取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

舞台『天球儀 ‐The Sphere‐』

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STORY

山荘「天球儀」に集められた7人の招待客たち。
そこではある人物の葬儀が行われるという。
姿を見せぬ山荘の主からの要求はただひとつ。
「蓬茨奏音〈ほうしかのん〉の死を悼むこと」。
だが、招待客は誰ひとりとして「蓬茨奏音」という人物を知らないと言う……。
人間の記憶が脳ではなく、「スフィア」と呼ばれる外装置に置き換えられた現代日本を舞台に繰り広げられる、殺人事件の起こらないミステリー。 

末満健一 新作舞台『天球儀』上演決定 | NAPPOS UNITED Co.,Ltd.

REVIEW

 【前置き】個人的に映画でも小説でも舞台でも裏切られることのハードルがかなり高くて、鈍器で後頭部を殴られることを期待しているので、それがないとなんにせよ物足りないと思ってしまうジャンキーの感想です。【終】

 

オープニングでみんな出揃って群唱すること自体が総てを物語ってたし、そのことに薄ぼんやり気が付いていたし、それをどうやって覆してくれるのかということに意識を集中させてしまって、我に帰ったら終わっていた。

結果、鈍器で殴られることはなかった。

制作側のいろんなつぶやきとか見ていても、大どんでん返しとか、世界の反転とか、そういうものを提示したかったんじゃないってことはわかっていたけど、「驚き」がひとつの期待値になっていたからなのか、特徴としていつも輪廻を感じていたということがあるからなのか、物語が「終わった」ということを強く感じてしまったんだと思う。解釈のひとつとして、山荘「天球儀」の物語はこれから毎年続いていく気もしなくはないけど、あれで打ち止めがいいな。特に理由はない。

強いて言うなら「殺人事件の起こらないミステリー*1」ということとか、「どの時点で人は死んだと言えるのか」とか、「記憶こそが魂である」とか、そういうことを深く考えると面白いんだろうけど、なんていったって割によくあるテーマで、これに新しい解釈を与えたわけでもないし、手軽にハヤカワ文庫で読めそうだなと思ってしまったのが残念。会話の中の伏線を存分に楽しめる感じでもなかった、と思う。

俳優ひとりひとりのポテンシャルの高さと、小ネタが光っていた。特に緒月遠麻さんはわかりやすい愛嬌のあるキャラクターで魅力的だったし、多田直人さんは安定感があって生きている感じがした。新垣里沙さんは最初から最後までずっと怪しかったのが惜しいけど、クライマックスのシーンは真に迫って迫力があった。小ネタで言うと紀伊国屋サザンシアターで絶賛上演中のコナンネタと、アイドルKでお馴染みのドルステがあってペンラ振らなきゃって思ったところが楽しかったかな。いろいろあったけどそれを楽しむ物語じゃないと思っていたのであまり覚えていない。あと、いつだって「雨」は大切な役割を果たしてるなと思った。

以上、物販でNU版TRUMPのDVDがバンバン売れていくのを見ながら、2019年に思いを馳せたオタクの感想でした。今日は久しぶりに『Equal』観ます。

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*1:(ネタバレ)とは言っても「みんな死んだ」という末満作品のあるあるはある意味押さえてた。