取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

映画『HiGH&LOW THE WORST X』

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STORY

SWORDの「O」鬼邪高校。
定時と全日に分かれるSWORD地区最凶の不良高校である。
その全日制で頭を張る花岡楓士雄(川村壱馬)は、
数々の伝説を持つ最強の男・ラオウをたずねて、戸亜留とある市にある鈴蘭すずらん男子高校を訪れていた。

その頃、鬼邪高の首を狙うSWORD内の不良達は、
虎視眈々とその機会を伺っていた…。

中でも、エンジ色の学ラン、通称“血の門”と呼ばれる瀬ノ門工業高校の頭・天下井公平(三山凌輝)は、須嵜亮(中本悠太)という最強の男の力を手に入れ、
さらには、同じく鬼邪高の首を狙う鎌坂かまさか高校と江罵羅えばら商業高校を傘下に加え、
「三校連合」を築き、その勢力を拡大していく。

鬼邪高の高城司(吉野北人)と轟洋介(前田公輝)は、そんな三校連合の怪しい動きをいち早く察知するも…その時は突然、訪れる。
遂に、三校連合による鬼邪高狩りが始まったのだ。

不意をつかれ、急襲されてしまう形となった鬼邪高の男達。
圧倒的不利な状況下で、これまで己の拳一つで答えを導いて来た楓士雄は、
次々に潰されていく仲間達を守り抜く事は出来るのか!?

そして、三校連合最強の刺客、須嵜との頂上決戦に挑む楓士雄!
楓士雄の拳はいったい何を語るのか?
本物のテッペンを決める戦いが今、始まる。

HiGH & LOW

REVIEW

ハイローというコンテンツがはじまって7年も経つんですか...びっくりした。9/10の舞台挨拶で最初から出演してるはずの龍くんと昂秀くんを見たけど、本当に20歳過ぎてるの?ってくらいぽわぽわしてて成長とは...になってしまいました。

そんなことはひとまず、HiGH & LOWというコンテンツを愛した人間にとってこの続編をどれだけ待ち侘びていたか。どんなことがあってもおもろいとは確信していたけど、今回はメインにLDH以外のキャスト(NCT127中本悠太くん、BE:FIRST三山凌輝くん)が入ったこともあり、ハイローのトンチキ世界に合うのか不安だったというのも事実で。でもそんなの無駄でした!マジで。毎度のことだけど、このシリーズの脚本的な何かに価値つけるような無粋な気持ちには一切なれず、全ての余白はこちらが自由に考えていい部分とみなして楽しみました!!!

 

鬼邪高校

冒頭、一人で鈴蘭高校に乗り込んでいく花岡楓士雄の背中を見た時、前作から良い意味で何も変わってなくて心底安心した。私はTHE RAMPAGEのオタクなので、楓士雄役の川村壱馬や高城司役の吉野北人のことはライブなどで見続けていたわけで、その中でいろいろ変化もあったと思うのですが、一瞬でハイローの世界に呼び戻してくれるキャラクターでいてくれることのありがたさ。まずそこが良かった。

元々、登場人物が多くさらにキャラクターが個性的な映画の中で、楓士雄は仮にも主役であったとしても特別目立つような存在ではないけど、とはいえじゃあ誰が中心かっていったら確実に楓士雄だなということに疑う余地はない訳です。それは神輿を担ぐ感覚に似ている気がするけど、とはいえ周りも楓士雄に先頭切ってもらってるだけじゃなくて、自分の行く末も任せている感じ。今作では特にそこに焦点が当たってるんだけど、そのことに違和感がないというか。見ている方も、「やっぱ楓士雄じゃなきゃ!」な気持ちになれる。

それを成り立たせている存在の一人が楓士雄の親友でもある高城司。楓士雄のことを尊重しながら楓士雄が100%の力が発揮できるように考えているというか。前作は割と楓士雄と司は「親友」という側面が強かった気がするけど、今回は鬼邪高校のNO.2としての考え方や発言が多かったと思います。特に、「あいつら助けになんか来ねえよ。お前らぶっ殺しにくるんだよ」という司のセリフに勝手に鬼邪高校の連帯感を感じて良かった…とはいえ楓士雄と親友であることには変わりないので、背中を預けあっていたシーンには唯一無二だった。

