今話題の俳優中心に、推したい人たちばかり出演している(と思っている)『ガチバン』シリーズ。とは言ってもみている人口がなかなか増えないので勝手に見どころなどをまとめてみました。
【シリーズの大きな流れ】
1・2作目の主役は窪塚俊介(窪塚洋介の弟)演じる八重樫拓海。1・2はコメディ要素が強くまさに番長物語。個人的にそんなにピンときてないのでこのくらいで。3~6作目の主役は佐野和真演じる森紋児。拓海のライバルとして登場し、最終的には衣笠高校の番長になります。7作目からのMAXシリーズの主役は窪田正孝演じる黒永勇人。高校をやめて、西東京から渋谷にやってくるところから始まり、関東を転々とし、自分の目指すヤンキー道を模索しています。15作目のTRIBALの主役はWORST MAXに登場した荒井敦史演じる紅井レオ。レオは学校に行かず働いていましたが、あることをきっかけに森紋児のいる衣笠高校に入学。22・23作目のNEW GENERATIONシリーズの主役は陳内将演じる大友斗氣雄。斗氣雄は事件を起こしてくらった停学中に、池袋に出てきて騒動に巻き込まれます。
【ストーリー】
ところどころ抜けていたりニュージェネまでは書けていませんがとりあえずのシリーズ感想はこちら。
監督は 城定秀夫(1)、元木隆史(2-4,7,8,10-12,14-)、西海謙一郎(5,6)、渡辺武(9)、権野元(13)と変わっていますが、脚本家はイケタニマサオ一人です。MAXシリーズに入って、ただの高校生の青春物語といった雰囲気が薄れ、大人の世界と子供の世界の間で揺れる心情や、変えられない環境や危険な誘惑など様々な要素が盛り込まれてきたと思います。そこまで多くはないですが、時事的な問題も関わってきます。マンネリ化しそうな「ヤンキー」というテーマの中でいつも観ている人を飽きさせず楽しませ、時に考えさせてくれます。
【キャラクター】
まずは簡単に相関図にまとめたのでご査収ください。
何人か今までに出てきていない人もいるので、詳しく説明します。
黒永勇人(窪田正孝)
性格:短気、ピュア
特徴:勉強ができない、友達がいない
髪型:金髪→長髪→短髪→オールバック
服装:短ラン&ボンタン
MAXシリーズの主役である黒永勇人は、高校をやめ都会に出てきますが、それは「働こう!」というモチベーションからではなく、あくまで「ヤンキーを貫く」ため。そのために頼っていたよっちゃん先輩からは見捨てられ、都会の荒波にのまれ、少年院まで入り、それでもまだ大人になる覚悟ができていない人物です。腕っ節だけはあるので、立ち向かってきた人たちは倒しますが、京平には「自分より大切なものはねえのか」と言われ、レオには「お前は自分がクソだと分かっていない」と言われ、忠臣には「てめえがヤクザになれるかよ」と言われ、まぁどれも正論過ぎて何も言えず、とりあえずぶちのめしたといった感じ。20歳になっても学ランを脱ぐことが出来ず、とりあえず働いても長く続かず、モラトリアムな状態です。
特徴のところに「友達がいない」と書きましたが、例えば紋児に対してはおそらく友達に近い感覚を抱いているけれど、仲間と仲良く談笑する紋児を見て「やっぱり違う」と自分で決めつけ離れていくようなところがあります。(アルティメイタム2参照)でも本当は、どんなクズ人間でも関わった人を見捨てることができないので、逆に利用されたりして、内向きになっているのではないかと。
森紋児(佐野和真)
性格:熱い、男気、悩みがない(ことが悩み)
特徴:金持ち、童貞、番長
髪型:ずっと一緒
服装:学ラン+パーカー→短ラン
マンガで読んだ不良に憧れて、悪で有名な衣笠高校に入学してきたボンボン。地頭が良いので不良とは何か、番長とは何かということを常々考え、番長となってからは自分の後継者を探します。とにかく熱く、仲間のためなら自分が少年院にいくことも躊躇わない。不良であること、ヤンキーであることをパイロットの父親も元CAの母親も反対せず「大いに励みなさい」という態度なので家族と対立することもなく、だからこそ順風満々な不良ライフに物足りなさを感じている。勇人に出会って、「これが俺の求めていたもの」と思ったようですが、ああなるには自分が恵まれ過ぎてどうしたらいいかわからない。エクスペンデッドでヤクザの世界を前にしてやっと気付いた自分の悩みは今後の身の振り方でした。まあでも結局衣笠に戻ってしまうし、まだまだ学校に居たい病が治らないのが紋児です。
ぶらっくドクロ団の仲間以外は大体良きライバルと考えているので、なかなか勇人のぼっち感に気付いてあげられないのが残念なところ。
紅井レオ(荒井敦史)
性格:超リアリスト、現金主義
