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舞台『TRUMP』

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【TRUTH】 2015/11/21 13:00 【REVERSE】 2015/11/21 18:00

ストーリー

 舞台は、繭期(人間でいうところの思春期)を迎えた若き吸血種「ヴァンプ」たちを教育(矯正)するために設けられたギムナジウム(クラン)。人間とヴァンプの混血(ダンピール)であるソフィは優秀だが、「汚らわしき者」として周囲から嫌悪されていた。完全階級社会であるヴァンプ界にあって指折りの名家の生まれであるウルは、忌むべき存在であるソフィになぜか心惹かれていく。

 そんな中、ウルはかつてのヴァンプが持っていた「不死の力」について研究を続けるうち、永遠に生き続けているとされる原初の吸血種「トランプ」の存在を知り、永遠の命を渇望するようになる。

 一方、クランでは、常にアレンを探し求めているティーチャー・クラウスら、個性豊かな教師陣が、繭期のヴァンプたちを指導していた。 日々、繭期のヴァンプたちの騒動が繰り返されるクランに、ある日、謎の転校生・萬里がやってきて・・・。

http://napposunited.com/trump/index.html 

 

■2015年版における追加点

残念ながら、初演や再演を観たことがないのでD2版のTRUMPとの比較。ネタバレ注意。

 

 

●ソフィのラファエロへの憧れ 

 今回のTRUMPはキャラクターとキャラクターとの間の矢印がより明確だった。そのひとつが、ソフィのラファエロに対する憧れ。これが明らかになることで、ラファエロに憧れ剣の訓練に励み、ひとりでも強くあろうとするソフィ、そんなソフィの孤独な強さに憧れるウル、そしてそのウルの秘密を守ろうとするラファエロはウルを惑わすソフィを自分たちから遠ざけようとする。そうして最終的には哀しみの連鎖に繋がっていくという、トランプの世界の中での必然的な結末を鮮明にしていた。

 

●アンジェリコラファエロへの拘泥

 ラファエロがトランプによって灰になりアンジェリコは悲痛に歪んだ声を上げる。

「あいつを殺すのは僕じゃなきゃだめだったのに」

ここまでは今まで通り。しかしこう続ける。

「違う、死んじゃだめだったんだ」

「あいつは僕と一緒に血盟議会を治めるものとなるべき純血種だったのに」

「あいつの意思は僕が受け継ぐ」

アンジェリコラファエロへの拘りは異様なほどだったけれど、前提として「親友であった」という事実をおくことで二人の物語の納得性と哀しさが増していた。そして、二人がこうなるまでには何があったのかと、答えの見つからない旅に出てしまいそうになった。

 

●ウルのLILIUMへの導線

    ウルはソフィに「一緒にトランプになろう」と誘うがあえなく断られる。それならば、ひとりで永遠を生きるのは淋しいから「君(ソフィ)の代わりになる仲間をつくらなくちゃ。可愛い女の子をたくさんだ」と独り言つ。これはLILIUMを観た人なら「まさか」となる展開。結局、トランプによって不死となってしまったソフィは、LILIUMの世界でウルという薬を使って自分と同じ不死の少女たちを創り出すことになる。これは、ソフィが父のクラナッハ(SPECTER参照)から死ぬ間際にかけられた呪いのようなものと考えることもできるけれど、ソフィがウルの願いを受け継いで、叶えようとしているようにも思った。

 

●クラウスが成し遂げたこと

最後、ソフィを不死にしてクラウスは叫ぶ

「アレン!星に手が届いたよ」

そうして「僕になにをしたんだ!」と問い続けるソフィに「ずっと一緒だ」と告げるクラウスはとても無邪気で、子供の戯れのようにも聞こえるけれど、同時にとても残酷でもあった。

 

■TRUTHバージョンについて

ソフィ:高杉真宙
ウル:早乙女友貴
ラファエロ:山本匠馬
アンジェリコ:田村良太
臥萬里:平田裕一郎
ピエトロ:大塚宣幸
ジョルジュ:久保田創
モロー:森下亮
アンサンブル:植田順平、日南田顕久、傳川光留
グスタフ:岡田達也
ミケランジェロ吉田メタル
ダリ:末満健一
アレン:武田航平
クラウス:陳内将

