取り留めもない

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月刊「根本宗子」第13号『愛と希望の先』

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月刊「根本宗子」 officialsite

月刊「根本宗子」は『忍者、女子高生(仮)』ぶりの二回目。正直言うと、ねもしゅーの世界で玉置玲央さんがどう輝くのかが楽しみだったから、公演一週間前に降板と知った時は残念だった。体調不良とはいえ、自意識が強い人たちの創作物は面白い反面、ぶつかるし一度そうなったらどうにもならんだろうなぁと思ったりもした。知らんけど。

物語は、ある仲良かった二人の女の子たちの愛と希望の先の話。並行した世界が少しずつ重なって、最後には入り混じって、がっしゃーんとなるのは根本さんのお約束なのかな。私に語彙がないのは元々ですけど、この力技で昇華していく感じが嫌いじゃないのかもしれないと思った。苦手だったのは、この手の作品を「好きだ」と言ってはばからない人たちの方なのかもしれない。

恋愛体質じゃないから、びっくりするくらい幸子(橋本愛)の恵津子(プー・ルイ)に対する言動が理解できなくて、あんなどうしようもないクソみたいな作家志望の男に未来なんてあるように見えないのに、本当になんでだろうってやるせなくなった。そこで自分は完全に恵津子なんだなって。キラキラ輝いているものに憧れて、それを見たり追いかけることしかできない。特段才能も能力もなく、なんとなく生きている。そんな自分だからこそ、才能を捨ててどうしようもない愛に生きる人に説教したくなっちゃう。まあ、幸子も幸子で「愛に生きる自分かっこいい」とか思ってそうでどうしようもないけど。

個人的には杏奈ちゃんが一番嫌い。「討論したりぶつかり合って絆は強くなる党」の党首なので、なんでも「いいよ、応援するよ」って言われると、「ああ、この人は私のことなんかどうでもいいんだな」って思っちゃう。「自分が正しいなんて1㎜も思ってねえし!そんな時は相談なんてしねえし!」っていう汚いこころをすくくと育ててきてます。なんていうか、それって一種の宗教に縋る時の気持ちというか、肯定されるための道具にしてる感じもあんまり好きではない。って私はいつまで突っ張っていられるんだろうか。

BiSが好きでした。好きになった時にはもうすでに解散してたけど。だから普通にアイドル見るみたいな感じで、歌ってるプー・ルイを見てた。同じように、杏奈ちゃんの歌めっちゃ良かった。歌詞が甘すぎて脳みそ溶けそうだけど、音源化してほしい。

10年後の優一を演じていた鬼頭真也さんがどうしても忘れられない暴君に見えてトラウマがフラッシュバックしそうだった。なんか申し訳ない。前回も強烈なキャラクターで爪痕を残していった大竹沙絵子さん、今回も最高だった。あんなに強烈な印象の人、生きてるうちにそんなに出会わないだろうに、いるよねこんな人と思うのは逆にすごいと思う。なんだろうあれ。

優一役の玉置玲央さんの代役を急きょ務めた田中健太郎さん。本当にクズだった。清々しいほどのクズ加減に、幸子も確信犯だなって思ったほどだもの。その人自身に希望なんてなかったし、典型的な高校生~大学生レベルの飴と鞭。よくも引っかかったとか言えるなっていう感じ。分かってたじゃん、全部。それでもいいって思ったんでしょってこころの汚い私が叫んでた。たぶんちょっと羨ましかったんだと思う。そうやって、他人を信用することができる人のことが。そんな自分も含めて全部クソだ。妄想落ちがちょうどいい。そうだ、あれは全部妄想だったんだ。だって私の知らないあんな人間臭い生き方があってなるものか。そんなの嫌だ。以上です。