取り留めもない

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朗読劇『季節が僕たちを連れ去ったあとに』

2016.11.17 19:00

六行会ホール初めて行きました。こういう若干辺鄙な会場に足を運ぶと、新しい地を知った気持ちになります。新馬場はそれほど行かない町ではないけれど。

物語は、寺山修司山田太一の在りし日の思い出を、手紙を通して振り返るというもの。友人でありながら、憧れでもあり、同時に鬱陶しくもある大切な人。そんななにものにも代えがたい、友人を持った者同士の、ゆっくりとした、でも一瞬のようでもある時間を朗読劇でじっくりと体感することができた。そんなに朗読劇を観たことがないし、その作品も割りと自由度が高かったから、はじめてちゃんとしたものを観た気がする。その上で、やっぱり役者の身体性を見ることも大切にしたい私としては、朗読劇では物足りないところがある。寺山修司のことを勝手ながら「変人」だと思いこんでいた自分にとって、とても普通で青臭い寺山修司を知ることができて良かったと思う。

今回、寺山修司を演じたのが間宮祥太朗。一方の山田太一は玉置玲央。幸運にも最前だったので、佇まいが美しい二人の姿を目に焼き付けてきた。間宮くんは、いくつかアドリブのようなセリフを言っていた気がするけれど、作品の雰囲気と、役柄を振り返ってしまって、笑って良いのか定かではなく、でもそこが寺山のおちゃめな一面のようにも思えた。

もう一人のキャストの玉置玲央さんは、体調不良で前の舞台を公演しただけに、まずはお元気そうで何より。彼の魅力でもある身体能力ではない、表情や相手の言動に対する反射的な対応にも、新しく魅せられた。本当にとても良い役者さんだと思う。