さらに、みんなも大好きな轟の成長が著しい。楓士雄も鬼邪高でトップ張っていくみたいな気持ちで満ち溢れていたことに一種の感動を覚えたけど、轟についてはハイローシリーズの初めからの蓄積があるから、「人間らしくなって…」という感動まであった。脇を固める辻と芝マンに対する思いもそうだし、今まで誰かを信じたり、判断を委ねたりすることなんて考えられなかったのに、楓士雄に対して見せた一瞬の失望はまさに楓士雄という人間を信じたから生まれたものなんだなって思ったら、ハイローが長く続いてよかったと思うまでありました。

鬼邪高校については、前作から引き続きのメンバーも多く、できるだけメンツをそろえたかったんだろうと感じられるところも多かったけど、それでもちゃんと団結した鬼邪高校を見ることができて良かった。*1

楓士雄が行き着いた自分たちの戦う理由とか、仲間や戦ってきた相手に対する考え方ってまあよくあるといえばそうなんだけど、普通それが簡単ではないというか。私の世代的に言うとポケモンの主題歌にも入っていた「昨日の敵は今日の友」ってそんなわだかまりなく過ごせることもそうそうないと思うけど、それも楓士雄が言っているのであればなんか納得できる。そのくらい彼が純粋な存在であることが、この作品の軸にあることで映画全体の余白とか違和感に対してこっちも本気で考える真剣さが持てる要素になってるなと。もっと簡単に言うと、内容にくさすることが無粋であると感じるくらいまっすぐな作品になっているな今回もと感じた。

 

鳳仙高校

前回は敵チームとして戦った鳳仙高校は、今回鬼邪高校をと共に三高連合と戦う存在として登場。人気キャラクターの小田島(塩野瑛久)の出演時間はめちゃくちゃ増えていた。小田島も司と同様にトップを支える存在でありながら、今回は割と広範囲に目を配る役になっていたのが印象的。オタクに都合が良すぎるプライベートタイムとか、圧倒的な安心感がある戦い方とか全部が最高。特にクライマックスシーンで楓士雄・轟と戦うシーンはそれぞれがそれぞれの役目を果たすことを第一に考えているようで美しかった。

あとは、シダケンね。前作では四天王の一人としてちょっぴりお茶目なのかなというキャラクターで描かれてたけど、今回は敵地に一人で出向いて、そこにいた人間を一蹴した姿を見て、夢女の命が救われました。*2*3ただ、夢女なのでダケンがボコボコにされた瞬間に映画館じゃなかったらギャン泣きしてたと思います。*4それくらい印象に残るキャラクターでした。

あわせてなんとか佐智雄も出てきて、これにはLDHのやる気を感じた。志尊淳のスケジュールを取らないでなんとかする、という選択肢もあったろうに、本当にありがたかった。

瀬ノ門高校

実質の主役は須嵜亮(中本悠太)だって見た人ならわかると思うけど、本当にそうでした。幼馴染であり瀬ノ門のトップである天下井公平(三山凌輝)をささえる参謀として存在し、実力であれば天下井なんて比較にもならないはずなのにどんなことを言われても、天下井だけを信じぬく姿は感動さえする。若干自分に酔ってるのかと思ったかと思うほどだったけど、最後の最後まで自分以外に原因を作らない姿にはなぜか圧倒された。須嵜亮が悲しければ私たちも悲しいという気持ちになってくる。

そんなだから、天下井が本当にくずというか雑魚というか、最初から喧嘩では誰も相手にしないようなキャラクターに仕上がっていたのが対比で良かったですね。観客はDV彼氏(天下井)から離れられない彼女(須嵜)という図を見ている気持ちになったと思います。っていうか天下井もあんなに正義感溢れる子供だったんだのに、マジで成長過程でなにかあったんだろうなと思うしかない(良い余白)。

ただ一方で、天下井の考える人間関係(上下関係)や現実世界でお金が重要だっていう考え方は、その通りなんですよね。HiGH &LOW THE WORST(ザワ)の場合、高校生にフォーカスしているからあんまり言及されませんけど、実際ヤンキー物語ってその時に輝いていた番長も、社会に出て初めて揉まれるというか、そう理想ばっかり言ってられないということに至るというか。前作で村山が卒業して本当の意味で大人になっていくようなことが、楓士雄や司、轟や小田島にもあるわけです。その中で彼らはどう生きていくんだろうなと漠然と考えましたが、自分が死んだ後のことを考える時くらい怖くなったので止めました。

