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「チープ」な想像・錯覚・妄想

2回目、仕事終わりの滑り込み立ち見観劇。結構な人が当日券を買い求めてきていて、演じた玉置玲央曰く、観客は「伝説の証人」になった。 

 

で、ここからが本題なのだけど、柿フェスの序盤で観た『いまさらキスシーン』と昨日の『いまさらキスシーン』明らかに感じ方が異なっていた。アフトで玲央さんが言っていたが、今回の『いまさら~』では演出の中屋敷さんと「ライブ感」を大切にしようということで、毎回異なることを想定して演じられていたとのこと。その毎回の「違い」を自分が感じた限りで言語化すると、何度か三御堂島ひよりちゃんが発する「チープな」という表現を観客が本当に「チープ」と感じられたか否かなんじゃないかと思う。

『いまさらキスシーン』戯曲台本

三御堂島ひよりは、肺の中に冷たい空気が入ってくることを感じて、「これはまるでレイプだ。私の心肺機能が清らかな空気に汚されていく」と想像する。 

三御堂島ひよりは、大好きな先輩に投げつけた三千円の中から勿体ないと思って千円抜いたことに対して、「この千円のおかげでなんだか自分の価値もこんくらいだ」と錯覚する。

三御堂島ひよりは、口の中が胃酸まみれな自分が先輩の口にキスしたら、「先輩の白くてやらかい歯なんて全部溶けるさ。いや、全部溶かすさ」と妄想する。

そしてその総てを「チープ」なものだと切り捨てる。これは私にとって、とても切ない言動だった。それまでのひよりちゃんは、口では「楽観的になれるほど、私は若くはありません」と言っているけれども、輝かしい未来に向かって必死に青春を生きていた。自分自身を肯定して生きていた。でも、青春は大人になる通過点なのであって、いつかは気づく。自分が大切にしてきた考え方や感覚は甘く、安くいものだったということに。そのシーンで三御堂島ひよりのその瞬間を観てしまったから身を切られるほど切なかった。それまで現実的で何に対しても強さを持っていたように見えた女子高生・三御堂島ひよりも大人になる時が来たのだと思った。

体感だけど、昨日は「チープ」な表現たちがあまり感情を動かす効果を発揮せずに、観客の意識は言葉の上を滑っていくように感じた。観客は「女子高生のかわいい戯言」というように受け取っていた。そのことを決して否定的に捉えてはいない。むしろそうなった時の三御堂島ひよりの憎たらしさったらなく、憎たらしくてどうしようもないのだけれど、その分だけ彼女の物語のコメディの色が強くなって、「かわいそうだと思われたくない」と言っていた中屋敷さんの意図したことはこういうことなのかと一人納得した。

三御堂島ひよりが存在するのもあと30分。最後まで真っすぐ青春を爆走してくれるだろう。

 

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