オフィスコットーネプロデュース『The Dark』

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STORY

ー三つの家族、ある一夜の不思議な物語ー

舞台はイギリスの典型的なテラスハウス
同じ間取りの三軒の家に、三つの家族が生活している。
それぞれの家族には秘密があり、ある日突然
訪れた「闇」を境に、それは徐々に明るみに出る。
家族だからこそ、近しい相手だからこそ、正直に話せなかった想い。
「The DARK(闇)」の中で少しずつ自分をさらけ出していく
家族の、崩壊と再生の物語。

オフィスコットーネプロデュース『The Dark』 | 吉祥寺シアター

REVIEW

正直言うと「面白かった」というような楽天的な感想は持てなかった。それはこの作品が陰鬱だからとか、残酷だからということではない。なんだか、噛み合っているようで、出し抜かれているような感覚が気持ち悪くて仕方なかったから。思考停止しそうだったくらいだ。先に書いておくが、これがもしその感想まで計算して作っているのだとしたら流石だと思う。

三つの家族、それぞれが抱える闇。それが停電の「闇」により明らかになる。暗闇の中で明らかになる。その引き金となる自閉症気味の男の子。この子にもう少し感情移入できればもっと楽しめたのかも知れないけれど、なんだかちょっと中二病が過ぎる台詞でそれがうまくいかない。状況を打開する存在としてどうしても弱い。それなら暴徒が家を間違えて各家を襲って、その流れで奥さんは不倫して、赤ちゃんが息をしなくなったほうが面白かった。それは冗談だけど。

ただ、この物語の中に流れる「一体何が駄目だったのか」という空気感は面白い。それは、それぞれの家族に対しても、物語全体に対しても。2004年に初上演された作品。今から12年前。それにしては全体的に古臭い。いつの時代だろうと考えていたら、アメリカっぽいのラップの曲が流れてきて、更に状況がわからなくなってくる。そういうことを考慮する話じゃないのかもしれない、そうだな、と思っても家族のあり方ひとつにしても、皆何がそんなに気に食わないのか、イギリスの天気が悪いから苛立ってるのか、天気はいつものことなのに、何がこの停滞感の原因か誰にも分からない。どこで何を間違えたのか、どの人物もずっと考えている。私も分からないよ。唯一、分からないということが分かった。でも、恐怖を植え付けてる~のくだりは全然分からない。私がイギリスのリアルから遠いところにいるのか、この物語がイギリスのリアルから遠いのか、そのどちらもなのか分からない。教えて偉い人。

もし人間の生活がこれほどまでに共感しがたいものだとしたら、私はこれからどう生きていったら良いのか分からない。ここまでに何度「分からない」と書いたか分からない。音楽との相性はすごく良かったからミュージカルにしたらまた気持ちの乗り方が違ったんじゃないかなと思う。発言に全く責任は持たないけど。以前、舞台の演出の感想で「ホラーノベルゲームっぽい」っていう表現があって膝を打ったことがあるけど、今回舞台上にザーっと映像が映された時に同じこと思った。なんか異様な空気感。何か起きるんじゃないかと思って見てると確かに何かがいろんなところで起こっているんだけど、これが決定打ということはほとんど無い。なんとなく嫌な感じ。それが一番の魅力なんだろうと思った。

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