取り留めもない

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ドラマ『すじぼり』

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STORY 

やりたいことも好きなことも見つからず、鬱屈の日々をダラダラと過ごす大学生の亮。ある日、憂さ晴らしに悪友らとある悪だくみを実行するが、大失敗。チンピラたちに追われてしまう。偶然居合わせ、助けてくれたのは、速水組というやくざの組長だった…。漫然と生きる大学生と昔気質のやくざが出会い、動き始める過酷な運命…。本格的なバイオレンス描写と、本作が初主演となる藤原季節ら俳優陣の体を張った熱演は必見。

任侠青春ドラマ『すじぼり』本日配信開始!主演・藤原季節のインタビューも掲載した特集を公開|株式会社 U-NEXTのプレスリリース

REVIEW

めちゃくちゃ良かった。
観始めはぬるいVシネかなと思ったんだけど、さすが小林勇貴監督だけあって、極度にグロく、こだわりを感じるほどにアーティスティックなフェチ描写を盛り込んで、クライマックスにカタルシスをぶち込んできた。アートな感じは寺山修司の映画っぽい。全体的には仁義なき戦いシリーズに近いと表現したいところなんだけど、正直に言うと黒社会シリーズとかの初期の三池崇史監督作品の方が断然近いので全然人には勧められない。ただ、そこら辺が好きなら絶対に見てほしい。損はしない。

役者についても、とにかく主役の藤原季節がクズ大学生からキマった復讐犯まで振り幅広く体を張りまくっているのでそこが見どころ。それと同時に、彼を受け入れつつ突き放す速水組の面々が良い。物語が動くきっかけになる役を演じた伊能昌幸もとても良い。彼が純朴であればあるほど良いからね。

物語としては、よくあるモラトリアムな大学生が暇を持て余し過ぎて転落していくという風ではあるけど、個人的には「転落」とは思えない。自分は孤独ではなかったと信じたい男が最後までもがいてみんなと共にいられるようになる、という話だと個人的には思いました。どっちみち悲しすぎるんだけども。クライマックスはああなるしかないし、あれが良いと心から思った。

余談だけど、今放映してる『日本統一』とも繋がってる話とは思えないほどこちらはソリッドだったので本当に振り幅に驚きました。コメディターンとの温度差で死にそうだった。

この監督コメント読むとかなり好きな小説のドラマ化だったらしい。*1全員死刑』の頃から藤原季節に目をつけていたんだろうか。っていうかこれがドラマ初主演なの面白すぎる。

 

「すじぼり」が「すじぼり」のままだったのは悲しい。

 

 

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