取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

舞台『僕とあいつの関ヶ原』 紫陽花チーム

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REVIEW

クロードが終わってわずか3日後。松田凌も大変だなぁというのと同時に、人気なのは良いことだと思う今日この頃。このままどこまでも走り抜けていってほしい所存です。斯く言う私は、歴史が苦手なので事前に原作本を読んで天王洲銀河劇場に向かいました。もともと歴史小説は教科書を読むみたいな読み方しかできず、○○が××を討ったとか、△△が○○を裏切ったとか、そういう出来事しか頭に入ってこない。行間を読むのが好きなのになぜかできない。登場人物(キャラクター)に対する愛情がわかない。そんな私でも、演劇作品として十二分に楽しめた。どちらかというと物語よりも役者の演技ばかり見ていたのだけど。

染谷俊之(徳川家康石田三成

みんな大好き(主に中屋敷さん)染さま。刀剣乱舞のライヴュを除くと初めて舞台で観たのかな。はじめの方はおとなしかったのだけど、中盤から後半にかけてモブ(足軽とか)をするようになってからはとても自由というか、染さまの魅力いっぱいという感じだった。正直、家康も三成も自由度が低いキャラクターだから、役の中で何かするというのは難しそうで、どちらもふんわりしていた。(観客に想像させるという感じで)私には家康も光成も特に思い入れがないというか、どんな人物なのか考えたこともない、どっちもまっさらな存在だからアレだけど、まぁそれなりにいろんなところで演じられているキャラなので、観ている人個々にイメージがあるだろうしそれでいいのかなと。とにかく、アドリブをしている染さまがたいそう楽しそうでいらっしゃいました。台本を投げる、他人の台本を無理やり閉じさせるの暴挙、忘れられません。

黒羽麻璃央(井伊直政大谷吉継

「期待の新星・黒羽麻璃央」で認識してるんですけど、間違ってないですよね。刀ミュで大人気のキャラやってた人だぁって若いのかなと思ったら23歳でそこまででもなかった。何千何万回と言われてるだろうけど「黒羽麻璃央(くろば まりお)」って名前だけで優勝なんじゃないかな。そんな彼、いつもは髪の毛おろしてイマドキの若者~という雰囲気なんだけど、この舞台では髪を上げていて、とても「男前」感があった。松田岳のそれに似ている。つまり圧倒的主役感。彼の演じる井伊直政は、まさに美しい鬼と呼ばれるにふさわしい姿だった。本編を観てないから詳細はわからないけれど、刀ミュの所作の影響かな。歩く姿だけで、相手を見やるだけで美しかった。もう一方の大谷吉継は想像よりも元気というか粗暴な感じで、それはそれで醜いと言われてきた吉継の人生が表れているように感じた。顔がいいから、ああいう見た目を覆すキャラクターを演じることは少ないのだろうと推測するのだけど、そっちをもっとみたいなぁと思った。

尾関陸(松平忠吉

観劇前は映画『青鬼』でパシられていたというイメージでした。青竹チームでも同じ役を演じていた尾関くん、とても安定していた。そして、多感な息子感が滲み出ていた。他の舞台作品を観たことがないからなんとも言えないけど、すごく真っすぐな演技をするから、○○座の俳優っぽいというか、小難しい作品をやらせてもそつなくこなしそうだなぁと思った。「青年役」を沢山させたい。

原作本を読んでる時も思ったけど、直政と忠吉の義理の親子と、本当の親子の家康と忠吉の対になるところにもっとこだわってほしいなぁというか、この話自体が個人対個人の話っぽいというか、こんだけ血と義の繋がりが密なんだから、もう少し対になる関係性の妙があってもいいんじゃないかなぁと。私の読解力の問題なのかもしれない。ジャストアイディアなので忘れてください。

荒田至法(島左近/染音)

D2の大久保祥太郎に(顔が)似てるなぁという印象でした。他と比べて本を読んでる感が強かったなぁ。朗読劇だからそれで良いという気持ちと、絡みの多かった染さまとかまつりょが自由度高めだったのもあってチグハグしてしまったように思う。モブってたり、アドリブ入れてる時のほうが、生きている感じがあった。どうでもいいことだけど、松田秀秋と荒田染音だと「染音でかい」って都度思って笑ってしまった。

原作読んでる時はどちらかというと染音も彼女自身の家に翻弄される人生を送っていて可哀想という感じで、ここまで染音が秀秋に惚れた感がなかった。舞台版では染音の母親も出てこなかったし、そうなるほかないのかもしれないけど、個人的には染音は秀秋のこと好きというわけでなく、哀れんでいたんじゃないかと思うので違ったなぁと。これは決して悪い意味ではないし、これも原作モノの楽しみは方の1つだと思う。

松田凌(小早川秀秋

公演前の中屋敷さんがツイートでこんなこと言ってた。

なんで小早川秀秋でスベることあるのって思ってたらのっけからモブの「滑舌が悪い侍女」からフルスロットル自由だった。小早川秀秋も確かに蔑みたくなるとことんへなちょこなキャラクター。どこが良いって言えない感じがまた良いと思った。というか、それよりもモブの役柄の方が記憶に強く残ってな…。本人もブログ*1で反省してたけど、彼だけ見てると物語の本筋を見失ってしまって大変なくらい自由で、途中から「気にしてはいけない」と自分に言い聞かせてた。もともとの物語にも、歴史にも思い入れがない人間だからいいけど、原作好きな人はどうなんだろう。いや、演じることありきでみんな楽しんでるのか。とにかく、今作の松田凌はものすごく楽しそうだった。いいのかどうかは別として、こなれてくると舞台上でここまでできるのかと思った。それだけに、他の演者の固さとチグハグしてしまうところもあった。まぁなにごとも加減だよな。

 

その他、演出の中屋敷さんはいつものごとくピンクの服着てピンクパンサーを持ってたけど、なんか総じて女子力が高くて、それはたぶん前見た時が髭を生やしてた時だからだと思うんだけど、なんにせよ可愛らしかった。ファンと公言した染さまの隣でいづらそうにしてるとこも、攻撃力半減って感じ。テーマ自体好みではないものを観に行くのってすごく勇気がいることだけど、演技を見たいタイプの役者と、ファンキーな演出家がいればなんとかなるものだな。

 

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