余談ですが、ヤンキーが色々苦悩するところにフォーカスした作品に『ガチバン』があるので皆さん見てください。

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ちなみに不良(ヤンキー)映画を見ていると大体下記3つに分類できます。

①ナンバーワンを目指せ!タイプ
②学校なんてクソ食らえ!タイプ
モラトリアム人間夜露死苦!タイプ

不良(ヤンキー)映画を3タイプに分析!私的『ホットロード』の違和感解明 - 取り留めもない

前作は①+③で、今作は①かな、という感じ。だから何という話ですが③とかになるとヤクザとか大人が出てきて結構重めになりがち。今後ザワが続くとしていつまでも①は続かないだろうなと思うので勝手に考えて今から鬱。

須嵜と天下井に話を戻すと、二人のシーンで一番好きなのは、楓士雄が司を救った姿を見ていた天下井を、同じように須嵜だけが守ろうとしたところ。その前に司から「お前は誰も助けに来ないだろうな」って言われてた伏線回収過ぎて分かりやすく泣いた。みんな好きだと思うけど私も当然好き。

 

余談

先にも書いたように、今作ではLDH外のキャストがメインで役を演じていて、作中歌も歌ったりしている。そして共通点の多い者同士、気が合って仲が良くなったらしい。

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キャストの注目度もあってインタビューやTV出演も多くて、ハイローというコンテンツが好きな人間としてはうれしいことばかりなんだけど、長くやっているシリーズを見てきたからわかる悲しさも同時に感じ始めている。それは、それぞれが個々の領域でより強く輝いていくから起こりうることで、もう同じように全員が集まって作品を作ることがないかもしれないということ。キャストが「16歳から日本を離れてしまったことで経験できなかった青春を過ごした」と言っていたけど、青春は短く儚い。私の好きな舞台作品の台詞でこんな部分がある。

僕たちの出会いとはなんなのでしょう

バラバラになるのが定めなら、僕たちは何のために出会ったのでしょうか

いつかバラバラになるなら

あの日、あの時あの場所で僕たちは何のためにひとつになったのでしょう

 

いつかバラバラになるために、私たちはひとつになったのだよ

柿喰う客『露出狂』抜粋

本当にその通りで、作品を通じて生まれた関係性にエモさを感じてしまうほど、この作品が好きです。HIROさんありがとう。いつまでもお元気でお過ごしください。

まとまる範囲で書きたいことは書いたけど、HIROさんへの感謝しか述べられなくなったから以下は箇条書きで失礼します。

  • ザワクロは最高
  • マジで前半はどうでもいい後半だけで1億点
  • ここで全部帳消しになる 映画『HiGH&LOW THE WORST X』Music Trailer〔アクション篇〕/PSYCHIC FEVER「WARRIORS」【9.9(Fri.)ROADSHOW】 - YouTube
  • あとこの使命感で溢れてる陸さん*5の歌が最高 RIKU (THE RAMPAGE) / Stand by you (映画『HiGH&LOW THE WORST X』劇中歌) - YouTube
  • 余談だけど、楓士雄と司が2人で戦うシーンで陸さんの歌を流すのは無理が過ぎる(もちろんいい意味)
  • 北人さん(司)の金髪はどっちかっていうと黄色髪
  • 司も今回ボコボコだけど鼻血が似合うってどういうことなの
  • 楓士雄の司フライングキャッチは全てのアングルから何度も見たい
  • 司はダチじゃなくて楓士雄の親友なので...
  • 短ランのボタン開けながらゆっくり歩いてくるの怖すぎる、ランウェイではないのに
  • 体育館に寝転んで「ムカつく、空が見えねぇじゃねえか」の台詞は流石傲慢こうちゃん(天下井)ムーブで人ってそんなに簡単に変わんないなってにっこりした
  • っていうか公平(fair)って名前本当に最高じゃん
  • 冒頭から出てるのに半ば過ぎからしかまともに喋らないしミステリアスな存在なのに、始終敬語なのでギャップの塊・須嵜亮。濡れた子犬というより憂いの化身
  • 小田島と門司(堀夏喜)のサービスカット is 何
  • 氷室を絶対に好きになるはずだったのに尺の問題で仕留め損ねられてこちらも半殺しの気分。だからエンドロールで意味わかんない行動するしかなかったんだよ氷室くん…
  • 天下井と須嵜のスピンオフください
  • 小田島、シダケン、サボテンのスピンオフもください
  • 中中がNeedlesのジャージ着てて「富じゃん」ってなった

