STORY
SWORDの「O」鬼邪高校。
定時と全日に分かれるSWORD地区最凶の不良高校である。
その全日制で頭を張る花岡楓士雄(川村壱馬)は、
数々の伝説を持つ最強の男・ラオウをたずねて、戸亜留とある市にある鈴蘭すずらん男子高校を訪れていた。その頃、鬼邪高の首を狙うSWORD内の不良達は、
虎視眈々とその機会を伺っていた…。中でも、エンジ色の学ラン、通称“血の門”と呼ばれる瀬ノ門工業高校の頭・天下井公平(三山凌輝)は、須嵜亮(中本悠太)という最強の男の力を手に入れ、
さらには、同じく鬼邪高の首を狙う鎌坂かまさか高校と江罵羅えばら商業高校を傘下に加え、
「三校連合」を築き、その勢力を拡大していく。鬼邪高の高城司(吉野北人)と轟洋介(前田公輝)は、そんな三校連合の怪しい動きをいち早く察知するも…その時は突然、訪れる。
遂に、三校連合による鬼邪高狩りが始まったのだ。不意をつかれ、急襲されてしまう形となった鬼邪高の男達。
圧倒的不利な状況下で、これまで己の拳一つで答えを導いて来た楓士雄は、
次々に潰されていく仲間達を守り抜く事は出来るのか!?そして、三校連合最強の刺客、須嵜との頂上決戦に挑む楓士雄!
楓士雄の拳はいったい何を語るのか?
本物のテッペンを決める戦いが今、始まる。
REVIEW
ハイローというコンテンツがはじまって7年も経つんですか...びっくりした。9/10の舞台挨拶で最初から出演してるはずの龍くんと昂秀くんを見たけど、本当に20歳過ぎてるの?ってくらいぽわぽわしてて成長とは...になってしまいました。
そんなことはひとまず、HiGH & LOWというコンテンツを愛した人間にとってこの続編をどれだけ待ち侘びていたか。どんなことがあってもおもろいとは確信していたけど、今回はメインにLDH以外のキャスト(NCT127中本悠太くん、BE:FIRST三山凌輝くん)が入ったこともあり、ハイローのトンチキ世界に合うのか不安だったというのも事実で。でもそんなの無駄でした!マジで。毎度のことだけど、このシリーズの脚本的な何かに価値つけるような無粋な気持ちには一切なれず、全ての余白はこちらが自由に考えていい部分とみなして楽しみました!!!
鬼邪高校
冒頭、一人で鈴蘭高校に乗り込んでいく花岡楓士雄の背中を見た時、前作から良い意味で何も変わってなくて心底安心した。私はTHE RAMPAGEのオタクなので、楓士雄役の川村壱馬や高城司役の吉野北人のことはライブなどで見続けていたわけで、その中でいろいろ変化もあったと思うのですが、一瞬でハイローの世界に呼び戻してくれるキャラクターでいてくれることのありがたさ。まずそこが良かった。
元々、登場人物が多くさらにキャラクターが個性的な映画の中で、楓士雄は仮にも主役であったとしても特別目立つような存在ではないけど、とはいえじゃあ誰が中心かっていったら確実に楓士雄だなということに疑う余地はない訳です。それは神輿を担ぐ感覚に似ている気がするけど、とはいえ周りも楓士雄に先頭切ってもらってるだけじゃなくて、自分の行く末も任せている感じ。今作では特にそこに焦点が当たってるんだけど、そのことに違和感がないというか。見ている方も、「やっぱ楓士雄じゃなきゃ!」な気持ちになれる。
それを成り立たせている存在の一人が楓士雄の親友でもある高城司。楓士雄のことを尊重しながら楓士雄が100%の力が発揮できるように考えているというか。前作は割と楓士雄と司は「親友」という側面が強かった気がするけど、今回は鬼邪高校のNO.2としての考え方や発言が多かったと思います。特に、「あいつら助けになんか来ねえよ。お前らぶっ殺しにくるんだよ」という司のセリフに勝手に鬼邪高校の連帯感を感じて良かった…とはいえ楓士雄と親友であることには変わりないので、背中を預けあっていたシーンには唯一無二だった。
さらに、みんなも大好きな轟の成長が著しい。楓士雄も鬼邪高でトップ張っていくみたいな気持ちで満ち溢れていたことに一種の感動を覚えたけど、轟についてはハイローシリーズの初めからの蓄積があるから、「人間らしくなって…」という感動まであった。脇を固める辻と芝マンに対する思いもそうだし、今まで誰かを信じたり、判断を委ねたりすることなんて考えられなかったのに、楓士雄に対して見せた一瞬の失望はまさに楓士雄という人間を信じたから生まれたものなんだなって思ったら、ハイローが長く続いてよかったと思うまでありました。
