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ミュージカル『黒執事』~NOAH'S ARK CIRCUS~

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REVIEW

例によって原作漫画未読、アニメもこのシリーズは未見です。『黒執事』に関しては、由緒正しい家の男の子が悪魔と契約して復讐するくだりを知っている程度。しかもほとんど観ないミュージカル。世界観も相まって、自然とハロプロでやっていた『LILIUM』のようなものを想像して行きました。

簡単に説明するとこんな感じ。

まず、サーカスというテーマが良かった。舞台美術や衣装ももちろんそうだけど、出演者ひとりひとりのエンターテイメントの幅を見ることができたんじゃないかと思う。直前に発表された三津谷亮の一輪車は、まるで手足かのように機能していて、それだけですごいって感じだったけど、そのほかにも綱渡りとか空中ブランコとか、単純にサーカスとして楽しんでいる自分がいた。ああいう無条件に楽しい!っていう空間めっちゃ良い。最高です。

あとは歌。今回のテーマ曲そんなにガツンと来ないと噂されていますが、スルメ曲なんじゃないかと思うの。あれ何度も聴きたい。聴きながらクライマックスのこと考えてただただ泣きたい(デトックス)。ダンスも素敵でした。こういう言い方はなんだけど、ダンスがダンスとして存在していいショー要素のある舞台ってそうそう見ないから、手拍子でもしてもっと参加できたら良かったなと思った。

物語については、私個人の「絶望」「哀しさ」のハードルがかなり高い*1ので、そこまでどーんと落ち込まなかった。でも、この作品の大きなテーマでもある人間の汚さ、愚かさ、ドロドロとした欲望、醜悪な趣味嗜好というようなものが渦巻いて、結局純粋無垢な存在が「奪われる側」になってしまうということへの切なさは見ていて苦しかった。特にドール。ドールを見ているとDグレの亡霊と人形の回を思い出してしまう。あれは私の観た中で一番の鬱アニメです。

元々何も持たない人たちは、名前を与えられただけでも、自分の命をかけて大切な存在を守ろうとする理由になるのに、同じ人間でも少しでも欲望の芽が現れてしまえば、何をしても手に入れたいと思ってしまう。イギリスが舞台で、階級社会にあって、貴族と労働者の間では確実に埋められない何かがある。そして、その労働者の中でも「奪うもの」と「奪われるもの」がいる。全体的にそういうどうにもならない世の中への憂いが魅力的だと感じた。

セバスチャン役の古川雄大さんの演技は、正直『腐女子彼女。』に出てたのしか観たことなかったのですが、今ではすっかりミュージカル俳優という感じで、やっぱりお歌がうまい。それだけじゃなくて、本当に悪魔のように微笑んでいらっしゃって…。お美しいです。私のセバスチャンが古川くんで良かった。

シエル役の内川蓮生くんは、陳内将ツイッターでその可愛さを見せつけられ、嫌いになるはずがないっていうか、何をしていても可愛い。でも、目をカッと開く時や、人間の愚かさを語る時の表情がめちゃくちゃ恐ろしい。かつ、あんな可愛い子にあんなことを言わせる背徳感。なんと初舞台だそうで。今は熱演という様子なので、もっと歌がうまくなって、経験を積んだらどれだけ見ごたえが出てくるだろうかと思いましたね。

ジョーカー役の三浦涼介さんは、見た目の二次元への寄せ方がとても良いなと思いました。それに彼が命をかけていたものがすべてなくなってしまった時の慟哭。あれは堪えた。そのジョーカーを笑うシエルも、本当の意味で笑っていたわけではなくて、そうすることがあの恐ろしい結末に耐えていたんじゃないかと。

スネーク役の玉城裕規くんは全体的にもったいなかったというか、膝上編み上げブーツの美しさはもちろん、ビジュアル的にはとても良いのだけど、あまり出番ないなっていうか。役割的にこのあとに輝く役だそうで。これはこの後も引き続き出るのでは?という感じで終わってしまいました。だから、ぜったい、今後も、出てね!

ビースト役の田野アサミさんもお歌がうまくて、聞いたところによると声優さんなのですね。セクシーで歌えるお姉さんでした。ちなみにアミューズ所属。

そのビーストが好きなナイフ投げのダガー役を演じた三津谷亮。素敵に輝いていた。すごく良かったです。こういうとその前の作品の演技に水を差すようだけど、三津谷さんの自然な演技は、どうしても華が出てしまうというか、そういう彼の演技の魅力を十分に発揮できているところが少なかったというか、あのどことない異邦人感が今回の『黒執事』の舞台であるサーカスという場所にとても合っていたと思う。キラキラ笑うところも、一瞬で冷たい表情になるところも、ビーストへの可愛らしい愛情表現も、全てがピッタリと嵌っていた。そして何と言っても一輪車。あの不自由な乗り物でそう広くない舞台上を自由に走り回っている姿は控えめに言って美しかったです。

ソーマ役の陳内将は結構、割りとちゃんじんそのままだった。というかシエルとの関係がツイッターのままだった。でもそれで良いよね。正直、本編に大きく関わるわけではないし、シエルを癒やして、作品全体の母性にようにいてくれるだけでありがたかったよ。アグニ役のTAKUYAもそう。というかCROSS GENEのデビューから知っているので、なんだかとても嬉しかった。テラタクいいよ。すごくいい。みんなも「La-Di Da-Di(デビュー曲)」聴いてね。

死神ウィリアム役の輝馬くんの歌や歌い方が一番好きだったかもしれない。キレッキレです。

あと忘れちゃいけないのがドール役の設楽銀河くん。彼の歌での表現力、演技の感情の乗せ方が「何年選手ですか?*2」という感じだった。急遽ドール役に抜擢されて、不安もあっただろうけど、そんなことは微塵も感じさせず、最後のシーンで彼に心を全部持っていかれた。ミュージカルの面白さが少しわかったような気がする。名前を与えられるという行為の重要性については、小説でも映画でも演劇でもよくテーマとされるけど、それ自体が贈り物という概念はドールに教えられたことだった。あのラストはもうこの世にはないものだからこそグッとくるよね。観てない人はライブビューイングでもいいから観て。内川蓮生くんと設楽銀河くんという2000年代の奇跡をその目にして…後生だから…という感じです。

もう一回劇場行くか、ライブビューイングで観るかする予定なので、その前にアニメで観ておきたいと思います。なんかハマりそう。

*1:主にTRUMPシリーズの所為。

*2:2002年生まれだそうですが、それはつまり生まれたてということですね。