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舞台『BLOOD RELATIONS ~血のつながり』

演劇

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STORY

米国犯罪史上最大級の迷宮入りミステリー“リッヅィー・ボーデン事件”
事件の背景となる人間ドラマを演劇的視点から鋭く抉る衝撃の問題作!

1892年米国ニューイングランド地方の田舎町で豪農夫妻が斧で惨殺される殺人事件が起きた。
警察は第一発見者である次女のリッヅィーを疑い逮捕するが、状況証拠しか手掛かりがなく無罪となり釈放される。
1902年、事件の真相を探るべくリッヅィーの友人である一人の女優が彼女と共に10年前の事件を検証してゆく。
果たして、リッヅィーのなかに潜む闇の深淵に近づくことはできるのか!?

ストーリー of スタジオライフ公演THE OTHER LIFE Vol.9『BLOOD RELATIONS ~血のつながり~ 』2016年

REVIEW

登場人物のメインが女性の作品ではあるけど、総てスタラジオライフの男性俳優が演じていた。私が見たのはDoomバージョン。ちょうど新宿では町全体でお祭りが開かれていて、途中祭囃子が気になった。

殺人の疑いをかけられた、リッヅィー・ボーデンという女性の周りで起きたことも、彼女が起こしたことも、ただただ恐ろしく、救いようがない。ただ、ひとたびこれみついてリッヅィーが語り始めると、哀しい物語になる。これが彼女の魅力であり、彼女が無罪になり得た理由なのだ。直接物語の中で描かれることはなかったけれど、彼女自身、自らのアイデンティティーを喪失していたのではないかと思う。自分自身が何を求めて、どうなりたくて、何を愛するのか。父親を一人の男性として愛していたようにも見えたし、恋愛対象は同性である気さえした。正直、彼女以外の人物になにひとつおかしな人はいない。皆、当時の標準であり、ともすれば賢い人たちだった。だからこそ、社会や時代に適合できなかったリッヅィーは苦悩し、狂気を得た。もっと、旧時代でリッヅィーをはっきりと糾弾する世の中であれば、家政婦も陪審員も同じようにしたか分からない。今なら、リッヅィーに詳しい精神鑑定がされ、もう少し真相が明らかになったかもしれない。総ては時代のはざまに飲み込まれたようだった。

主演の青木隆敏さんのリッヅィーは落ち着き払っている姿と、狂気を発散している姿のコントラストが素晴らしかった。リッヅィーの友人の女優を演じた、久保優二さんはとても美しかった。女装に映えるお顔。でも、キャストの中で一番記憶に残っているのはリッヅィーの継母のアビゲイル・ボーデンを演じた石飛幸治さん。迫力があって、俺と同時に女の哀しさのようなものも透けて見えて素敵だった。全継母役のお手本になりそうな感じ。

ところで、今回の舞台ではそれほどリッヅィーと女優の関係性にはそれほどフォーカスされてなかったけど、ここがより印象深くなるとまた変わるのではないかと思った。

 

参考レビュー

enterstage.jp