鬼邪高校については、前作から引き続きのメンバーも多く、できるだけメンツをそろえたかったんだろうと感じられるところも多かったけど、それでもちゃんと団結した鬼邪高校を見ることができて良かった。*1
楓士雄が行き着いた自分たちの戦う理由とか、仲間や戦ってきた相手に対する考え方ってまあよくあるといえばそうなんだけど、普通それが簡単ではないというか。私の世代的に言うとポケモンの主題歌にも入っていた「昨日の敵は今日の友」ってそんなわだかまりなく過ごせることもそうそうないと思うけど、それも楓士雄が言っているのであればなんか納得できる。そのくらい彼が純粋な存在であることが、この作品の軸にあることで映画全体の余白とか違和感に対してこっちも本気で考える真剣さが持てる要素になってるなと。もっと簡単に言うと、内容にくさすることが無粋であると感じるくらいまっすぐな作品になっているな今回もと感じた。
鳳仙高校
前回は敵チームとして戦った鳳仙高校は、今回鬼邪高校をと共に三高連合と戦う存在として登場。人気キャラクターの小田島(塩野瑛久)の出演時間はめちゃくちゃ増えていた。小田島も司と同様にトップを支える存在でありながら、今回は割と広範囲に目を配る役になっていたのが印象的。オタクに都合が良すぎるプライベートタイムとか、圧倒的な安心感がある戦い方とか全部が最高。特にクライマックスシーンで楓士雄・轟と戦うシーンはそれぞれがそれぞれの役目を果たすことを第一に考えているようで美しかった。
あとは、シダケンね。前作では四天王の一人としてちょっぴりお茶目なのかなというキャラクターで描かれてたけど、今回は敵地に一人で出向いて、そこにいた人間を一蹴した姿を見て、夢女の命が救われました。*2*3ただ、夢女なのでダケンがボコボコにされた瞬間に映画館じゃなかったらギャン泣きしてたと思います。*4それくらい印象に残るキャラクターでした。
あわせてなんとか佐智雄も出てきて、これにはLDHのやる気を感じた。志尊淳のスケジュールを取らないでなんとかする、という選択肢もあったろうに、本当にありがたかった。
瀬ノ門高校
実質の主役は須嵜亮(中本悠太)だって見た人ならわかると思うけど、本当にそうでした。幼馴染であり瀬ノ門のトップである天下井公平(三山凌輝)をささえる参謀として存在し、実力であれば天下井なんて比較にもならないはずなのにどんなことを言われても、天下井だけを信じぬく姿は感動さえする。若干自分に酔ってるのかと思ったかと思うほどだったけど、最後の最後まで自分以外に原因を作らない姿にはなぜか圧倒された。須嵜亮が悲しければ私たちも悲しいという気持ちになってくる。
そんなだから、天下井が本当にくずというか雑魚というか、最初から喧嘩では誰も相手にしないようなキャラクターに仕上がっていたのが対比で良かったですね。観客はDV彼氏(天下井)から離れられない彼女(須嵜)という図を見ている気持ちになったと思います。っていうか天下井もあんなに正義感溢れる子供だったんだのに、マジで成長過程でなにかあったんだろうなと思うしかない(良い余白)。
ただ一方で、天下井の考える人間関係(上下関係)や現実世界でお金が重要だっていう考え方は、その通りなんですよね。HiGH &LOW THE WORST(ザワ)の場合、高校生にフォーカスしているからあんまり言及されませんけど、実際ヤンキー物語ってその時に輝いていた番長も、社会に出て初めて揉まれるというか、そう理想ばっかり言ってられないということに至るというか。前作で村山が卒業して本当の意味で大人になっていくようなことが、楓士雄や司、轟や小田島にもあるわけです。その中で彼らはどう生きていくんだろうなと漠然と考えましたが、自分が死んだ後のことを考える時くらい怖くなったので止めました。
余談ですが、ヤンキーが色々苦悩するところにフォーカスした作品に『ガチバン』があるので皆さん見てください。
