舞台『メサイア−暁乃刻−』

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STORY

昨日が死に、今日が生まれる。それが黎明 暁の刻--

”悠里淮斗”突然の失踪…。

白崎護は何も告げることなく忽然と姿を消した自分のメサイアに戸惑いを隠せないでいた。これはなんらかの陰謀か…。それとも自分の半身とも言える存在であるメサイアの裏切りなのか…。何があっても淮斗を信じ続ける護は、一嶋の制止を振り切って淮斗の行方を追う。例えそれが、その身の破滅を招こうとも…。

時を同じくしてチャーチのシステムがハッキングされ全てダウンする事件が起きる。有賀と加々美を中心とした捜査によりハッカーの正体が判明する…。その正体はこの世には存在しない魂。「ネクロマンサー」と呼ばれる人工知能であった。

サクラ新入生、御池・柚木・小暮、北方連合の諜報員養成組織「ボスホート」、志倉が率いる警視庁の新組織「キンダー」、そしてチャーチ科学捜査班。それぞれ思惑は複雑に絡みあい、悠里淮斗の失踪によって生まれた小さな火種は大きな炎となって再び日本を焼き付くそうとしていた。

すべて救えるのは…白崎護。ただ一人。

メサイア-暁乃刻-|ストーリー

REVIEW

世界が確実にメサイアに追いついてきている、そう思った。

以下ネタバレです。

悠里淮斗かいなくなった。それだけでも不安なのに、彼のメサイアである白崎護は淮斗不在のまま卒業試験を受けることとなる。卒業試験は総じて孤独なものだった。かつてのチャーチの卒業生、海堂鋭利と御津見珀も、司馬柊介と五条颯真も、互いにそこにいないメサイアを信じ、戦い、そしてサクラとなった。そう考えれば、護と淮斗もなんら変わらない。そのはずだった。でもそれは違った。淮斗は常に護とともにあり、おそらくサクラとなっても、他のサクラ以上に強いつながりをもって戦い続ける。共依存していた彼らが、自立などという分かりやすく安っぽい答えではなく、あくまで依存し続けるような答えを導き出したことに、心を鷲掴みにされた。例え、そこに淮斗の身体はなくともなんら問題を感じなかった。私はこれまで、淮斗の護への執着は火を見るより明らかでも、逆に護から淮斗への想いはそれほどでもないのだと、そう思っていた。けれど、護がいままでどれだけ淮斗に救われてきたか。今回の一件で明らかになった淮斗の救済は、おそらく氷山の一角で、これまでも、そしてこれからも護は淮斗によって命を助けられ、生き延びる。これ以上の依存はないと私は思う。鋼ノ章のあの衝撃とはまた違う、事実は残酷でも、当事者にとっては最良の物語だった。

 

肉体の死と意識の生

今回の一番の衝撃は悠里淮斗の肉体の死と、AI(人工知能)内での蘇生だろう。というようなことを書いて、全くありえなくないと思うようになったのは、確実に科学が進歩し、肉体と意識の乖離の幻想に疑いを抱く人が少なくなったからだと思う。私個人としては、幾ら崇高な意識を持った生命体でも、タンパク質などの脆く、いとも容易く破壊することのできる入れ物の中にあるという、克服し難いジレンマがあることに人間の美しさを感じる性分だから、単純にAIに意識を移したと言われても、そう簡単に物語として納得しないはずだった。けれど、私がこの話に人間の無謀さと純粋さを見出したところもまた、淮斗がなんの躊躇いもなく機械の中に終の住処を求めたことだった。つまり、淮斗は自分の肉体が死ぬことを別段大きな問題と考えておらず、護を救うために進んで自らの肉を捧げ、またそれでもなお護とともに生きようとしたことに、熱烈な生への渇望を感じ、この点においてどうしようもなく涙が溢れた。

今後、護は他の人間と同じように歳をとり死に近づいていく。一方の淮斗は肉体の衰えを知らず、ゼロとイチの世界が存在し続ける限り、その意識を保つことができる。護もそうなれば永遠に、と考えないことはないだろう。けれど、私はこれから先、淮斗が護にそのことを提案することはないし、護も望んだりはしないと思う。護にその時が来たら、淮斗は自分の手で本当の意味の終わりを手に入れる。あくまで、これは想像でしかないが。

 

散ルサクラ 残ルサクラモ 散ルサクラ

鋼ノ章で自らの手でメサイアである間宮星廉を殺した有賀涼。あれほどにつらいことはもうないのではないかと思われたのにもかかわらず、再び手にしたメサイアである加賀美の命。けれど、今回において有賀は加賀美を殺すという事実に動揺し、躊躇する。確かに、加賀美が裏切り者であったわけではない。それは入れ物として動いていただけ。それでもかつての有賀であれば、あそこまで心を乱されることはなかったのではないか、と私は思う。人間は様々な経験をすることで強くなるという一種の神話があるが、かつて人間らしい生き方をしていなかった有賀には、「人間的になる」ということが、むしろ彼の判断を鈍らせる。だだの殺人マシーンを作るだけならば、人間同士のつながりに固執するメサイアというものは必要がないし、むしろ諸刃の剣というものだ。現に、有賀はメサイアと心を交わすことで人間らしさを手に入れる代わりに、失ったものも多い。春の日の一瞬だけに咲いて、散っていくサクラになぞられた彼らは、やはり長命とは無縁なのかもしれない。だだその代わりに、生きることの喜びを感じることができるようになる。肉体的に強くなることと、精神的に強くなることは当然比例するとは限らないし、むしろ精神的に強い人は肉体的な強さにこだわらないというような、激しい信条を感じる。人間を手に入れた有賀と次第に歪みを見せ始めた加賀美の物語は何処にゆくのか、これからも楽しみである。

 

新たなサクラ候補生とテロリスト

新装版の文庫原作の特典で付いてきた冊子書き下ろしに書かれていた、新サクラ候補生たち。今回の話ではほとんど彼らのバックグラウンドに触れず、なにやら不穏な動きを見せて終わった。これは今後のシリーズ展開に大いに期待するのと、大切なのは今夏公開の映画『メサイア外伝−極夜 Polar­ night−』。

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今回の舞台作品では登場しなかった三栖公俊と周康哉が主役となり、暁乃刻より前の物語を描くということだが、周グエン衝吾*1という、おそらく周康哉に近い人物も登場したので、嫌でも期待値があがる。というのも、私は周康哉と彼の兄の堤嶺二の関係性や物語がとても好きだし、なんなら堤嶺二が先に電脳世界で生きていると信じている人間だから。そういうことで言うと、サリュートとDr.TENの今後にも目が離せない。ありきたりな考え方だけど、サクラと同じように彼らにも彼らの正義があって、それを懸命に貫くから美しいし、同時に苦しものだと実感させてくれるのがメサイアの世界。

ところでこの良さを何度も噛みしめるために、上演台本とかほしいです。

 

ゲネプロ動画

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「お前が居ないと世界は闇の中だ」「俺は永遠の夜を生き続ける」ってメサいワードであると同時に、ちょっと手を伸ばせばトゥルーオブヴァンプの世界だと思った。

東京公演千秋楽は配信予定

gyao.yahoo.co.jp

メサい曲紹介(護と淮斗のテーマ曲)

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独断と偏見で決定。 

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*1:ちなみに彼は日本人とベトナム人とのハーフらしい。東南アジアというだけで、人体実験のフラグを立てたいと思う。【出典】メサイア-暁乃刻- プロモーション映像 インタビュー映像 伊藤孝太郎-動画[無料]|GYAO!|アニメ