 

関連記事

aooaao.hatenablog.com

*1:神尾楓珠くんの離脱のさせ方とかまあまあ納得性があった。忙しいもんな。

*2:私はそもそも荒井敦史さんのオタクです。

*3:荒井敦史が演じた中で特に好きな役の話 - 取り留めもない

*4:私が知る限り荒井さんはいつも殴られてボコボコにされていますが…

*5:主題歌のTHE POWERも歌うTHE RAMPAGEのボーカル。そのほか2人のボーカルは花岡楓士雄役の川村壱馬と高城司役の吉野北人

【更新中】My Coming of Age Story

Coming of Age Storyとは所謂「大人になること」なので日本語で言えば「青春モノ」と言われるジャンルの作品です。個人的にこれは自分の最も青いところに突き刺さる作品だと思うものをメモ的に残しておきたいと思います。

映画

邦画

青い春(2002)

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ナイン・ソウルズ(2003)

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キッズリターン(1996)

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昭和歌謡大全集(2003)

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凶気の桜(2002)

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GO(2001)

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ピンポン(2002)

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害虫(2002)

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リリイ・シュシュのすべて(2001)

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スワロウテイル(1996)

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スクラップ・ヘブン(2005)

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洋画

トレインスポッティング(1996)

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エレファント(2003)

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ラストデイズ(2005)

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パラノイドパーク(2007)

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KIDS/キッズ(1995)

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ドラマ

池袋ウエストゲートパーク(2000)
青の時代(1998)
六番目の小夜子(2000)

小説

乙一『GOTH』
天樹征丸『東京ゲンジ物語』

 

REAL RPG STAGE『ETERNAL2』-荒野に燃ゆる正義-

STORY

旧教国・ロッツフォート公国の公位継承者であった王子レンブラント(RIKU)は、幼い頃に獣のような姿をした多民族集団・オルドの襲撃によって、領地と愛する家族を失った。そんなレンブラントと兄・リーフェン(藤原樹)が意見の相違から剣を交え、別れを迎えるという回想シーンから物語はスタート。時は流れ、オルドから奪われた故郷を取り戻すため結成された、レンブラント率いる“聖なる誓約団”がオルドとの戦いを優位に進める現在。

(中略) 

そこへ前線から不穏な知らせが。集団戦が苦手なはずのオルド軍が見事な統率で戦っており苦戦を強いられているという。さらにその姿かたちが…、「異様」との知らせが。駆けつけた誓約団を待ち受けていたのは、獣ではなく人間に近い姿をしたニクラス(山本彰吾)、コニー(武知海青)、オズヴァルト(後藤拓磨)、マティアス(浦川翔平)。どうやら彼らはオルドと人間のミックスルーツを持つ兵士のようだ。厳しい戦いを強いられる誓約団をさらに苦しめるのは、傭兵としてオルド軍に参加するイムラン(福澤侑)とガッファー(龍)。

 (中略)

このバトルを制したのはオルド軍、レンブラントを捕らえ降伏を迫る。これを飲まないレンブラントは闘技場でのバトルを強いられるが…、そんな戦いの中「新しい国」の構想が生まれる。そしてバトルの助っ人に現れたのは、かつて別れた兄・リーフェン(藤原樹)。ここから物語は深みを増し、双方の正義、過去の軋轢、未来の在り方と複雑な展開を見せ、怒涛のラストへと向かう。

THE RAMPAGE 長谷川慎 誕生日をサプライズでお祝い、舞台『ETERNAL2』ド迫力パフォーマンス披露 | ドワンゴジェイピーnews - 最新の芸能ニュースぞくぞく!

