取り留めもない

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映画『黒い暴動』

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STORY

東京でスタイリストのアシスタントをしているアラサー女子の美羽(馬場ふみか)は、仕事も恋愛もぱっとしない日々を送っていた。そんな折、かつて一緒にパラパラダンスに熱中したギャル友あおい(平松可奈子)が訪ねてきたことで、ガングロギャルに目覚め青春を謳歌(おうか)した12年前の高校時代に思いをはせる。それを機に、タイムカプセルを掘り起こすため石川県の内灘町に帰郷し……。

映画『黒い暴動』 - シネマトゥデイ 

REVIEW

退屈な田舎の町。美羽の憧れのロックスターたちはテレビとパソコンの中にしかいない。その日常に「外野なんて空気」と言いのける人が現れたらその魅力に屈することができるだろうか。もしあの頃、私の目の前にも現れてくれたなら勉強なんて放り出して田んぼの真ん中を自転車で爆走していただろう。びっくりするほどしたいこともすることもなかった高校時代のことを考えると、どうやって生きてたのかなと不思議になる。

ギャル文化がダサいかカッコいいかという問題ではなく、日常をぶち壊す存在としてとても魅力的だった。本当のところ別にギャルである必要はなかったんだと思うけど、でも確かに私も、田舎の高校に通っている地味学生だった頃、電車や駅で目にしていたいわゆるギャルたちや、同じ学校にもいたちょっと外れた子たちが羨ましかった。彼女たちのように自分がこれでいいと思う判断基準を何も持っていなかったから、ただ日々人から認められるように生きていた。いや、多分今も。

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これと同じことをいつか私も実感することになる。今はまだいい。まだ大丈夫だと甘く見積もっているから。でもそのいつかはきっとくる。美羽たちも30歳になって高校時代ギャルをしていたころの自分たちを思い出して、「あの頃は無敵だったね」と過去を懐かしんでいた。「外野なんて空気」と思って、他人の評価なんて気にせず、自分の人生を生きていた頃のこことを、考えれば考えるほど今がつらい。ただの青春映画だと思っていたけど、薄っぺらい愛だの恋だのを語る前にもっと重要な生き方の物語だった。それに気づいたとき私は、振りかぶった右フックを食らって、ノックダウンした直後、涙があふれ出た。思ってもみなかったよ。

つまらない毎日をぶち壊したい男のために不良モノがあるなら、女のためにはギャルモノなのかもとさえ思った。言うなれば女版『狂い咲きサンダーロード』です。

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P.S.黒ギャルには黒さというよりも肉感が必要なんだなあと美羽と本物(ブラックダイヤモンド*1の人たち)を見比べて思った。

*1:Black Diamond (@bdiajp) | Twitter:昔はパラパラ踊ってメッカでプリクラ撮ってるだけのイメージだったけど、カフェ経営までしてるってなんか寂しい気もする。