取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

柿喰う客『夜盲症』

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STORY

高天原乳業の女子社員寮はソフトボール部が支配する伏魔殿!?
実業団リーグの絶対王者である彼女たちは今夜も地下食堂に集結する!
小劇場界の風雲児「柿喰う客」の最新作は女優9名によるクロスゲーム
栄光の影に隠された悪夢の歴史を暴き出すアンチ・ヒーロー・サスペンス!

 

REVIEW

5月の公演予定が延期になってようやく浴びる柿喰う客!!!配信で福島雪菜ちゃんの『ときめきラビリンス』と橋本祥平くんの『いまさらラブシーン』を観たけどやっぱり柿は劇場が一番!今日もスズナリはキレッキレでした。

内容はコロナを経た作品になってたけど、それより何より「レズ」×「ソフトボール」の謎の掛け算。そしてNGと言いながら幾度となく繰り返される禁断ワード。中屋敷さんがつかこうへい好きなのは知ってたけど今回なんかいつも以上にソレ感があってめちゃくちゃだった。めちゃくちゃだったんですよ結局。でも好き。何度も笑った。この世の混沌を煮詰めたような作品。本当に好き。今回のメインは永田紗茅ちゃんと福井夏ちゃんなんですけど、見た目も物語も本当に百合。

個人的な話をすると、自分もソフトボールをやってたので、ソフトボールネタにいちいち笑ってしまった。たしかに何年かぶりにソフトボールが正式種目になった東京オリンピックの前にやるには反勢力的。中屋敷さんのソフトボールに対する謎の思い入れ。総てがやばい。

柿の若手女子メンバー、すっかり柿らしくなって感動してしまった。『流血サーカス』の辺りでは結構心配だったけど、今ではもうあと世界観でいきいきしてるなんて。特に斎藤明里ちゃんは、ブランチレポーターでもあり柿喰う客での所属で、テレビでは名実ともにカワイイなのに、舞台上では「不倫」とか「レズ」とか「精液」とか言いまくってて、そのアンバランスさも素敵な「女優」さんだなと思いました。上目線過ぎる古参みたいな感想だな。最悪だ。でも面白いのでぜひに。11月22日までです。

 

舞台『たかが世界の終わり』by第7世代実験室

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REVIEW

自分がこの作品について知っているのは、グザヴィエ・ドランが映画化したフランスの戯曲ということと、今回は藤原季節くんが家に帰ってくるルイを演じるということの2点。直前のYoutube配信で、蜷川幸雄さんの元で演劇を学んだ人たちが立ち上げている企画と知った。ということはきっと理解するのに骨の折れることだろうと不安になった。

 

配信とは言え、すでにワンカットで撮影したものを送り出すのだから、演劇というよりは映画に近い体験のように感じるというのがまず思ったことで、その後にやっぱり劇場で観たかったと痛感した。演者たちの熱も、作品が持つ複雑な感情も素晴らしかったのに、唯一自分の集中力が足りていない。それが自分のただでさえない理解力を更に損なわせた。と同時に、やはり映像での演技と舞台の演技は違うし、会話劇だとなおさらなのかもしれないと思った。その点、ドランの作品の方がわかりやすく再構成されていたし、映画なので私はそちらから得たものの方が多かった。 

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愛されたい、という欲求よりも、理解したいのにできない、という三者三様の苦しみがドンっと自分にのしかかるようなそんな作品だった。家族の中にも緊張感もあるし、ある種の嘘っぽさもあって、なんとかそれらを取っ払って話をしようとするのだけど、みなベクトルが違う方向を向いていてどうにもならない。分かってほしくて言葉を使うのに、分かってあげる為に聴覚を使えない。諦めてしまえばそこで終わりだと知っているから頑張ってみるけれどもうだめなのだということも知っている。ルイはもうこの家を出るしかない。進んでいくしかない。いろんなことを忘れながら。

 