CAST

レンブラント:RIKU
クロエ:長谷川慎
ジーン:鈴木昂秀
キャメロン:陣
ルーク:岩谷翔吾
リーフェン:藤原樹
ニクラス:山本彰吾
コニー:武知海青
オズヴァルト:後藤拓磨
マティアス:浦川翔平
ガッファー:龍

イムラン:福澤侑

REAL RPG STAGE『ETERNAL2』-荒野に燃ゆる正義- 特設ページ | EXILE TRIBE mobile

REVIEW

一年ぶりのエターナル!気が付けば16人組グループのほとんどの11人が出演し、13人が最終的に舞台上にいました。多すぎじゃない?以下は前回の感想。そして今回もネタバレします。

aooaao.hatenablog.com

今回も兄弟と宗教の話ではあったのですが、それよりも追加組(オルド)の物語がめちゃくちゃよかったですね~!前の感想でも、「オルドはメサイアでいうGみたい」って書いてたんですけどマジでそれで、かつTRUMPでいうところのダンピール(混血)なので、創られた存在としての悲しさというか、自分たち以外に信じられるものは何もないという四面楚歌感というか。特に、オルガと人間のミックスでありオルガの小隊を率いるニクラス(山本彰吾)の慟哭が今でも心の中で響いていて、苦しい。人間を憎む一方でオルガから裏切られてしまって自分のアイデンティティが揺らぎまくるところを、同じような運命を生きてきた仲間たちのために最後まで矜持を保とうとする姿は本当に美しかった。「誇りとは、人との関わりでしか生まれない」とリーフェン(藤原樹)も言ってましたけど、ニクラスの誇りも仲間の中にあって存在する感じが伝わってきて本当に…レンブラント(RIKU)に抱きしめられたとき、ようやく他者から認められてホッとしたように見えたのは私だけじゃないはず。

そこからですよ、盛り上がってくるのは!

ふっと糸の切れたように見えたニクラスが次に望んだのは「終わらせること」だったわけです。それも、自分に忠実なコニー(武知海青)に対してレンブラントと共に殺せと言う。もちろん心優しいコニーにはそんなことできるはずもないし、と同時にそんなことを望んだり叶えたりする生き方はおかしいと、今までのルールというか考え方に疑問を感じていい意味で不協和音を生んでいく。このくだりをあと1時間は見ていたかったんですけど、メサイアとかTRUMPだったら3時間越えでお送りするカタルシスLDHのオタク向けにライブパートも含めて2時間でやり切ったので一瞬過ぎて物足りなかったです。なので私の頭の中でかなり補っておきました。

リーフェンはあくまでどこまでもリーフェンで良かったです。一度闇落ちした奴はそう簡単に陽キャにはならないなと。ただ、基本は良い奴になってたので、極端なツンデレに思えてかわいかった。去年の公演から出ていたルーク、ジーン、クロエ、キャメロンについては正直そこまでフォーカスされなかったさみしさはあったけど、オルガに家族を殺されているルーク以外の3人が、どんな国を作っていきたいかをそれぞれ考えなきゃいけない、と意識が変わったのは1年後の世界を描いているというリアリティがありました。成長。

あと、イムラン(福澤侑)とガッファー(龍)の2人はミステリアスで、正直わからなかったことの方が多く、そして最後にでかい爆弾を落とされたので、1年後とは言わず続編早くくれという気持ち。ガッファーに関しても、TRUMPのオタクでもある私は「血」「宗教」「花」というキーワードで血が沸き肉が踊りました。あまりに私にとって都合がよい。そういう種族といえばそうなんでしょうけど、生死よりも神に死を捧げるということに重きを置いていて、一方で死者を弔う気持ちがあるという矛盾。きっと兄弟のように長い時間を過ごしたイムランの死に無感情に見える弔いを捧げたガッファーに対して愛おしささえ感じました。

演者についていえば、難しい役どころのニクラスを演じたやましょうさんが至極よかったです。演技が上手いとか下手とかそういう話ではなくて、気持ちがめちゃくちゃ乗っていて、オタクが好きなタイプの演技でした。今までやましょうさんってハイローが今のところの代表作泣きがしますけど、三代目の直己さん主演の『箱の中』の犯人役とか、影のあるキャラクターがハマる気がしますね。ニクラスもその系譜でした。

あと、私がリズスタ*1見てないからあんまり深くは語れないんですけど、マティアスを演じていたしょへも良かった。声が通るし気障っぽい振る舞いも道化みたいな振る舞いもどちらも合う。かっこいい。

