取り留めもない

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映画『闇金ドッグス4』

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STORY

元ヤクザの親分の安藤忠臣(山田裕貴)は闇金業者のラストファイナンスの社長として、常に冷徹に債務者を追い込んでいた。そんな中、ヤクザ時代の兄貴分・豊田(升毅)が10年の服役ののち出所。豊田が堅気になろうと履歴書を書いていた喫茶店で、店員の元子(高橋ユウ)がチンピラに襲われる。チンピラをぶっ飛ばして元子と逃亡した豊田は、元子の借金を肩代わりしようとラストファイナンスを訪れる。

映画『闇金ドッグス4』 - シネマトゥデイ

REVIEW

今までの感想をひとまず。いつかちゃんとまとめたいですね。

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 今作の前作までとの大きな違いは監督がガチバンシリーズの元木隆史監督になったこと。そのことに関する監督へのインタビューも興味深いのでぜひ読んでから観てほしい。これだけで一晩語れるよ本当に。

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そして初日に観てきたわけですが、「揺れて暗い画面」と「解決されない後味の悪さ」「安藤忠臣のかっこ悪さ」のあたりにめちゃくちゃガチバンっぽさが戻ってきたのをビシバシ感じた。慣れてない人(特に青木玄徳さんのファンなど)の目にはどう映ったんだろうかと気になる。

以前の自分の感想の中に、

金の回収のために手を打って行動するところがいつものクライマックスだったけど、今回は違っていた。1・2であれだけ厭な感じで終わるだけにハッピーエンドなのが意外だったし、ガチバンシリーズと闇犬の違いってこの終わり方だと思ってたんだ。「闇金は債務者の人生を変えてしまう」ということをマイナスの方で表現してきただけに、今回のプラスへの転換は須藤らしさというか、忠臣との差異付けだったのかなと。つまり、忠臣のやってきたこと、これからやることには常に誰かの死があって、その上に忠臣は立って生きているんだということを暗に示すというか。それもこれもガチウルの西口さんから続いているのかなぁ。こじつけかな。

映画『闇金ドッグス3』 - DD過ぎて中身が薄い

っていうのがあって、これがずっと引っかかってたんだけど、今回はまさに今までの闇犬とガチバンシリーズとの本当に中間というか、1~3のストーリーが表現する勧善懲悪感*1を問い直す物語というか、エンタメ作品にスライドしてしまいそうだったところを、「逃げず」に再び真正面から人間を描いたらおのずとこうなったんだろうと思う。でもこれは、「ガチバンの安藤忠臣」が存在するから必要な段階だったし、監督がそういう指向性を持っていたとしても、また別の背景のある須藤司メインの『闇金ドッグス5』では必ずしもそうある必要はないし、どうなるのかは分からない。でもなんとなく、司はほとんど悩まない大友斗氣雄*2みたいなものかなと思うので、最終的には忠臣と司で何かしらの衝突があって、決着がつくと楽しいなと。ガチバンシリーズの森紋児(佐野和真)と黒永勇人(窪田正孝)とか、黒永勇人とよっちゃん先輩(鈴之助)とか、紅井レオ(荒井敦史)と川崎心愛(佐藤永典)、安藤忠臣と大友斗氣雄(陳内将)がそうであったように。ガチバンシリーズ再スタート、闇犬へのガチバンキャラ登場と並ぶ切なる願望です。

 

 ここからネタバレ気にせず書くのでご理解ください。

 物語をざっと説明すると、忠臣が尊敬していた豊田に半ば裏切られ、その人物を客として見なくてはいけなくなる、というようなところでしょうか。それでも忠臣は、本当の意味で豊田を見捨てることができない。それが今回の物語の好き嫌いで分かれるところ。もし今までの「何か解決する系」の闇犬なら、豊田の女をAVに出演させてでも金を回収したんだろうけど、そうしなかったのは、この物語を誰かのストレス発散にしないためでもあり、「そんなに人間は分別良くできていない」ということを表現するためということもできると思った。なんかこういう人間関係のところに関して、めちゃくちゃ安藤忠臣ってかっこ悪かったんですよ。少なくともガチバンのときは。何もかもを機械的にこなせないのが、このシリーズの中のキャラクターの愛おしいところであり、欠点でもあったはず。人間味が消せないから忠臣はヤクザを辞めるしかなかったし、今でもちょっと気を許すと足をすくわれる。そのたび傷つくし心を入れ替えるけど、彼の本性だからそうそう簡単にはどうにもならないよね、という人であり続けてほしい。だからこそ、いつか須藤司とも全身全霊でぶつかってほしいですね。

鬱々としたパートの中で一番輝いていたのはお笑い芸人でもあるジェントルさん(ポスターの中で一番左)ですね。このチンピラ感満載のプッツン役しんどいくらいに嵌ってました。あと、その子分に『闇金ウシジマくん』に出てたチンピラがいたので笑ってしまった。

馬鹿パートとしてあったAV制作会議のシーンは、完全に『シンゴジラ』ですね。ガンガンパクリで好きです。あと、もう15禁にしちゃったしいけるところまでいこうよ、という心意気を感じるセリフの数々、最高でした。あと、百瀬朔くんがくっそバカっぽい役でほんとわんこだなって思いました。そんなもので手遊びしちゃだめだよ。

今回の『闇金ドッグス4』を観て、『闇金ドッグス5』で元木監督が須藤司という人物をどうやって描くのか改めて期待度が高くなったし、 同時にガチバンシリーズを観たくなったので、ダイレクトマーケティングします。

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どうせ観るならはじめから観てほしいけど、 おすすめはスーパーマックス、ワーストマックス、トライバル、スプレマシー2、エクスペンデットあたりですね(全て前にガチバンをつけてください)。シリーズを観てみると元木監督のインタビューの中の、

荒井敦史を出すときは紅井レオ役で出したいですね。レオは金の亡者なので、『闇金ドッグス』の世界にマッチすると思います。佐野和真の森紋児は、『闇金ドッグス』の世界にあまりいれたくないところはあります。『ガチバン』の中の王子さまであってほしいので(笑)。

山田裕貴、窪田正孝らを送り出した『ガチバン』から新たな世界『闇金ドッグス』へ 元木隆史監督がシリーズ映画に込めた想い | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス

これの意味がよく分かる。わからないことがあればいつでもツイッターに凸ってください。友達がほしいです。

 

*1:この場合の善悪は一般的なそれとは異なる

*2:ガチバンNEW GENERATIONで忠臣とタイマンを張る人物