取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

OFFICE SHIKA PRODUCE VOL.M『不届者』

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STORY

新之助紀州藩藩主の四男として生まれたが、母は農民、育ちは卑しく、出世に縁が無い。
「自分は何者なのか」と苛立ちを募らせるが、ある日、次男が幼くして死んでいるという噂を耳にする。
満開の梅の下、新之助は胸騒ぎがした。
「他の兄たちもいつ死ぬか分からぬではないか……」

幼馴染の相棒・村垣左太夫と共に、薬学・暗殺術の研究に没頭していくようになる。
元服した新之助は「徳川吉宗」と名乗り、いよいよ行動を開始する。
長男の紀州藩三代藩主を左太夫と共に暗殺したのを皮切りに、次々に兄弟たちを毒殺、吉宗は二十二歳で紀州藩五代藩主となる。
既に吉宗の目には全ての人が敵に見えていた。
「恐怖から逃れる為には一番上、江戸幕府の将軍になるしかない」

吉宗は、更なる野望の炎を灯し始めた。
一方、徳川御三家の筆頭である尾張徳川藩では、吉宗のライバルとなる男が名乗りを上げていた。
徳川宗春」吉宗とは逆に派手な男で、人柄と気前の良さで尾張の民に人気であった。
将軍の地位をめぐり、吉宗と宗春は死闘を繰り広げることになる。
時空を超えた、不届者たちの不届きな舞台である。

不届者

REVIEW

秀逸で精工で非の打ちどころのない作品だったとは決して思わない。この世の中に史実と現実を重ねて展開される物語が少ないわけでもない。でもこれが松岡充と丸尾丸一郎の二人で作り上げた作品だと考えた時、彼らを応援しているファンが本当に羨ましいなと思った。

イチから作っているだけあって、登場人物はみな宛書に近いんだろう。丸尾が見詰めた先のキャラクターたちはどれも愛おしく、いきいきとして、哀しいまでに可愛らしかった。劇団鹿殺しのメンバーと客演のどちらかだけに目を奪われるわけでもなく、ひとりひとりが本当に生きている人のようにそこに存在していた。それがなんだかうれしくてうれしくて。鹿殺しの作品は『竹林の人々』『キルミーアゲイン』『田舎の侍』で4作品目なのだが、正直劇団員に心を奪われたのが今回が初めてで、特に椙山さと美演じる聖子にはずんと心臓を掴まれた。

ハッピーエンドでないし、綺麗でもない。身勝手で、突発的で情けない人間のなんと醜いこと。でも人生というのはそういうなんともしがたい人間の愚かさを噛みしめることなのではないかなとも思う。でも、そうそう自分にそんな出来事は起きないし、起きてほしくもないからこうやって演劇を観たり、本を読んだり、映画を観たりする。そうしてまた生きていこうと思ったりするんだなって。そんな気がする。

というところで、以下キャラクターおよび俳優について思ったことだけ書きます。

松岡さんって立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花なんじゃない?って本気で思ってしまった。何あの46歳。すごくない?さらっと羽織を羽織るだけで美しいってなに?あれだけ顔が整ってるとヒモ感にリアリティがある。本当に悪気がないまま全部が進んでしまったって思ってそう。

荒木さんの役は数年ぶりに会った幼馴染の梅本(松岡さん)の悪事に手を貸す役なんだけど、普通に梅本のこと好きすぎだよね。梅本への執着にも似た感情があふれ出しているのを私は見てしまった。自分の人生を人に託すというか、壊れる時は諸共な感じ。無理そんなの好きすぎる。ってか台詞だとしても、梅本が影山(荒木さん)に「アイドルとかダンスグループとかねえよな」という趣旨のことを言った瞬間ちょっとだけしゅんとした。D☆DATEではLove Heavenが好きです。

小沢のみっちーさんは最初のキャスパレ終わって喋りだすまで彼だって気が付かなかったからマジで。これは本当に。美しいってわけじゃないのに自然だった女装が。マジで。そういう役どころだからか、男性が女性器を作る話を叫んだりするんだけど、私の精神が幼児だからそれがサイコーにカッコ良くて好きだった。愛してる。あと、みっちーさんの周辺だけ天王洲じゃなくて下北沢だった。

そしてなんといっても池田純矢。まず存在がえっちだった。

 控えめに言っても最高じゃない???

 女の復讐で梅本を追い詰める時のあの顔。タンくんを無表情で蹴ったり、おしぼりを客に投げつける時のあの顔。めちゃくちゃ好き。なんだろう、満ち溢れるサド感。でも本質がサドかっていったらそうでもない気がする。パンフレットのインタビューにも書いてあったたけど、彼は「相手によって自分を完全に変える才能」の持ち主だから、まあつまりピエロなんだよね。ピエロって真ん中にいてみんなから注目を集める時もあれば、周辺でちょこまか動いて笑わせる時もある。彼もそういうところがある。だから私は彼が真ん中に居て決まったことをしなくちゃいけない状況じゃなくて、自由に動いていいっていうバッファーがある時の方が力を発揮しているように思っている。へらへら笑う顔の裏で泣いている。派手な格好も真には弱い自分自身を隠そうとしている。まあ正直に言うと、ピッタリとした黒服姿が一番好きだけど。

で、池田純矢の演技が好きって話まだする?それは今までの努力の賜物なんだろうとは思うんだけど、ふらっとサンダルで来てストレッチもせず、現場でしか台本を読まない、俳優で声優で劇作家で演出家ってやっぱすごい(小並感)いっそ生まれ変わりたいもん。あの背の低さでも無問題。顔と言葉で普通にあらゆるものを性別を越えて侍らせたい。芸能界で染まったんだろうなって思うひねくれ感もいいと思う。早めにいろんなこと経験してそう。知らんけど。「エン*ゲキ」ね。あれと相性が悪いの私。どうしたらいい?

最後の方なんか愚痴になっちゃったけど『不届者』観て。大阪まだ始まってないから。観るしかないでしょ!!!

 

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