取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

人狼ゲームという装置

人狼ゲームとは

プレイヤーはそれぞれが村人と村人に化けた人狼となり、自分自身の正体がばれないように他のプレイヤーと交渉して正体を探る。ゲームは半日単位で進行し、昼には全プレイヤーの投票により決まった人狼容疑者の処刑が、夜には人狼による村人の襲撃が行われる。全ての人狼を処刑することができれば村人チームの勝ち、人狼と同じ数まで村人を減らすことができれば人狼チームの勝ちとなる。
基本的には、村人、人狼、予言者(+GM)で、プレイされるシンプルなゲームであるが、多くの場合は、選択ルールとして存在したり、プレイヤーが自分たちで考案したりした、多種多様な特殊役職者を組み合わせてプレイされる場合が多い。その場合、ルールが少々複雑で初心者にはハードルの高いものとなっているが、慣れればあとは説得力を要するのみであり、いかに相手を上手く騙し続けるかの駆け引きが重要な要素となる。

汝は人狼なりや? - Wikipedia

 

かくいう私は友達が多くないのでリアルにプレイしたのは 1回だけ。しかもよく理解しないまま総てが終わっていたという感じです。ルールを知ってからも特にハマるほどではないなと思っていたのですが、このゲーム映画のテーマによく使われているんですよね。でも、それって例えば洋画だと『SAW』とか、邦画でも『リアル鬼ごっこ』『ジョーカーゲーム』『×ゲーム』なんかのごっこ遊び的なものの派生かなくらいにしか思ってなかったんですけど、ここ最近で3本立て続けに「人狼ゲーム」をテーマにした作品を観て考えたことがあるのでメモとして残しておきたいなと。

物語としての「人狼ゲーム」

人狼ゲーム」って脱出するわけでも、走り回るわけでも、ババ抜きするわけでもない。そして一番重要なのは、「犯人を捜すゲームでもない」ということ。確かに同じような年齢の子たちを一堂に集めて殺し合いをさせるということをしている人(=犯人)がいるのだけど、それは本論ではない。だから、このどうにもならない状況から逃げ出すことに答えがあるんじゃなくて、生き残ることがすべてなのだから、「犯人がよくわからないし、何のためにこんなことをするのか」みたいなことはこのテーマの作品を観るときには必要ないし、物語があるとしたら、それは「人狼ゲーム」のルールそのもの。だから、話の面白さを追求するのはどうやっても難しいし、それを求めている人には勧められないし、結局極論としては物語なんてない。 

苦しまない=物語からの退場≠死

これは最近物語について考える時にも思うことだけど、時に苦しみから脱する方法は死ぬことだったりする。「人狼ゲーム」でも、人狼を選べない・人狼を殺せない人はそういう環境に順応できないことに苦しむし、「じゃあ自殺しろ」という話になる。ただ、そうすることができないということが作品のポイントであって、生きると決めると同時に苦しまないで済むようになっていくから、いかにして苦しまない=物語からの退場≠死という短絡的な構図を脱するかということが見どころになっている。

ワークショップ、もしくは即興劇

 たいして「人狼ゲーム」に面白みを感じていない自分がなんで2時間弱の映画を3本も観たかというと、出ている人目当てです。シリーズ間になんとなく統一した登場人物の傾向があって、芯の強い女子(主役・生き残る)、高身長イケメン、ガリ勉、ギャル、いじめられっ子、オタク、根暗など学園ドラマの登場人物ではよくあるラインナップ。だけど、そのキャラクターをそれほど名の知れていない若手俳優たちに演じさせて、2時間で「学園ドラマ」をやろうと思ったら、人を殺すか何かして事件を起こすことが演技表現の起爆装置になるんだろうなと観ていて思ったし、そこにはある種のドキュメンタリーの要素を感じた。だから、演劇のワークショップとか即興劇のような素人っぽさというか生々しさを感じるわけで、人目的で観た自分は役柄を超えたその役者の中身を感じられるようで満足できたけど、それ以外の部分に重きを置いたらさほど作品価値を感じられないはず。そういうものになっているのは仕方がないかなと。

こんな人にオススメ

上記したように、人目的で観るのなら満足できると思う。役者ひとりひとりがその役割を全うしているというか、感情のメルティングポットを観られるのが良い。以下、自分自身の注目ポイントをまとめる。 

人狼ゲーム スタンダード・エディション [DVD]

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 主役は三菱地所のCMでおなじみの桜庭ななみちゃん。別に悪くないけど想像の範囲内な感じだった。はじめは岡山天音に注目していたんだけど、太賀平埜生成入江甚儀もよかった。

太賀くんは菅田将暉の友人くんっていう知識とお父さんのことしか知らなかったんだけど、普通に良い。ただ、93年組の若さと元気あふれる雰囲気イケメン枠からは外れるから今すぐに話題になるかっていうと難しそう。ただ事務所はスターダストだし心配はしてない。

平埜生成くんは舞台『オーファンズ』で初めましての役者さん。テニミュにも出ていたんだね、知らなんだ。無言で一人殺したただけで一言も喋らないまま死んだんだけど、その鬱屈とした感じがとても好きだった。自分は若干サイコで心が読めない役をやってる人を好きになりやすいかもしれない。劇団プレステージアミューズ)も観に行ってみたい。

入江甚儀くんは「でっかい」なと思った。永瀬匡のことを追ってた時に一瞬だけ研音のサイトに登録してて、そこで見たことあるというだけだったんだけど朴訥とした雰囲気が良かった。『帝一の國』のライヴュに行くから、三津谷亮に両目を奪われなければ注目したいところ。 

人狼ゲーム ビーストサイド  スタンダード・エディション [DVD]

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 ビーストサイドの主役は土屋太鳳ちゃん。 朝ドラの『まれ』を大して観ていなかったから何とも言えないけど、この役は結構ぶっ飛んでるなと。個人的には前作の主役より好き。思考が面白い。

いろんな若手俳優が出てるけど、中でも映画『ライチ☆光クラブ』から気になっていた藤原季節に一番注目して観てた。根暗で欝々としていて、それでいうと前作の平埜生成の立ち位置だけど、それよりもっとキャラが立っていて苦悩している姿と最期の散り際の神風特攻隊のような勇ましい姿が忘れられない。つまり最高だったので100枚くらいキャプションを撮った。

あとは桜田くんが高身長イケメン枠で出ていて、ちょっと頭の弱い今どきの学生って感じで良かった。そんでもって彼はアミューズと『金八先生』やら『GTO』で踏襲してきた学園ドラマの鉄則、事務所の推し合戦になってて面白い。他の俳優さんも有望株って感じだもんな。 

キリング・カリキュラム ?人狼処刑ゲーム 序章? [DVD]

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 この作品は前述したような演技表現の起爆装置としての「人狼ゲーム」の面白さをこねくり回して殺してしまっているから観るのはオススメしない。別の物語で楽しませようとしてるんだけどそれが面白くない。でも映像作品の中の宮崎秋人を目当てにするならギリ耐えられると自分は思った。

これから観たい作品

 

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  キャストだけ見ると『みんな!エスパーだよ!』のスピンオフ映画っぽさがある。どんな俳優さんを見つけられるかなという期待と今までの監督とは違うことへの不安が入り混じっているけど期待している。いつもあるテニミュ枠としての柾木玲弥が楽しみなところ。