特徴:カリスマモデル、アメリカンドックが好き、顔にタトゥー
髪型:ツーブロック
服装:普段着→短ラン&ボンタン
「財布に金がパンパンでないと気が済まない」というところから、高校に行かずモデルとして働く傍ら闇金や売春の斡旋をしているようなクズ。でもみているとそのうちに、レオの哀しさや、可哀想な境遇を知り、最終的には愛おしいと思えてきます。夢や希望を心のどこかで信じている勇人たちを認められる程強くないので、対立します。基本的にはスカしているので、周りから人がいなくなりますが、TRIBALではレオのことが大好きという心愛が登場し、レオもレオなりに成長していかざるを得ない状況に。その後、高校に行くことになっても仲間ができる訳もなく、それでも少しだけ人間に対して愛着が持てるようになったかなというところです。
レオの強みで弱みは誰にも頼らないところ。誰にも期待せず信用せず、だからこそ自分のことだけ考えて自分のためだけに生きていて、最大の敵は自分の父親であるという問題を乗り越えられない。乗り越えることが怖い。自分の身の程を知り過ぎていて、自分の限界を決めている。『ガチバン』のキャラクターの中で一番多くの問題を抱え、しかも解決しないままになってしまうのでとてもつらい。行く先の気になる存在です。
安藤忠臣(山田裕貴)
性格:へたれ、子分肌
特徴:頭が弱い
髪型:金髪→パーマ
服装:普段着→スーツ&ロングコート
ヤクザの下っ端として勇人と出会い、そこそこいろんなことを経験してきた勇人を見こんだ親分がスカウトするのを苦々しく思い、それと同時に組の中でも問題が起こりその狭間で苦しみます。幸か不幸か勇人の存在が忠臣を奮起させ、ヤクザの世界で生きていくことを心に決めさせますが、元々子分気質なのにNEW GENERATIONでは年下の部下を持ち、孤独に孤独を極めていく姿がとても痛々しい。
例えば他の人に引き返すことができる道があるとしても、忠臣にはもうなくて、そのことに対する心を決めているので、斗氣雄のようにまだ未来ある存在を近づけまいと無意識にしているのが分かってきてしまう。今後が気になる人物。
追記:スピンオフ作品『闇金ドッグス』
大友斗氣雄(陳内将)
性格:悩み症
特徴:三白眼、喧嘩のスイッチがある
髪型:金髪オールバック
服装:短ラン&ボンタン&スニーカー
基本的にはなにか悶々と悩んでいる。ただ最終的なところは拳で解決してしまうスイッチを持っていて、そうなった時には誰も止められない。勇人に似ているところがあり、忠臣はそれを感じ取っている。尊敬する安藤先輩に打ちのめされて、再び今後を思い悩んでしまいます。
斗氣雄はまだ出てきて新しいですし、一番若い設定なので次は学校に戻るのか、戻らず街でふらふらするのか定かではありませんが、どうなっても仲間と群れるということはなさそう。そういうところも勇人っぽい。ただ、まだ良くわからない。ニュージェネ1でリネン屋さんとの心の通じ合いの部分をもっと掘り下げてくれればいろいろ分かったのにと思います。
【関係性】
勇人&よっちゃん先輩:唯一の頼りだった人が勇人にとっての一番の害悪だったパターン。100回裏切られても100回許してしまう勇人がかわいい。オススメはMAXMUM
紋児&勇人:喧嘩ップル(語弊)目標が違うのでずっと一緒にいられない。オススメはアルティメイタム1&2
レオ&勇人:永遠に分かりあえない&あわない二人。その諦めが倦怠期の夫婦みたいなピリピリ感を漂わせている。オススメはWORST MAX
勇人&忠臣:状況が違ったら本当に友達になれていたかもと思う二人。忠臣は忠臣で勇人の存在に感謝している。オススメはULTRA MAX
レオ&紋児:紋児の志の高さと漂う勝ち組感をレオが拒絶している。でも紋児は腕っ節の強さを買ってなんとかしたい。オススメはスプレマシー2
レオ&心愛:死ねVS大好きのDVカップル。これ以上は以下省略。オススメはTRIBAL
忠臣&斗氣雄:ここも勇人と忠臣のようにひとつ違えば友達になれていたのかなと思う二人。忠臣がひたすら斗氣雄を遠ざけようとするのが愛おしい。オススメはニュージェネ2
【補足】
佐野&窪田がスターダスト、荒井&山田&陳内がワタナベエンタ(D2)という俳優陣を見るのも楽しい。それこそ佐野くんと窪田くんは一緒にブログをやっていた時期もあったり(同級生萌)、D2は当然一緒に舞台をやっているし、先輩後輩だし、そういうのに弱い勢は死にそうです。
とまあこんな感じでいかようにも楽しめる『ガチバン』なのでぜひ観てください。MAXから順に観ていくことをオススメします。お願い…どうしてもあと5年は続いて欲しいんだ…!