という人たらしで兄貴肌な人間を、一部本人のキャラクターも活かして演じていて、片岡を一瞬で好きになった。原作だともう少しスパダリ感があるけど、私は彼の片岡も好き。包容感よりも、幸福感強め。
無表情で常に暗い過去を感じる小田島を演じる髙橋大翔については正直何も知らなかった。だからこの小田島役で初知り*5だが、表情が本当に良い。
原作だともっと硬派でソリッドなイメージがあるが、哀愁に振り切っているというか、見ているだけで小田島の過去を知りたくなるような表情でキャラクターを表現している。次第に小田島には幸せになってほしいなという気持ちになってくる。
和田雅成が180cmあるばかりに、髙橋くんが小さく見えるのか?と思ったけど、彼もメンノンモデルもやってるということで、178cmという高身長で驚き。小田島の役作りの結果のイメージのせいなのか。不思議。どうでもいいけど、ソニミュの俳優でした。
ただ有名な俳優を出せばいいとは思わないし、逆にこの枠は新人発掘感があるのでどうあるべきというのも難しいが、割と長く活躍している和田雅成と、あまり色のついていない髙橋大翔というメインのキャスティングが上手いこと噛み合っている。2人とも大阪出身らしく、楽しく撮影したというようなエピソードも話していてとても良い。
映像
FODに登録してまでこのドラマを観ようと思ったのは、オープニング映像のおかげ。必ず観てください。
映像美というより、作品に合った質感の映像で撮られていてそれだけで嬉しい。プラスαではあるけど、主題歌である山本大斗「徒然 - Tsurezure」も良い。歌詞がいい。
たえず幸せが過ぎるくらいなら
徒然にそばにいてほしい
あなたからそっと頷くなら
この旅は、終わりかな山本大斗『徒然 - Tsurezure』
もしやと思って調べてみたら、主題歌として書き下ろした曲でした。
New Single "徒然 - Tsurezure"
— 山本大斗 (@alenoeler) 2025年9月26日
Out Now🚗💨
🎧 https://t.co/PFTcUauhRZ
ドラマ"あなたを殺す旅"@drama_anakoro のために書き下ろした曲です。ドラマとともに聴いてくださったの方にとって大切な曲になってくれることを祈ってます🤞#山本大斗 #徒然 #アナコロ #anakoro pic.twitter.com/fL6KMmPG2A
原作でかなり印象的だった第1話の最後、防波堤で釣りをする片岡に小田島が拳銃を向けるシーンは空白部分も含めて、とても忠実に再現されているのもとても嬉しかった*6。

同時に公開されているメイキング動画で話しているところによると、この作品のロケーションは下田らしい。なんとなく熱海とか箱根とかのイメージではなかったから下田しかないくらいには今は思う。伊東でも良いけど。
探せば該当シーンの公式写真は見つかると思うので、興味があれば見てみてほしいが、第2話のラブシーンがとても良い。2人の関係性の輪郭が浮かび上がる大切なシーンだと、俳優も制作側も考えていることがよく分かるくらい手加減なく撮影されている。「こういうシーンが撮りたいんだ!」という気持ちが感じられる。というか、そういう絵コンテがなかったら絶対そんなところにはカメラは入らないという場所から撮られている*7。これはもう観てほしい。映像に対するフェチを感じる。
もちろん片岡と小田島の表現も良い。一番好きなのは、ラブシーンに入る前、何事もないように片岡が小田島の気持ちを言い当てた時の小田島のハッとした表情と、この改変した構成。このシーンが追加されたことによって、無表情な小田島の気持ちが見えてくるし、なにより片岡が人をよく見ていて、それによって人からも愛される人間であることを視聴者は知ることができる。正直に上手いなと思った。
おわりに
毎週の配信を本当に楽しみにしているから、このまま最高を突っ走っていってほしい。ただひとつ懸念は、FOD配信でしか観る方法がない(1話とメイキングは無料で観られる)と、熱量ある人にしか届かないことなんですが、これどうにかならないですか。一縷の望みに賭けて、全話公開されたらまた感想書きます。
余談
私が一番好きなヤクザドラマは『QP』です.ᐟ.ᐟ
ドラマ『QP』で調べるとほぼ私以外に1人しかいないお友だちのブログはこちらのリンクから。
※今回利用した写真は公式SNSやホームページよりお借りしました。何かあれば削除します。
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注釈は個人の意見です。
好き嫌いの話なので気にしないでください。
*1:ドラマが始まった時に続巻が出ていることを知ってすぐ読んだ。
*2:だからこそ、キャストや制作側に「普通のBL作品にはない〜」みたいな表現をされることには違和感がある。絶対私の方が知ってる上で言うが、世の中いろんな作品があるんだから。『許されざる者』を観てください。
*3:車の中で鳥を温めるこのシーンは、追加の台詞を入れてまで長くするのか?と思うところもあったけど、FODで配信しているメイキングShort.Verで、主演の2人がこのシーンに思い入れがあるようだったので、ドラマにとって大切にしたいと思ったのかもしれない。
*4:いちゃもんつけるとしたら、ヤクザの若頭にしては細すぎる。
*5:と思ったけど、『わたしの幸せな結婚』と『赤羽骨子のボディガード』に出ていたらしい。
*6:ところでこのシーン、アニメ『鉄コン筋クリート』に出てくるネズミというヤクザの台詞を思い出すんですけど、皆さんどうですか?
*7:それが少し面白い。
