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劇団た組。第13回目公演『まゆをひそめて、僕を笑って』

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STORY

恋愛経験はあるものの、心より人を好きになった経験の無いセイヤ(藤原季節)は美術学校で講師を勤めながら、年下のマー(岡本あずさ)と体の関係を持っていた。

マーは自身にとって初恋の人であるセイヤと、関係がハッキリとしたないまま、続けていても良いのか、唯一のマーの親友であるカズハ(仲谷明香)に相談を続けている。

セイヤの務める美術学校に通い、自身の経験から約束のある男女関係に嫌気が差していたジュリア(福田麻由子)。
講師と生徒の関係であるセイヤと、セイヤの先輩タケウチ(風藤康二風藤松原)をきっかけに互いに興味を持ち始め、徐々に二人は心に恋を芽生え始めさせていく。

同じ美術学校に目的も無く通い日々を意味無く過ごしているモク(佐伯大地)と一人の時間が嫌いなコトノ(伊藤寧々)。
ジュリアと仲の良いハル(平嶋夏海)と四人でつるむこともしばしば。
しかし、そこにジュリアとセイヤの恋仲が絡まり始めた事で…

__リアルな若者が描く、リアルな若者ラブストーリー。
劇中の生歌と生演奏を担当するのは谷川正憲(UNCHAIN)。

劇団た組。第13回目公演『まゆをひそめて、僕を笑って』公演HP!

藤原季節くんの初主演舞台。初めての劇団の作演出。すっごい好きか、苦手かどっちかだなと思って赤レンガ倉庫へ。それにしても来月もKAATにくるのかと思ったらまあ遠いな。もっと近くなったらいいのにな。

 

物語について

恋愛ものだと分かっていたけど、ウルトラミラクルラブストーリーだったらしんどいなとドキドキしていた。恋愛賛歌をすんなり受け入れられるほどまっすぐ生きていないので。しかも赤レンガ倉庫でしょ。こんなのデートスポットじゃん……そんなドギマギした想いを主役のセイヤを演じた藤原季節くんとその恋人のジュリアを演じた福田麻由子さんの怒鳴り声がふっ飛ばしてくれた。すごいよほんと。何って、いやまあ全部どうでもいいやりとりなんだけど。恋愛の細部の本当にくだらない、どうでもいいやり取りが面白いと感じるのは、人間と人間の会話や態度の中にリアリティがあるからで、そんなのがたくさん詰まっていた。本当に人を好きになることができないと思っていたセイヤが、人とつながっていないとられないジュリアと出会って恋をして嵌って裏切られて、別れて初めて本当に好きだったんだと感じて。起きていることはあまりにも普通でよくあること。言ってしまえば夢も希望もない。最後は恋愛の壁にぶち当たった男が泣くというちょっぴり男のロマンチシズムを感じる終わり。ねもしゅーだったら女側のサバサバした一面を表現して終わりそうだなと思ったりした。男性って女性の何倍も恋愛に夢をみているんだなって。みんな格好悪いのよ。でもそれは自分自身を完全に晒してしまっているからなんだなって思ったら、恋愛ってすごいよなとも考え出してしまって。だって普段は自分の見せたい理想を演じたりして、いろいろ隠しているのに結局他人でも恋人には全部晒そうとしてしまうなんて。愚かなんだか、真理なんだか。しかも、男性は究極までそれを望むけど、女性はある程度の隠し事は仕方ないってどこかで考えている。その差がこの作品でもいろんな面倒くさい状況を生み出していく。全部理解し合おうなんて無理なのに。なんてことでしょう。人間ってタイヘン。男性版『ピースオブケイク』みたいだって言えば伝わるかな。

甘々なラブストーリーだとばかり思っていたから中盤からクライマックス手前まで自分が笑いっぱなしだったことに驚きを隠せなかった。なにあれ。会話劇って小難しい何かだと思っている人がいたら、この作品を見てありとあらゆるところで標準化されすぎているから「まいばす(まいばすけっと)の餃子が旨い」っていうくだりでツボるはず。なんだよそれ。文字にしたらくだらなすぎるだろ。分かるけど。パンフレットやらで撮影されているのが沼袋駅っていうのも妙なリアリティがあってよかった。同棲カップル多そう。それにしても、作演出の加藤さんってまだ23歳らしく。そんな馬鹿な。でも、自分の周りを描くことに徹したらあそこまでのリアルが生まれるということなのか。うーむ。これからもた組。の舞台を観に行きたい。