今回の作品で得たものはたくさんある。一つは藤原季節くんの演技。役に没入するきらいがある彼の演じるルイは、自分の中の感情に戸惑いながら、家族と対話し、最終的に自分に帰着する様は愚かだけれど懸命にもがいて理想を求めている男のように思えた。彼に苦悩する人間を演じさせたら、同世代の俳優の中でも群を抜くと思っている。まさにそれだった。

 

今まで観た作品 

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ここにないけど、『貴方なら生き残れるわ』も彩の国さいたま芸術劇場だったし、自粛前に最後に観た上記の『誰にも知られず死ぬ朝』もそうでした。藤原季節の演技を観に与野本町に行く生活に戻りたい。

 

話を戻して、ドランの映画だから強調されてたのかと思ってた役が母親と男兄弟なのですが、今作でもこの2役やっぱり鍵になる存在だった。銀粉蝶さんの演じる母親はなんていうかフランス人らしさがあるというか、大きい愛の器の中に毒も混じっていて、それでいて女性という雰囲気がとても良かった。確かにあの母に愛されたとしても、あまりに大きな愛の所為で疑ってしまうというか、そういう違和感が生まれそうだなと思った。

 

一方で、内田健司さんの演じるアントワーヌ(ルイの弟)はとても日本人的な執拗さを感じた。爪の間に挟まったとげずっと気にしているようなそういう雰囲気。気にしなければ何事もなく生きているのに、一度気にしてしまったら手が付けられないというような怒り。怒りじゃないかもな。自己嫌悪。この状況を作ってしまった自分に対する嫌悪を感じた。ルイのことは突き飛ばしても全力では殴らないのに、代わりに自分の太腿をつねってそう。全然関係ないけど、アントワーヌとして知ってしまったからすごくイラチなイメージなのに、本人はとても線が細そうな美丈夫。美しい。

 

権利の関係上アーカイブもないし、11月1日の21時からの上演が最後になってしまいそうですが、ご興味ある方はぜひ。

 

2023/9/9追記

テアトル新宿で藤原季節特集をやっていたので改めて観てきた。あと観られるのは9/17(日)だけのようなのでぜひ。


映画『ミッドナイトスワン』

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STORY

新宿のショーパブ<スイートピー>では、メイクしステージ衣装に身を包み働くトランスジェンダーの凪沙(草彅剛)。洋子ママ(田口トモロヲ)が白鳥に扮した凪沙、瑞貴、キャンディ、アキナをステージに呼びこみ、今夜もホールは煌びやかだ。
「何みとんじゃ!ぶちまわすど!」
広島のアパートでは、泥酔した母・早織(水川あさみ)が住人に因縁をつけていた。
「何生意気言うとるんなあ!あんたのために働いとるんで!」
なだめようとする一果(服部樹咲)を激しく殴る早織。心身の葛藤を抱え生きてきたある日、凪沙の元に、故郷の広島から親戚の娘・一果が預けられる。

ミッドナイトスワン || TOHOシネマズ

REVIEW

途中までは良かった。でもとある人物が屋上で踊ってるところがピーク。それ以降はわざとらしいというか、この映画を「感動産業」にしてしまった感じがしてすごく残念だったし苦手だった。でも作品自体はどのサイトでもめちゃくちゃ高評価なので、今の世の中にはこれが必要とされてるのかって思わずにはいられなかった。いやー、これでデトックするの?こんなモヤる自分が稀有なのかな。ちょいちょいしゃべる広島弁もわざとらしいしいやいや無理っしょ。これに「トランスジェンダー指導」が入ってたのが信じられない。こんな設定でマックス最悪を作り上げて良いんですか。良いんですね…そうですか…はい…

個人的にはこれを観るなら『ナチュラル・ウーマン』を観てほしい。トランスジェンダーの物語として嘘じゃないし、無駄にドラマティックでもないから。

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あと、クライマックスのアレでめちゃくちゃすすり泣きが聞こえる中、私は一人これを思い出してました。胸クソ悪いのに全然好きだよ闇犬のほうが。っていうかなんのための入水だよ。全然意味ないじゃん …(ダイレクト文句)

