取り留めもない

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映画『影裏』

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あらすじ

今野秋一(綾野剛)は、会社の転勤をきっかけに移り住んだ岩手・盛岡で、同じ年の同僚、日浅典博(松田龍平)と出会う。慣れない地でただ一人、日浅に心を許していく今野。二人で酒を酌み交わし、二人で釣りをし、たわいもないことで笑う…まるで遅れてやってきたかのような成熟した青春の日々に、今野は言いようのない心地よさを感じていた。

 

夜釣りに出かけたある晩、些細なことで雰囲気が悪くなった二人。流木の焚火に照らされた日浅は、「知った気になるなよ。人を見る時はな、その裏側、影の一番濃い所を見るんだよ」と今野を見つめたまま言う。突然の態度の変化に戸惑う今野は、朝まで飲もうと言う日浅の誘いを断り帰宅。しかしそれが、今野が日浅と会った最後の日となるのだった—。

 

数か月後、今野は会社帰りに同僚の西山(筒井真理子)に呼び止められる。西山は日浅が行方不明、もしかしたら死んでしまったかもしれないと話し始める。そして、日浅に金を貸してもいることを明かした。日浅の足跡を辿りはじめた今野は、日浅の父親・征吾(國村隼)に会い「捜索願を出すべき」と進言するも、「息子とは縁を切った。捜索願は出さない」と素っ気なく返される。さらに日浅の兄・馨(安田顕)からは「あんな奴、どこでも生きていける」と突き放されてしまう。

 

そして見えてきたのは、これまで自分が見てきた彼とは全く違う別の顔だった。

陽の光の下、ともに時を過ごしたあの男の“本当”はどこにあるのか—。

 

映画『影裏』オフィシャルサイト

感想

このキャスティング的に綾野剛かわいい映画だとは薄々感じながら劇場に向かったんですけど、想像以上でした。これ内容知らないできたデートっぽいカップルは楽しめたのかな。綾野剛に萌えないとドチャクソ暗い話を2時間半観ることになるよ。

というのは半分冗談ですけど、結構な綾野剛イメージビデオなんですね。いやこれはこれでアリなんだと思いますが、どちらかと言うと松田龍平かわいい党の党員なので、ちょっとだけ解釈違い。でも何考えてるのか最後までわからない松田龍平はめちゃすきです。『散歩する侵略者』とか『羊の木』っぽかった。

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 日浅が今野に対してあまり求めない(金を借りたり、嘘をついてなにかしてもらったりしない)のは日浅の良心なのか。相手の好意は利用しようってタイプの男ではあると思うんですね個人的には。でも、契約一つお願いするのにあんなに悩んでる(煙草の描写)なんて彼らしくないといえばそのとおりで。しかも、他の人は少なくとも彼はなにか裏があると確信しているのに、今野はそれを信じられずにいる。日浅自身が「知った気になるなよ。人を見る時はな、その裏側、影の一番濃い所を見るんだよ」と言ったにもかかわらず。まあ、あれが精一杯の日浅の突き放しというか、これ以上は自分の裏を影を今野に見られたくなかったんじゃないかなという気がしますね。もし仮に、彼らが同性同士の友情だったらもっと日浅も自由にやれたんじゃないかなと思うとちょっぴり切ない。映画観てるときは本当に「綾野剛!!!」って感じなのでそこまで考えられなかったけど。

私、気持ち悪い感じの松田龍平オタクで、作品での解釈違いが多いから役の好き嫌いも激しいんですけど、この日浅はなかなか好きでしたね。『46億年の恋』では突き放される側だった彼が、15年経って(マジか)逆側になるとはね。個人的にはまだ「行かないで」って言っててほしいけど。

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