取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

柿喰う客『美少年』

1年前の上演作品の感想を書こうと思ったのは『美少年』のDVDを手に入れたからというのが一番正しいのだけど、それより何より自分の中で「美少年」を求める気持ちが復活したからと言ってもいいんじゃないかと思う。勝手に言ってろよって感じですけど。

話は脱線して「美少年」といえばな映画を最近立て続けに見た。

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どっちも美少年の出てくる作品ではあるんだけど『永遠に僕のもの』のほうが好きだった。なんでって、ある種自分の美しさ、そこから生まれる驕りに自分自身の身を委ねている美少年が好きだから。私が。その点、ティモシー・シャラメはちょっとオタクっぽくてモテなキャラだったからなんか違ったんだと思う。

話を戻して、柿喰う客の『美少年』もそんな私の好きな「美少年」だった。美しいのに滑稽で、魅力的なのに醜悪な、小島てるみの作品に出てくるみたいな「美少年」。神話の中の美しくも脆い人間。そうだ、私ギリシャ神話が大好きだったんだ。図書館に引きこもりながら端っこでギリシャ神話大全を読むような根暗な(今も)人間だった。と柿喰う客『美少年』を観て思い知った。

 かつての美少年、アゲヒバリ。彼は彼の美しさを奪ったと信じるジャノメテイを恨みながらも、きっと感謝していた。ジャノメテイがいれば、いたせいで「自分の美しさは失われたと」思うことができたから。だから三十年間、元担任教師とのいびつな誘拐ごっこが続けられていたしそれ以外のことをしようとは思わなかった。それは神が人間の形に変えられているだけと信じるかのように。しかし、その均衡を崩したのは他の誰でもなく変態美術教師ジャノメテイ。ジャノメテイはアゲヒバリの美しさを認めさせ、さらにそれを創造した自分をもより高みに持っていこうとした。エゴにエゴを重ねようとした。でもそれはアゲヒバリにとって元々神などではなく、ただの人間だったということを知らしめることになる。そんなこと許されない。だってそんなことが明らかになってしまえば、この三十年間も無意味だったと認めざるをえなくなる。「美少年」囚われていたこの三十年間も。そういうすべての感情がクライマックスの加藤ひろたかくんの中に見えて毎回死んでしまいそうにになるんだよなぁ~!!!いや、全然個人の意見しかないんだけど、アゲヒバリは被害者であり加害者であるからあれはあれで望んでた結果(ああなるしかない結果)なんじゃないかなって思ってしまうんですよね。うん。

それを受けての『御披楽喜』は最高でした。作品としては『美少年』のほうが好きだけど、柿喰う客としては『御披楽喜』が良い。もちろん、『美少年』を観ていくと更に良い。いやそんな御託はどうでもいい。観に行け。

 

 

余談、小島てるみは3冊しか小説出してないから時間ある人は読んで。

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あと『永遠に僕のもの』の観てくれよな!(回し者感)