ちなみに不良(ヤンキー)映画を見ていると大体下記3つに分類できます。
前作は①+③で、今作は①かな、という感じ。だから何という話ですが③とかになるとヤクザとか大人が出てきて結構重めになりがち。今後ザワが続くとしていつまでも①は続かないだろうなと思うので勝手に考えて今から鬱。
須嵜と天下井に話を戻すと、二人のシーンで一番好きなのは、楓士雄が司を救った姿を見ていた天下井を、同じように須嵜だけが守ろうとしたところ。その前に司から「お前は誰も助けに来ないだろうな」って言われてた伏線回収過ぎて分かりやすく泣いた。みんな好きだと思うけど私も当然好き。
余談
先にも書いたように、今作ではLDH外のキャストがメインで役を演じていて、作中歌も歌ったりしている。そして共通点の多い者同士、気が合って仲が良くなったらしい。
キャストの注目度もあってインタビューやTV出演も多くて、ハイローというコンテンツが好きな人間としてはうれしいことばかりなんだけど、長くやっているシリーズを見てきたからわかる悲しさも同時に感じ始めている。それは、それぞれが個々の領域でより強く輝いていくから起こりうることで、もう同じように全員が集まって作品を作ることがないかもしれないということ。キャストが「16歳から日本を離れてしまったことで経験できなかった青春を過ごした」と言っていたけど、青春は短く儚い。私の好きな舞台作品の台詞でこんな部分がある。
僕たちの出会いとはなんなのでしょう
バラバラになるのが定めなら、僕たちは何のために出会ったのでしょうか
いつかバラバラになるなら
あの日、あの時あの場所で僕たちは何のためにひとつになったのでしょう
いつかバラバラになるために、私たちはひとつになったのだよ
柿喰う客『露出狂』抜粋
本当にその通りで、作品を通じて生まれた関係性にエモさを感じてしまうほど、この作品が好きです。HIROさんありがとう。いつまでもお元気でお過ごしください。
まとまる範囲で書きたいことは書いたけど、HIROさんへの感謝しか述べられなくなったから以下は箇条書きで失礼します。
- ザワクロは最高
- マジで前半はどうでもいい後半だけで1億点
- ここで全部帳消しになる 映画『HiGH&LOW THE WORST X』Music Trailer〔アクション篇〕/PSYCHIC FEVER「WARRIORS」【9.9(Fri.)ROADSHOW】 - YouTube
- あとこの使命感で溢れてる陸さん*5の歌が最高 RIKU (THE RAMPAGE) / Stand by you (映画『HiGH&LOW THE WORST X』劇中歌) - YouTube
- 余談だけど、楓士雄と司が2人で戦うシーンで陸さんの歌を流すのは無理が過ぎる(もちろんいい意味)
- 北人さん(司)の金髪はどっちかっていうと黄色髪
- 司も今回ボコボコだけど鼻血が似合うってどういうことなの
- 楓士雄の司フライングキャッチは全てのアングルから何度も見たい
- 司はダチじゃなくて楓士雄の親友なので...
- 短ランのボタン開けながらゆっくり歩いてくるの怖すぎる、ランウェイではないのに
- 体育館に寝転んで「ムカつく、空が見えねぇじゃねえか」の台詞は流石傲慢こうちゃん(天下井)ムーブで人ってそんなに簡単に変わんないなってにっこりした
- っていうか公平(fair)って名前本当に最高じゃん
- 冒頭から出てるのに半ば過ぎからしかまともに喋らないしミステリアスな存在なのに、始終敬語なのでギャップの塊・須嵜亮。濡れた子犬というより憂いの化身
- 小田島と門司(堀夏喜)のサービスカット is 何
- 氷室を絶対に好きになるはずだったのに尺の問題で仕留め損ねられてこちらも半殺しの気分。だからエンドロールで意味わかんない行動するしかなかったんだよ氷室くん…
- 天下井と須嵜のスピンオフください
- 小田島、シダケン、サボテンのスピンオフもください
- 中中がNeedlesのジャージ着てて「富じゃん」ってなった
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