取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

西瓜糖第六回公演『レバア』

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STORY

昭和20年8月――終戦
家族を失い
身体を失い
心を失い
残されたのは焼け焦げた街
行き場のない誰もが住処を探していたあの頃

「君は、誰?」
「教えたら、どうにかしてくれるの?」

素性など知ったところで、 どうにもならず
涙など流したところで、どうにもならず
生きるために――その「家」はあった

とある一軒家に集まった老若男女
価値観の違いなどには目をつぶり、生きることを選んだけれど
違和感はそれぞれの心にフワリフワリと浮かんでは消え、消えては浮かぶ
笑い、泣き、愛し、歪み、騙す――ものたち

昭和という時代を経て、平成が終わりを迎える今、2018年。
西瓜糖は演出家、寺十吾を招き、多彩な役者たちとともに、ヒトが心の奥に隠し持つ「ザラツキ」を繊細に炙り出していきます。

あなたの、こころの、 レバアは押されるのか、引かれるのか、 それとも・・・

西瓜糖第6回公演「レバア」 | OFFICIAL WEB

 REVIEW

三津谷さんが出演しなかったら多分観ないだろうなというテーマのお話。戦争がどれだけ人の倫理観や道徳観を試すものなのか。そんなこと今まで考えてもみなかった。おかしくなったものをもう一度やり直す。当たり前が覆る。すぐに直せと言われても無理に決まっているじゃないと叫びたくなるのも無理はない。でもそうであってもそのおかしくなった思考を肯定してしまうのはやっぱり間違っているのかも知れない。分からない。レバアをしっかり握りしめて落ちていった男を笑った女の気持なんて絶対に分からない。「ざまあみろ、お前たちが負けたせいだ」なんとでも思っていたのだろうか。分からない。そんな女に一言言うためだけにあの屋敷を訪れた青年は今度はきっと女を赦すために生きるんだろうなと思った。同時に彼は償わなければならない。だから赦さなくてはならない。

舞台上には寂れた屋敷。革靴をパイナップル缶の汁につけた偽肉の香りが今にも漂ってきそうだった。