DD過ぎて中身が薄い

映画や舞台の感想書いたり、推しが大好きと叫んだり。

White Christmas



【story】
上位0.1%だけが入れる入試名門私立高校スシン高校。1年間で唯一の休憩時間、8日間の冬休みが始まる。皆騒ぎながら学校を出るが発信者の分からない疑問の手紙が届き7名の学生たちが残る。一方、交通事故にあった精神科医師キム・ヨハンはスシン高にたどり着き助けを求める。数十年ぶりの大雪で学校は外部から完全に遮断され生徒たちは手紙の主人公を探しに出るのだが…KBS World

【cast】
キム・ヨハン役(精神科医師):キム・サンギョン
パク・ムヨル役(スシン高最高の模範生):ぺク・ソンヒョン
チョ・ヨンジェ役(嫌われ役の生徒):キム・ヨングァン
ユンス役(精神不安定な生徒):イ・スヒョク
ヤン・ガンモ役(聴覚障害者の生徒):クァク・ジョンウク
イ・ジェギュ役(平凡な生徒):ホン・ジョンヒョン
ユ・ウンソン役(学園のマドンナ):イ・ソム
カン・ミル役(クレイジーな生徒):キム・ヒョンジュン
チェ・チフン役(天才生徒):ソンジュン
ユン・ジョンイル役(体育教師):チョン・ソクウォン

【staff】
演出:キム:ヨンス
脚本:パク・ヨンソン






※ネタばれ含みます。






ドラマに期待しない人間なんですけどその予想は軽く超えてきました。
だらだらと書くと取り留めがなくなるのでいくつかのトピックに分けて書いていこうと思います。



①ストーリー

このドラマは所謂深夜枠で元々は16話編成だったものを、半分の8話でまとめた作品です。
それだけに端折られた部分が惜しいなと思うところが多々あります。
ミステリー/スリラーのジャンルなので説明しすぎるのも面白みに欠けますが、
重要な登場人物が多く過去を大きな伏線にしているので腑に落ちる感覚が足りないという感想を持ちました。
特にユンスのところはクライマックスに繋がるので残念だったかなと。
あと、ヨンジェの母親の葛藤とガンモの障害者のジレンマ、チフンのアスペルガーであることの彼自身の考えなどきっと削られてしまったであろう部分が気になります。

でもやはり面白い。
前半4話、後半4話で謎と対決という感じで分かれていて、前半部でいろんな伏線が振り撒かれ過ぎて大丈夫かなと思うほどでしたが、そこから後半の反転に次ぐ反転が物語を躍動させました。
あの台詞がここに繋がるのかとか、いい人そうだったのにとか。
どこかのブログで拝見しましたが、このドラマで何度も語られる
悪魔は生まれるのだろうか
作られるのだろうか
という「悪魔」は言葉そのまま訳せば「怪物」になるそうです。
実際私もこの話で語られるのは「怪物」に近いと思います。
「怪物」はいつでも、そしていくらでも大きく成長し得る、だからこそ恐ろしい。
逆に「悪魔」は先天的な要素が強く感じられるのかなと。
『ホワイトクリスマス』を観て考えたのは、人間の中には必ず「怪物」が巣くっていて要はその自分の中の「怪物」を知っているかどうかなのだと言うこと。
ヨハンの勝利は必ずしも7人の負けではないし、最後闇に包まれていった彼らはあの8日間で人生総てのような生き方をしてしまったけれど、後悔もしていない。
ただこれから自分の中の「怪物」を飼いならして、何も見えない振りをしながら生きていくだけ。
はぁ、苦しい。
それでもそこに明るくはないけれど希望が見えたのは私だけではない筈。



②サブタイトル

ドラマのサブタイトルがその回の大きな伏線になっていて、それをより掘り下げたモノローグが毎回あるんですけど、1話観終わって意味が掴めた時に達成感のようなものがあります。
悪魔は自分で扉を開けられない
懺悔しろもう手遅れでも
旅立った少年が遭遇するもの
合わせ鏡の中からは悪魔が飛び出してくる
ライオンが待つ川辺
運命は善悪を区別しない
境界線に立つ子供たちの弁明
悪魔は生まれるのだろうか 作られるのだろうか
全8話のサブタイトル。
そのモノローグで一番好きだったのは3話のものです。
正直言うと、少し期待してた
18歳・・・
大人でもなく子供でもない
曖昧な時期に夢見る、冒険と逸脱へのあこがれ
ハックルベリーフィンやナヌークの冒険には遠くても
日常から脱出できる事への期待はあった
冒険を信じられる、最後の時期を過ごす俺たちは
これまでの出来事に
まず恐ろしさよりも、期待に近い興奮を覚えた
でも俺たちは忘れてた
いくら明るい声で話したとしても
日常を脱するには危険だという事と
生き残るためには残酷にならざるを得ないという事を
ハックルベリーフィンもナヌークも
結局は悪魔に遭遇する
ゾクゾクする言葉ですよね。
毎日刺激的とは言えない生活を送る私達の憧れを恐怖で覆い尽くす。
そんな雰囲気を漂わせています。



