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舞台『The Fiend with Twenty Faces 幻燈の獏』

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STORY

舞台は、1940 年 冬
この年、皇紀2600 年(昭和15 年)
阿部定 恩赦、南京政府成立、ナチスドイツの進撃、パリ無血開城
近衛内閣成立し、シナ事変を解決に乗り出す日独伊軍事同盟・東京ダンスホール閉鎖。そんな時代。
・・・・。
港で冷やし珈琲をすする男、神田は単身、満州へ渡る。
東洋一の映画撮影所、満州映画製作所の理事に就任した男、元陸軍憲兵大尉・甘粕正彦を追って。
満州映画製作所は、新作映画「怪人二十面相」の製作発表で、熱気に包まれていた。
そんな中、一つの殺人事件がおこる。死体の傍らには「二十面相参上」とかかれた紙片。
事件が動き出す。
「うつし世は夢、夜の夢こそまこと。
・・・・・さにあれど、枕頭深く眠りに落ちる夜。甘い死のような夜は明ける。
炎、炎、炎。炎の時代が昇る」

舞台『 The Fiend with Twenty Faces 幻燈の獏 』公式サイト

REVIEW

死後50周年を迎えたということで、今年に入って江戸川乱歩の名前を目にすることが多くなりましたが、日本人って乱歩好きだよね。それこそ少年探偵団で慣れ親しんだ感じなのでしょうか。斯く言う私は、完全に谷崎潤一郎派なので同じ死後50年でもこんなに注目度の差があるものなのかと嘆いていたりします。唯一舞台作品で目にしたことがあるのは花組ヌーベル『恐怖時代』*1くらい。友人には「谷崎ってイカ臭いよね」と言われる有様。良いんです、私が好きならそれで。国書刊行会発行、日本幻想文学集成の『谷崎潤一郎』は最高です。

日本幻想文学集成 (5)

日本幻想文学集成 (5)

 

 

と逸れた話を戻して、池袋で上演中の『The Fiend with Twenty Faces 幻燈の獏』を観てきた。『怪人二十面相』の明智小五郎と小林少年を中心に、戦争直前の華やかで怪しい満州の雰囲気をプラスした物語。夢と現実の境が曖昧になる様子を、マッドサイエンティストの登場で彩るといった感じ。きちんと『怪人二十面相』を読んだことがないので、どれほど原作に忠実なのかは定かではないけれど、少なくとも江戸川乱歩のキャラクターを活かしたという感じなんじゃないかなと。登場人物が多く、それらが二つの軸で同時進行しているからなのか物語の主題が分かりにくかったということが気になった。でも、最終的には乱歩作品らしくもの哀しさと終わりの見えない謎が残されひとまず楽しめた。ただ思った以上にさらっと流れて、考える余白がなかったのが惜しい。

 正直、同じ江戸川乱歩をテーマにした『パラノイア★サーカス』に比べてしまったし、そうした時にどのキャラクターも台詞やその表現にあまり特徴がなく、登場人物のひとりひとりに勿体なさを一番感じた。その中でも図師光博さん、土田卓さんはアドリブっぽい部分が多かったからなのか、役としても役者としても印象に残った。

 この作品を見に行くきっかけの星璃くんは、本当によく軍服が似合っていて、若干ハッピーツリーフレンズのフリッピーみがあった。いっそのこと、彼が男装の麗人とかいう設定があったりするともう少し面白いし、「貴方が育てたんでしょう」的なセリフももっと深堀りできたんじゃないかと思う。ともかく、表層を滑っていくだけの役回りだったなあという感じ。

 

来月の『パラノイア★サーカス』上映会行きたくなってしまった。

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