取り留めもない

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SHATNER of WONDER #3『ロボ・ロボ』

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roborobo.net

かつての惑星ピスタチオの作家・演出家、そして舞台『弱虫ペダル(ペダステ)』の演出家として知られる西田シャトナーの作・演出舞台『ロボ・ロボ』観てきた。私の観劇の決め手は「キャスト>脚本・演出家>テーマ」だから、今回で言うと玉城裕規・小澤亮太村田充が出ているということがポイントとしてあったんだけど、それよりも贔屓にしている末満健一さん(脚本・演出家)がいた劇団惑星ピスタチオの原点ってどんなものなのだろうということに興味があった。シャトナー演劇についての前情報として2014年に上演された『ロボ・ロボ』ではD2(D-BOYS)の陳内将が今回玉ちゃんが演じるアナライザーっていうことは知ってたし、ハマらなかったけどペダステと『破壊ランナー』はDVDで観ていた。

 

はじめは「ロボットを演じる人間」という感じが拭えないまま観ていたんだけど、そのうちにちゃんとロボットに見えてきて、不思議だな~と。これがパワーマイムね。知ってる、『破壊ランナー(2012)』でもそうだった。これぞ演劇って感じがする(語彙力)天王洲銀が劇場ははじめて行ったんだけど、思ってたより狭くて、この演劇(もともと小劇場でやっていたのかな)だったら丁度いいのかななんて思った。

 

今回はアナライザー(玉城裕規)を主役として物語が進んでいったんだけど、それでもナビゲーター(小澤亮太)とW主演だったなと。もともとのロボットの機能よろしく2つで1つだった。前回を見てないから比べられないけど、感覚としては「ロボットを演じる人間」が「ロボット」になって最後は「人間」になったように見えた。でもこれが良いことなのか分からない。ただ、ロボットもので「生きる」ということを表現するのはすごいなと思った。物語については後でまた触れます。充さんが演じたナビゲーターは物語の演出部分という感じがして、そんなに気持ちが入らなかった。ごめんな。好きな俳優さんだっただけに自分でも意外な感想だった。コックを演じていた佐藤流司さんは2.5次元舞台の人っていうイメージで、観てるうちに鳥越裕貴さんっぽいなと。かわいいよねぇという感じ。ゲーマーの荒木健太郎さんもはじめましてだったけど、この人はシャトナーさんの思った通りなんじゃないかなと。『破壊ランナー』のような勢いと行動の所作がまさにという。キレがすごい。山川ありそさん演じるワーカーと根元正勝さん演じるドクターは、ロボットとしても人間としてもなんでそうしたのか消化しきれなかったけど、胸を打つ存在だったことは確か。

 

『ロボ・ロボ』を観ていてやっぱり同じ劇団で作品を作ってきた人たちは作風って似るものなんだなと思った。もともと末満さんの作品から演劇をちゃんと観始めてる人間としては、最後の時間の経過の仕掛けとか、閉塞的な世界で展開される物語とか、転換の方法とか結構あるある。良く考えればそりゃそうだよねという感じだけれども。象徴的だなと思ったのは話の転換の時に入る語り部分。何度も繰り返されるソレね。好きなやつ。アナライザーの「どうしても帰らなきゃならない」という思いは、感情的なものというより「この墜落事件をレコーダーによって人間に伝えなくてはならない」という「自分たちが本当に果たさなくてはいけなかった任務」を遂行できなかった理由の説明だったんだと思うんだけど、そうなると「どうしても帰らなきゃならない」に自分が含まれるかどうかは無関係なんだなと気付いてしまってつらい。でもつらいと思うのは人間だけだし、それも観客だけ。ロボット会社の人間たちにはちゃんと伝わるのかな。どうなんだろう。う~ん。全体的には結構あっさりしていたなという感想です。後味が良い話で心に残る作品ってなかなかないなァ~。(己の所為)