それともっぱらTwitterのTLで話題になっていたのはイムランを演じていた福澤侑くん。彼自身もカーテンコールで言ってましたけど、THE RAMPAGE from EXILE TRIBEに一人で飛び込む形(17人目のらんぺーじ)になって、なんならダンスパートもあって、きれいな顔で、って衝撃でした。それだけじゃなくて実はPBAに出てたりと、かなりLDHに近くて事務所スカウト待ったなしだと思いますね。勝手なこと言ってます。

私得ではあるんですけど、ライブパートでMA55IVEが始まったのはやっぱり戸惑った。スタンディングでやらせていただきたいよね、確実に。それとフラッグはめちゃくちゃほしい。驚いたところで言えば、りくさんの喉の調子が良すぎて、ソロで歌い始めたとき声量が馬鹿になってたのが印象的でした。エターナルのりくさんソロ曲好きすぎるから配信してほしい。本当に。

こんなところですかね。ネタバレが過ぎてこれから見ようか悩んでいる人の参考にはならなそうですけど、鉄は熱いうちに打てとよく言ったもので、こういうのはあっつあつの気持ちの時に書くのが一番です。現場に行けない人はシアコンが千秋楽を配信してくれるっていうから是非に。とはいえ、会場は埋まってないので現場で見るのがおすすめです。私は明日も有明に行ってきます。

theater-complex.jp

チケットはこちらから。

e-ticketbook.com

 

公式サイト

www.nelke.co.jp

関連記事

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news.dwango.jp

spice.eplus.jp

theatertainment.jp

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劇団た組『ぽに』

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あらすじ

 円佳(23歳 松本穂香)はやりたい事が見つからず、ひとまず海外に行く事を目標として、時給1000円でバイトシッターをしている。好きな人である誠也(24歳 藤原季節)の家に頻繁に寝泊まりしながら、生意気でシッターを奴隷扱いする男児・れん(5歳 平原テツ)の家から最近よく指名をもらっている。
ある日、いつもの様にバイトへ向かうが、業務中に起きた災害によって円佳はれんと避難せざるを得なくなる。しかし避難所は定員で入れず、2人は彷徨う事に。そんな最中、れんはいつも通り横暴で、限界に達した円佳はれんを置き去りにしてしまう。
円佳が誠也の家に帰宅した翌朝、れんは43歳の姿になって訪ねてくる。れんは「ぽに」になってしまったのだ。
激怒するれんの両親(豊田エリー金子岳憲)、業務外の事故として関知しない雇用主(津村知与支)、関係性のはっきりしない彼氏、ぽに化が進むれん、円佳の世界の輪郭はどんどん曖昧になっていく・・・

ぽに|KAAT 神奈川芸術劇場

感想

た組の作品を今までいくつか見てきたけどその中でも特にファンタジーだった。なんだけど、それ以上に現実の濃度が高過ぎて咽せ返りそうになる。そんな不思議な手触りの作品だった。

そもそも「ぽに」ってなんだよって最後まで分からないままだったし、「ぽに」がどんな理由で目の前からいなくなったとしても対価は払わなきゃいけないのか。それなのになんで簡単にお祓い受け入れたんだ。ほんと、そういうとこが円佳なんだよな。周りに流されて、責任感なんて皆無で、それが他の人からしたら現実の残酷さから目を背けているように感じられて、幸せな時は良かったけど最悪な時は総叩きにあう。自分を大切にしていない人は、周りからも大切にされないんだなって深く思わされる。

もちろん、周りの人も人徳者ではないけど、円佳の引き寄せの力が働いている気がする。誠也との関係だって、出会いを知ったらもしかしたら上手くいったんじゃないかって思えたけど、お互いがお互いの駄目なところを引き出してしまっていて見てるこっちが苦しくて。円佳や誠也を見ていると正論より情緒で生きている人たちに嫌気がさしてくる。あと、弱みに漬け込んでくる大人もすごくきつい。た組の作品は泥臭い人間ばっかりだけど、過去一で無理な人が多かった。だから、正直後味最悪です。でも見て良かった。

https://natalie.mu/stage/news/451568

 