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ということで、別にこの作品を見て誰がどう思おうと良いけど、当事者が傷つけられたと思わなければいいな、と思うばかりでした。 おわり。

 

公式サイト

midnightswan-movie.com

映画『マティアス&マキシム』

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STORY

たった一度の戯れのキス。そして溢れ出す、君への想い。

30歳のマティアス(ガブリエル・ダルメイダ・フレイタス)とマキシム(グザヴィエ・ドラン)は幼馴染。その日も一緒に仲間のパーティへ向かうが、そこで彼らを待ち受けていたのは友達の妹からの、あるお願い。彼女の撮る短編映画で男性同士のキスシーンを演じることになった二人だが、その偶然のキスをきっかけに秘めていた互いへの気持ちに気付き始める。美しい婚約者のいるマティアスは、思いもよらぬ相手へ芽生えた感情と衝動に戸惑いを隠せない。一方、マキシムはこれまでの友情が壊れてしまうことを恐れ、想いを告げずにオーストラリアへと旅立つ準備をしていた。迫る別れの日を目前に、二人は抑えることのできない本当の想いを確かめようとするのだがー。

映画「マティアス&マキシム」公式サイト 2020年9/25公開

REVIEW

公開前に宣伝方面でプチ炎上してしまった今作。まあなんだろう、監督が言う「これはただの恋」と、他のヘテロな物語を一緒にする意味あるかなってことだけど、このちょっとした配慮さえなんか歯がゆく感じてしまうんだけど実際。今回のそれは正しくないにしても、それはヘテロに置き換えた事自体じゃなくて、「それになんの意味が?」って言う方だと思うんだけどね、本質的には。だって『溺れるナイフ』の登場人物に『マティアス&マキシム』のポスターの真似ごとさせてもどうしようもなくない?私のお気持ちは以上です。

映画本編の感想としては概ね良かったなと。一個前の作品がどうして全然好きじゃなかったのでこの方向性でいったらどうしようと思ったけど、「感情で訴えかける系」の作品でめちゃくちゃ好きだった。会話が鬼ほどうるさいので嫌いな人は絶対に嫌い。『たかが世界の終わり』のクライマックスくらいはうるさかった×3箇所ぐらい。

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 会話劇っぽいやり取りが多くて特に面白かったのは、マティアスとマキシムの友達の妹が「英語をしゃべるな」とか「英語交じりでしゃべるな」って周りにキレられてたとこかな。ルー大柴みたいなしゃべり方は確かにイラつく。

「たった一度の戯れのキス。そして溢れ出す、君への想い。」っていうコピーがまさにその通りだなと。これは恋とか愛とかなんかそういう分かりやすくラベリングされたものじゃないなと。マティアスもマキシムも成長するにつれて自分の周りのことに悩まされてきて、マティアスはそれでもなんとかここで頑張ろうとするのに、マキシムはそれをすべて捨ててオーストラリアに行く決意をしている。はたから見たらマティアスの方が恵まれてるんだけど、マティアスはマキシムに焦がれてる。嫉妬とか愛情とか憎しみとか寂しさとか全部まとめて焦がれてる。あのクライマックスも、そこから見えるそのあとも、曖昧であることが当然というか、それ以上でも以下でもない気がした。いい意味で(免罪符)

個人的にぐっときたポイントはマキシムが作ってるパスタ(マカロニっぽいやつ)に醤油差しで醤油を回しかけてたとこと、2回ほど画面を横切るイッヌ。かわいかった。

 

 

映画『TENET』

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STORY

ウクライナでテロ事件が勃発。出動した特殊部隊員の男(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、捕らえられて毒を飲まされる。しかし、毒はなぜか鎮静剤にすり替えられていた。その後、未来から「時間の逆行」と呼ばれる装置でやって来た敵と戦うミッションと、未来を変えるという謎のキーワード「TENET(テネット)」を与えられた彼は、第3次世界大戦開戦の阻止に立ち上がる。