 

キャストについて

藤原季節くんは、前回の出演作『二度と燃えぬ火*1』でも舞台映えのする役者さんだなと思っていたけど、今作でも歴が浅いのに落ち着いていて、舞台上で一秒たりとも「藤原季節」として立たないことがまずすごいなと。もちろん、役者としては当然だけど、役者軸で作品を観ることが多い自分にとって「あっ、〇〇(役者の名前)くんかわいい」って思うことも少なくない。だけど、季節くんが演じている時にはそういうことを考えない。純粋にセイヤという人物の人となりとか、動作に見入っていた。余談だけど、雑誌のインタビューで「北海道民は大人になっても生まれ育った場所を離れないと知って上京しなきゃと思って出てきて大学に入ったものの、一年で行かなくなって、どうしようかと思っていたほぼニート時代、事務所のワークショップにボロボロの服、伸びきった髪で参加したら『合格』って社長に言われて役者になった」という旨の話を読んで、松田美由紀(社長)もすごいなと思ったけど、季節くんも肝が座ってるというか、役者たる理由がここにあるなと。普通そんな格好で行かなくない???しかもそんなボロボロな人間を雇おうと思わなくない???信頼と安心のオフィス作。これからも応援し続けます。

作品に話を戻します。中盤以降、基本的にセイヤとジュリアの喧嘩シーンが続くんだけど、今回でいうと男性の問題点というよりは女性の一貫性のなさとか、曖昧さが際立って描かれている。いわゆる小悪魔的なところ。そんな中、対するセイヤは振り回され、自分のコンプレックスを身近な人たちの前で晒されてしまう訳だけど、それが滑稽で愛おしい。男のプライドを切り刻むことなんて容易い女からの攻撃にオロオロするばかり。女は基本的に口が達者だから、少しぐらい自分の言動に齟齬があっても気にしない。傷つける傷つける。そんな開き直り女を演じる福田麻由子さんは、実際そういうことをしたり言わない賢そうな雰囲気のある女優さんだからそのちぐはぐした感じも面白かった。そしてそんなジュリアにズタズタにされてもなお「好きだよ」と言い続けるセイヤはどうしようもなくかわいい。途中、叫んでる姿がサンシャイン池崎と重なって笑ってしまった。女はもうその段に至ったら「そばに誰かいてくれたら良いな」くらいにしか思ってないよ多分。これが男女差か。わかり合うってなんでしょう。

もう一方のカップルのモクとコトノは面白いんだけどちょっとファンタジック。殺してしまいたくなるほど好きってすごい。コトノ役の伊藤寧々さんは完全にメンヘラってた。うまいうますぎる。元々乃木坂の子なんですってね。納得。そして、モクを演じる佐伯大地くんを見るたび「街活ABCだ」となってたのは私だけでしょうか。可能性は潰さないタイプの男性、正直を極めてて嫌いじゃないです。

セイヤと関係があったマー(岡本あずさ)はなんだろう。ちょっと曖昧な存在だった気がする。セイヤのことが好きで、でも振られて、子供ができたかもしれないのに、でもまだセイヤのことが忘れられない。心配して欲しくてヒモ男の話をしたり。素直じゃないなぁとは思う。良いじゃない好きって言えば。どうせ男なんて好意を寄せてくれる人に弱いんだから。って思いながら、この人のことは理解するべきではないのかもと思った。理解してもなんにもならない。

役として一番好きだったのはタケウチさん。あの人しゃしゃってきて面倒だしウザいなとも思うけど、めちゃくちゃ良い人。当人たちは存在すら意識してないと思うけど。

回転する舞台も面白かったけど、一列目は近すぎて舞台の高さが気になった。死角が多い。UNCHAINのボーカルの方が生演奏してたのも赤レンガ倉庫ならではかな。以前ここで観た『怪獣の教え』でもTWIN TAILの演奏が一番記憶に残っている。個人的に、アンチェインと聞くと「アンチェイン梶」を思い出してしまう私。豊田利晃監督の新作まだかな。

『まゆをひそめて、僕を笑って』で初主演舞台を経験した藤原季節という役者を、私は今まで以上に心底好きになった。そして今は『ジュリアに傷心』を聴いている。

公式HP

mayuhiso.xyz

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