取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

EPOCH MAN番外特別公演『夜明け』

2016.01.07<19:00>

僕は、シュウヘイは、ヨルに、僕の可能性を見出して、それと同時に、ただ滑稽に夜明けを目指していた。シュウヘイの苦悩は、とてもよくあるもので、「何になりたいの」って、そんなこと、どうして簡単に答えることができるだろう。私も、シュウヘイも、「そんなのできっこないよ」って思うのに、ずっとそうしなきゃって思っている。

母親は至極まっとうだった。だからこそ、シュウヘイには鬱陶しかった。でも、それと同時に甘えていた。どこかで甘えていた。ヨルの誘惑に負けてしまいそうな時には、母が守ってくれると。そうどこかで思っていた。その母親が死に、ヨルに飲み込まれた。ヨルは僕を、シュウヘイを肯定し、総てを受け入れた。それは、深く落ちていくことはとても心地よく、同時にとても恐ろしい。夜明けは、すぐそこにあり、僕を、シュウヘイを待っている。ただ、目を覚ますまで夜明けには気が付かない。

というような話だった。あの白い部屋は、シュウヘイの心の部屋。眠りの中にあるシュウヘイの部屋。私たちが劇場にいて、シュウヘイを見つめているその瞬間まで、シュウヘイはまだ目覚めていない。今こうして彼を思うとき、彼はゆっくりとその目を覚まし、動き始めるのだと、そう思う。

epochman.com

脚本:山本タカ(くちびるの会)
演出:小沢道成
音響:堀江潤
照明:中佐真梨香(空間企画)
宣伝美術:藤尾姦太郎(犬と串)
衣裳:山中麻耶
振付:木皮成(DE PAY'S MAN)
照明操作:磯田浩一
演出部:菊池祐児
舞台監督:藤岡文吾
制作協力:サードステージ
企画・製作:EPOCH MAN