時折思い出す受験ソングの話

受験ソングって言ったら、卒業ソングとか、結婚ソングとかみたいに一概にこれというのはないと思うけど、私はThom YorkeのThe Eraserだった。

北関東の、一応進学校に通ってて、だけど市外に通う形だったから、夏休みなんかは特別な授業がない限りは市立図書館で朝から夕方くらいまで勉強してた。朝っていうのは家の仕事が始まる前、大体9時くらい。夕方は夜の仕事が始まる前だから16時くらいかな。もうそこら辺はよく覚えてないけど、とにかく高三の夏休みは図書館の学習室にいた思い出がある。

その図書館は本だけじゃなくて、CDとかDVDも少しだけ貸し出しのために置いてて、なぜか私はそこでRadioheadでもなく、Thom Yorkeのアルバムを借りて、MDに落として聴いてた。ずっと、永遠に、何度も繰り返して。多分私は自分が思っているよりずっとそのアルバムが好きだし、図書館の学習室が好きだし、お昼に持って行っていた蜂蜜とクリームチーズを挟んだサンドイッチが好きだった。

あんまり過去に戻りたいという気持ちは湧かないけど、いつかこの時間には戻ってみたい。勉強はつらくなかった。そのほかにしたいこともなかったから苦でもなかった。知らない高校の学生と学習室の席を取り合ったり、ある程度周りの人と顔見知りになって定位置ができたり、毎日本や新聞を読んでるおじさんを見つめたり、窓の外の緑を眺めたり。ひとりだったけどひとりじゃできない思い出が沢山ある。

人との繋がりって脆いなと思うけど、身の回りに起きていることに文脈を感じて、今の今まで覚えている人たちのことは好きだし、多分これからもそう簡単には忘れない。そういう瞬間を集めるために生きている気もする。

余談だけど、そうやって勉強して入った大学1年目の夏。音楽フェスでatmos for peaceを見た。そこでこのThe Eraserも演奏していた。その時、私の人生の初めの辻褄が合った気がした。

舞台『ETERNAL』

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THE RAMPAGEの中から6人が出演していた舞台『ETERNAL』を観てきました。

 

STORY

旧教国・ロッツフォート公国の公位後継者であった王子レンブラント(RIKU)は、幼い頃に多民族集団オルドによって故郷と父・ヘンドリック(加藤雅也)の命を奪われた。
大好きだった兄・リーフェン(藤原樹)も闘いの中で失踪し、レンブラントは母の故郷である新教国・ノルダニア神聖国で育てられることとなった。

――16年後。レンブラントはオルドに奪われた故郷の地を取り戻すために“聖なる誓約団”を立ち上げ、仲間と共にディランド地方へと進軍する。

王家の側近・コーレイン家出身で規律を重んじるルーク(岩谷翔吾)、貧民街出身の切込隊クロエ(長谷川慎)と観察眼の優れた色男ジーン(鈴木昂秀)、貴族出身で弱腰の新人・キャメロン(陣)らと進軍していく中、レンブラントたちはオルドだけではなく、ノルダニア神聖国に反発する旧教徒たちとも剣を交えることとなる。

オルドさえ殲滅すれば国が安定すると考えていたレンブラントだったが、旧教徒たちの剣にオルド軍の刻印を発見。旧教徒の集う廃墟聖堂に乗り込むとそこにはレンブラントのかつての師・スチュアート(姜暢雄)の姿があり――。

THE RAMPAGE出演 REAL RPG STAGE『ETERNAL』特設ページ | EXILE TRIBE mobile

 

元々がスマホゲームという作品を舞台化したいわゆる2.5次元舞台なんですけど、もう本当に久しぶりに2.5を観たので「こんなんだっけな」ということが多過ぎた。もちろんいい意味で。公演自体はマジかよという感じで3公演しかなかったので今日で終わったんだけど、配信もあるのでぜひ観て。最大で9月26日まで観られる。

シアターコンプレックス

嗚呼、リーフェン...リーフェン...どうしてリーフェン。ってことしかなかったんですけどどうしてあんなことに。いっちゃんがド悪役っていうのも良かったし、かなり救いのない役だったからもう...正直、父親のこととか私も理解できないし人間不信になっても仕方ないけど、蟻にも命を感じてたリーフェンはどこ行ったの...自分の母親を見捨てられて、信じていた宗教も捨てさせられようとしたら、自暴自棄になるかすべてを持ってる人を恨むっていうのはあるかもしれないけどさ...リーフェン、、、最初はほとんど表情がなかったリーフェンがレンブラントにどんどん揺さぶられて最後に慟哭の姿を見せるのはこっちもやっぱりしんどくなる。リーフェンもレンブラントのように周りに信頼できる仲間がいればな...ルークがそうなれたかもしれないな...つらい。いっちゃんの感情ぐちゃぐちゃ演技、本当によかったよ〜!