TENET テネット (2020) - シネマトゥデイ 

 REVIEW

クリストファー・ノーランの作品を映画館で観る時が来るとは。自分でも驚きなんですけど、ポイント溜まってて1作品無料だし丁度いいなと思って朝イチで観ました。

最初は特定のものだけが逆行していくのかなと思いきや、「主人公」自身も逆行していく(≠タイムトラベル)ってややこしい設定を考えたもんだな。設定厨か?と今更なことを思うのはこの監督の作品を『メメント』しか観たことがないからだと笑ってください。細かいところは?な感じなので緻密な設定ではないと思うのですが、それを押し切る映像力のおかげで「まあいいか」となりました。伏線回収も、想像を100越えたかっているとそうではないけど、綺麗でしたとても。ただ、途中まで、「これちゃんと真相までたどり着くのか」と思ったし、なんとかオチた感じもあった。

私がぐっと来たのは主人公とニール(ロバート・パティンソン)のやり取りなんですけど、もし、もう一回観たら出会ったとこから泣いちゃうと思う。あのどうでもいい飲み物のやりとりもすべてが愛おしいもんな。ロバート・パティンソン、ちょっと前までFKA twigsの恋人ってイメージ(吸血鬼の方じゃない)しか持ってなかったけど、めちゃくちゃいい役者さんですね。

ここから『ドクター・フー』シリーズを観ている人には完全ネタバレなんですけど、主人公とニールの関係性が、ドクターとリヴァーソングの関係に感じられてもうめちゃくちゃやばくない?っていうのが観終わった直後の感想で、クリストファー・ノーランはイギリス人だし、知らないはずないんだよ~『ドクター・フー』の図書館の話。

 

gyao.yahoo.co.jp

gyao.yahoo.co.jp

 

思い出して泣いてしまった。この2作品だったら『ドクター・フー』を途中から観ても大丈夫だと思うので、『TENET』を観た人も『ドクター・フー』を観てほしい。ああ、最後は『ドクター・フー』推しになってしまった。とにかく、『TENET』面白かった!未来人と主人公が出会う続編を待っています。

 

公式サイト

wwws.warnerbros.co.jp

映画『mid90s』

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STORY

1990年代半ばのロサンゼルス。13歳のスティーヴィーは兄のイアン、母のダブニーと暮らしている。
小柄なスティーヴィーは力の強い兄に全く歯が立たず、早く大きくなって彼を見返してやりたいと願っていた。
そんなある日、街のスケートボード・ショップを訪れたスティーヴィーは、店に出入りする少年たちと知り合う。
彼らは驚くほど自由でかっこよく、スティーヴィーは憧れのような気持ちで、そのグループに近付こうとするが…。

intro & story | 映画『ミッドナインティーズ』公式サイト

 REVIEW

 スケートボード映画2本目。噂によると、『mid90s』の公開にあわせて『行き止まりの世界に生まれて』が公開されたそう。わかる。

 

こちらはフィクションだからかなりドラマティックな作品になっている。ジョナ・ヒルという監督のことはよく知らなかったけど、もとは俳優で今までの作品一覧見るにコメディ作品が多い人なのかなと。そこでなんでスケートボードの映画?と思わなくもないけど、スケートボードに何か見出したんでしょうね。それは分かる。

 

制作A24で俳優も若手有望株のルーカス・ヘッジズを投入しながら、主役は子役のサニー・スリッチ。彼がキャップのつばを後ろにしてかぶってるのを見たときに『パラノイド・パーク』を思い出したのは私だけじゃないはず。

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 で、私はそれほどアメリカのプロスケーターを知らないのでこの映画の客層があまりにスケーターだったことに驚いてたんですけど(少なくとも『行き止まりの世界に生まれて』は映画玄人の方が多かった)主役級の俳優にOdd Futureの創設メンバーでSupremeでも活躍したNa-Kel Smithなんかの有名スケーターが出ています。まあめちゃくちゃうまいなとは思ったんですよ。確かに、ここにも居たわ、Na-Kel Smith。

 

