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舞台『幸福な職場 ~ここにはしあわせがつまっている~』

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STORY

昭和34年(1959年)ブラック企業も派遣切りもなかった時代、
とある町工場の実話をベースにした幸福なストーリー。

父親が病気に倒れたため、急遽、会社を継ぐことになった大森泰弘(安西慎太郎)。その会社は黒板で使う“チョーク”のトップメーカーだった。慣れない経営に四苦八苦する毎日。そんなある日、養護学校の女性教師・佐々木友枝(馬渕英里何)が「来年卒業する生徒を雇ってもらえませんか?」と訪ねてくる。

養護学校の生徒とは、つまり、知的障害者。「そんな事情を持つ子を受け入れる自信がない」と断る大森。しかし、従業員の久我省一(谷口賢志)が何故か熱心に受け入れを勧めてくるので「職業体験」として期間限定で受け入れることを渋々と承諾し、知的障害を持つ少女、吉岡聡美(前島亜美)が工場にやってくる。

「うちの会社にそんな余裕は無いはずだ!」と従業員・原田亮輔(松田凌)は反発するのだが…その原田に聡美はほのかな想いを寄せ始める。聡美のために、簡単な作業を任せるのだが、仕事覚えの遅い聡美に、とうとうイラだちを隠せなくなる大森。

その様子を観ていた徳凛寺の住職(中嶋しゅう)は、大森に対して「人間の幸せ」とは何か?働くこと、働かせることの真理を語る。この説法をキッカケに大森は、ささやかな奇跡を呼び寄せることになる・・。

ありふれた職場に生まれた小さな「奇跡」と「幸福」。どこの職場でも起こりうる、ささやかな人間ドラマをお届けします。

舞台「幸福な職場」2017年1月公演オフィシャルホームページ 世田谷パブリックシアター | チケット情報やキャスト紹介など

REVIEW

道徳の授業で繰り返されてそうな物語でありながら、基本は「仕事」にフォーカスされているからか、「お仕事楽しいです!」の声に苦しくなって無条件で涙が溢れた。( つい最近、転職先が決まりました。)お話について深く触れられないのはこの手のお話が苦手だから。できるならこういう物語以外で人間の葛藤や汚さ美しさを見たいと思う。これはただのワガママなのでスルーしてください。

松田凌の話をします。

今回の原田は、工場の従業員で職場実習に来る知的障害を持つ少女、吉岡聡美(前島亜美)をなかなか受け入れられないという役どころ。全体の総意のような意見を言い、差別的なところも含めてそれが人間であるという強さを持つ人。利己的なところも魅力だと思う。それを松田凌が演じると、コミカルでいちいちうるさくて、一方では頑固な青年という感じ。リアクションや受け答えが素に近いから、ついつい役自身を見失う。去年の『僕とあいつの関ヶ原*1』の時も感じた。

韓国語で「やりたいことがたくさん(いい意味)」と言いたい時に「欲心が多い」という表現をするんだけど、松田凌の演技を見てる時に思うのはまさにそれで、どんな瞬間も「自分らしさ」とか「爪痕残したい」って思いを感じてた。『男水!』壮行会のときが一番言語化されてたかも。それはファンとしては嬉しいことだけど、欲心が「多い」と感じる時が多くて。主役で座長の安西慎太郎くんの舞台上の演技見たのが初めてだったんだけど、彼の演じる大森が「普通」のキャラクターで主張が強くないから際立った感じにはならなくて、その一方で松田凌のような自由な人たちが動き回るから、ファンじゃなくても印象に残る。そうすると、いわゆる「第四の壁*2」が薄くなって、物語としてのフィクションが感じられなくなってしまうんだよな。素が強いというか。でもそういうとこ、好まれがちではあるし、私も好きなのでジレンマだ。少なくとも今回の作品は物語性が強いほうが良いかなと思った、という話です。苦手な話だからこそそう思ったのかもしれない。

とても素敵な作品でした。だからこそ、「ここから何かを学ぶことができる人間になりたい」というのが今の思いです。