陸さんのレンブラントは勝手に太陽みたいなキャラクター(ルフィ的な)だと思ってたんだけど、思慮深くて賢いマジで完璧漢だった。そういうキャラクターにそんなに思い入れが湧かないタイプだからアレなんだけど、その真っ直ぐさが裏切り者を指名するところに出ててめちゃくちゃ笑った。そんな迷いなく幼馴染のルークを指名するなよ。かわいそうだろ。あと、生き別れたリーフェンのこと気にかけててやれよ。かわいそうだろ。まあそれはいいとして、信頼の厚いレンブラントのために命を賭した仲間たちをバックにソロ歌唱する陸さん最高過ぎた。そういう意味でも完璧だった。

ルークなあ。ルークにももっと色々エピソードがあったんだろうなって思うけど、最後報われたからいいです。あれでみんなが幸せになりました!!!

クロエとジーンはニコイチの良さが極まってた。まこっちゃんの粗暴なクロエがたかひでの飄々とした色男のジーンによく絡んでいくこと極まりない。ジーンの強さを認めてるから突っかかるし、稽古しろって言うし、勝つまで諦めないって頑張るし、本当に良い。それでいて他の仲間たちにも熱さを持ってて、いい奴だった。そんな真っ直ぐな役をまこっちゃんがやるのも良かった。もっとほしい...

たかひでのジーンは思っていたより賢くて「賢いな?!」ってはじめはなってたけど、最初から役が自分のものになってる感じがあって良かった〜!レンブラントに喝を入れたとこも、もうそんな顔できるの〜〜〜!ってなって本当...クロエとジーンはズッ友なのでこっちも最高エピソードがいっぱいありそうで良いですよね。良いです。

じんさんのキャメロンは本当にじんさんだった。一番最後に合流してきたのに、なんだかんだキャメロンの一言が的確で...途中で隊長になった時にはこっちまで嬉しくなってしまった。キャメロンを見つけてきたクロエも最高ってこと。

もうここからは文章にする元気がないから箇条書きで。

  • キャスパレ大好き人間だからバッキバキの殺陣とダンスではじまった時、それだけで元取れたと思った。みんな仕上がり過ぎている(LDHのアーティストとして)
  • 陸さん(主役のレンブラント)そんなに踊るけどこれから体力のこと考えてる?
  • みんな化粧が濃い
  • 初めの方は各人の演技について、陸さん(初心者)、しょごたむ(経験者)、まこ(経験者でかなり役に入ってる)、昂秀(マジで上手いなにそれ)、じんさん(本人?)
  • じんさん(キャメロン)は本当にかわいい
  • たかひでにもっと演技の仕事を!
  • オルドって端的にGみたいな存在だった(メサイア履修者向け)
  • 兄妹の確執ってだけですぐにユウヒデンを思い出したし見返したい(幽悲伝の方を)
  • リーフェン、、、リーフェン、、、16年間で何があったんだ...
  • これはただただ懸念なんだけど藤原樹のオタクはもっとほしい!ってならんかったんかな。藤原樹の活動量の3倍くらいは陸さんの方が動いてた
  • LDHの舞台で人はそう簡単に死なない
  • レンブラントの持ってた玉は里見八犬伝のやつかと思った
  • 金輪際あの会場では舞台はやらないでほしいほどのアリーナの座席の高低のなさ。アリーナ席に人権がない
  • 舞台とライブの振り幅が凄すぎて笑ってしまった情緒がない。からのジーン様...
  • ライブパートのソロ曲部分、自分達の曲なんだから流せばいいじゃんって思うけど着メロみたいで懐かしかった(?)
  • 2日目のマチネを観に行ったんだけど、カテコの挨拶がまこっちゃん、たかひで、陸さんで、陸さんの挨拶がしっかりしてるのはもちろんだけどまこたかが本当にしっかりしてて、そういうとこでも成長してる〜〜〜!って思った

また内容について書きたくなったら書こうと思うけどひとまず。素敵な作品をありがとうの気持ち。当分の間はMoon and Back聴き続けるね。