確かに王道の配役だったと思う。高杉ソフィの暗さと孤独、それに対する早乙女ウルのオラオラした明るさ。いろんな人が感想で言っているけど、ゆっくん(早乙女友貴)の「上流家庭に生まれたけれど、その閉塞的な世界が嫌で飛び出した非行少年感」が新しかった。そして話が進むにつれてぼろぼろになっていくウルは、心をむき出しにしてソフィにぶつかっていて、みていて苦しくなった。ついでに言うと、ゆっくんの久保田ジョルジュへの平手は完全にキマってた。

田村アンジェリコは根の優しさが滲み出てて「ドブネズミの臭いがするわ」と「くずくずくずくずくず」が若干弱い気もした。本当はすごく良い人なんだなぁって。山本ラファエロはとてつもない包容力を感じた。ツンデレゆっくん(半分仮定)さえも包み込んでた。

武田アレンは色気がダダ漏れだったので、クラウスもメリーベルも会場の女子も全部「ぼくのモノ」にしてたし、陳内クラウスはD2版のアプローチを掘り下げてより一層孤独感が増していた。クランを案内するあたりの「面倒臭いティーチャーとしてのクラウス」と、総てのヴァンプのイニシアチブを握る「トランプとしてのクラウス」の落差が激しくて、永い期間で形成されてきたクラウスの二面性が良く分かるようだった。

 

■REVERSEバージョンについて

ソフィ:早乙女友貴
ウル:高杉真宙
ラファエロ:田村良太
アンジェリコ:山本匠馬
臥萬里:大塚宣幸
ピエトロ:平田裕一郎
ジョルジュ:森下亮
モロー:久保田創
アンサンブル:植田順平、日南田顕久、傳川光留
グスタフ:吉田メタル
ミケランジェロ:岡田達也
ダリ:末満健一
アレン:陳内将
クラウス:武田航平

リバースはその名の通り裏返し。そしてコメディ色の強いパロディっぽいところが良かった。それで言うと平田ピエトロは何故かずっと長崎弁で、最初は気になったけどそのうち「そういう人である」と会場全体が納得してたし、モブ生徒の陳内将が全力で輝いてて、きっと彼はアレンじゃない分、余裕があったんだと思う。

早乙女ソフィはスカして大人びた子。高杉ウルのひょうきんで明るく、でもたまに自然と裏表を使いわけてしまうリアルな高校生感と相まって、「ヴァンプたちの青春物語」の印象が強かった。

山本アンジェリコは心の底からラファエロが憎くて、でもそれと同じくらいラファエロが羨ましくて、だからこそラファエロが嫌いで好きという、自尊心と稚拙さが滲み出ていた。対する田村ラファエロはとにかくウルを守らなきゃいけないという気持ちでいっぱいになって、その他は目に入らないというような必死さがあった。

陳内アレンは今度はD2版と打って変わって、白痴にも近い危うさと無垢さが際立っていた。とにかく儚くて危なっかしくて、今までクラウスはアレンの「掴めなさ」に惹かれたんだと思っていたけれど、そうじゃなくて陳内アレンのような、ともすればこの世から一瞬にして消え去ってしまいそうな「刹那」に手を伸ばしてたんじゃないかと考えるようになった。武田クラウスはトランプにしたら瞬きをするより短い時間を生きるアレンを必死にこの世に繋ぎとめようとしていた。

■個人的なベストキャスティング

ソフィ:高杉真宙
ウル:早乙女友貴

ラファエロ:田村良太

アンジェリコ:山本匠馬

臥萬里:大塚宣幸
ピエトロ:平田裕一郎

ジョルジュ:久保田創
モロー:森下亮
アンサンブル:植田順平、日南田顕久、傳川光留

グスタフ:吉田メタル
ミケランジェロ:岡田達也
ダリ:末満健一

アレン:陳内将
クラウス:武田航平

ちなみに東京のマーブルが超絶惜しい。ティーチャーだけ違う。山本アンジェリコ「くず」と連呼される高杉ソフィを見たいし、高杉ソフィと田村ラファエロの剣術試合はちょっと怖いもの見たさ的なところある。

 

ということで、トゥルリバの二回観た感想です。本当はもっとみたい…