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この映画、映画祭かなんかで最初に日本で公開されてから全国公開されるまでめちゃくちゃ待ったし、待っただけあるなって内容だったとは思う。物語としてはシンプルだし映像も美しい。クライマックスでみんなでビデオを観るところはどう考えても最高だったし、あれ以外の終わりはない。けど、ある程度手垢のついた話に思えてしまったのは、その前に『行き止まりの世界に生まれて』を観てしまったからかなと思う。このあとも人生は続いていくし、もっと乗り越えなきゃいけない壁がある。人生は複雑で大変なものです。なんて。

 

2020年9月9日:追記

適当に感想書きすぎたなと反省。自分の記録にためにもちょっとだけ加筆。監督のジョナヒル半自伝的な作品になっていると言われているけど、その眼差しはスティービーで存在的にはフォースグレード、でも実際はルーベンののように羨望やら嫉妬を抱えていたんだろうなと邪推。あくまで描きたかったのはレイとファックシットのような存在のかっこよさだったんだろうなと。ヒリヒリするようなかっこよさ。そのうちそれぞれが別の道を歩んでいくことも想像しながらスクリーンを観ている自分のことを思い返す。90年代を駆け抜けて、大人になっていく登場人物みんな刹那的なかっこよさだった。

 

 

おすすめスケートボード映画(フィクション)
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まこっちゃん観に行かないかな…行きそうだけど絶対オタクには観たことを教えてくれないと思う。

映画『行き止まりの世界に生まれて』

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スケートボード映画1本目。ただの若者たちの青春物語かと思ったら大間違い。ラストベルトという捨てられた工業地帯で生まれ育った少年たちが大人になっていく物語で、その裏には大きな括りで「暴力」が潜んでいる。鬱屈とした思いを抱えながらも、スケートボードと仲間たちに助けられながらなんとか生きているザック、キアー、ビンはそれぞれの方法で成長し、そして仲間たちと過ごした場所から別の場所に、前に向かって進んでいく。フィクションのように事故だとか、死だとかそういう劇的なドラマは起きない。ただ、思うようには進まない。それは映画を観ている人にとっても。

 

閑話。ここ最近、動画配信サイトではドキュメンタリーばかり観ている。出来不出来はあるけれど、どれもフィクションにはない不条理と整合性があって、常に心を揺さぶられる。この作品に近いのはviceのパトリック・オーデル(Patrick O’Dell)が綴るスケートボーダーのドキュメントシリーズ『Epicly Later’d』じゃないかなと思う。Huluで観られます。これで取り上げられるのは一時代を築いたスケーターたちだけど、みんなそれぞれいろんな問題を抱えて、いるけれどそのあれこれをスケートボードで昇華していたんだなと感じさせられる。

 

www.vice.com
www.hulu.jp


閑話休題。私は、子供ができてなんとかちゃんと生きようとしたけど、仕事も家族との生活もうまくいかず、逃げ出してしまうザックのことを考えると一番胸が苦しくなった。彼は自分がどういう人間だか理解している。だからこそ自分に嫌気が差してお酒ばかり飲んで、そのせいでまた上手くいかなくてという悪循環を繰り返している。一方で、子供には「善い人」で在ることを願い「自分のようにはなってほしくない」と言う。その他、ビンの母親も子供の頃のビンにより添えずに、夫の暴力からビンを守ってあげられなかったことを認め、けれどその過去を後悔するのではなく、今のビンが救われるために全力を尽くそうとする。どちらも決してハッピー!ではないけど、前に進もうと懸命に生きている人たちであると感じた。古臭い物語にはないニューテンプレートという感じもする。

 

スケートボードってやっぱり不思議な力があると思う。『Bones Brigate』でも有名なロドニー・ミューレンの技に向かう姿勢の話を読んでいても、私にはそれと同じように自分の能力を試しながら夢中になれることはあるのだろうかと思わずにはいられない。

wired.jp

ザ・マット

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久々に滑りたいな。

 

おすすめスケートボード映画(ドキュメンタリー)

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