③登場人物

キム・ヨハン役(精神科医師):キム・サンギョン
この役者さん有名な方らしいんですけど私が見てきた韓国のドラマと映画では見覚えがない。
ということでこの役のイメージが付与されました。
ドラマの脚本家の方は殺人犯役にいつも“ヨハン”という名前をつけるそうなんですが、それは宗教的で道徳的な暗示を入れようと洗礼者ヨハン(ヨハネ)からきているとインタビューで語っていたのですが、それって言ってしまって大丈夫なのかと。
韓国ってキリスト教人信者多いのに...
それはともかく、彼の振る舞いを見ていると『ファニーゲームUSA』を思い出して吐き気がします。

パク・ムヨル役(スシン高最高の模範生):ぺク・ソンヒョン
この人物ももっと父親との葛藤と、自分の中の「怪物」との戦いを描いてくれればもっと面白かったのにと思います。
これではやはりまだ模範生のまま、仮面さえ被れていないような気が。

チョ・ヨンジェ役(嫌われ役の生徒):キム・ヨングァン
結構好きな人物です。
自分の弱さから目を背けて、必死に逃げている描写はとても上手かった。
けれど先にも書いたようにその原因がぼやけたままになっているのが残念です。
個人的にヨンジェの言葉で好きなのは、ウンソンとの会話です。
「どうすれば私をあきらめてくれる?私はどうしたらいいの?」
「壊れることだ。
今よりずっと・・・」
「・・・・・・」
「俺みたいなヤツが釣り合うくらい壊れればいい」
「・・・・・・」
「でももう無理な話だけどな。俺の方がすでに壊れ過ぎてしまったから」
ふと、そんな風にして弱さを悟る瞬間が何度もあるんですがそれがとても切ない。

余談ですが、このドラマきっかけにキム・ヨングァンという役者というかモデルさんを調べていたら好恐ろしいかっこいい。
因みに今更ですが、このドラマは「ビジュアルドラマ」と呼ばれ、出演者の殆どがモデル出身で平均身長が高いという触れ込みでした。

ユンス役(精神不安定な生徒):イ・スヒョク
キーパーソンなので端折られたことが最も惜しい人物。
それでも、抽象的なドラマの良さを引きたてている存在です。
イ・スヒョクの演技はとてもいいとは言えないけれど、役が役なだけにぎこちない雰囲気も含めて上手く言っていたのではないでしょうか。
卵が、孵ろうとしている
という遺書は彼が死んだ理由そのもので、それを理解できるのはあの時間を一緒に過ごした者たちだけ。
他のみんなと違って自分の中の「怪物」が生まれることを阻止しなくてはと思ったのではなく、単純にその「怪物」を受け入れられるほど彼は強くなかったのではないかと私は思いました。

ヤン・ガンモ役(聴覚障害者の生徒):クァク・ジョンウク
必死に生きることを日々としてしまったことの苦悩を体現する人物。
彼は元々俳優さんなので安心してガンモという人を見ていられました。
チフンが自分の所為で死んだ、と思っていたところから死んでいないと分かった時の安堵が観ている私の心も絞めつけました。

イ・ジェギュ役(平凡な生徒):ホン・ジョンヒョン
彼はきっと手紙の内容を書いたキム・ジンスを半身として存在していたように思います。
そして最後まで自分の中の正義を貫いたのではないかと。

ユ・ウンソン役(学園のマドンナ):イ・ソム
驚くべき愛され女子だなという感想。
母の不倫を知って壊れた彼女をこの事件まで誰も救ってあげられなかったのかと思いましたが、それはウンソン自身が壊れていることを望んだ結果なのかと納得するしかありませんでした。
「怪物」が生まれた彼女が、もう以前のように人を傷つける言葉を簡単に吐くようなことはないと考えると、「怪物」の善悪の付け方が分からなくなります。

カン・ミル役(クレイジーな生徒):キム・ヒョンジュン
思わぬ伏兵として登場したミルがこっそり戻ってきて皆を助け出した時には「かっこいい」と何度も思いましたが、よくよく考えれば彼が二人目の悪魔を連れてきたのかと思うと雪崩で死んでしまえば良かったのに、なんてことも思ったり。

チェ・チフン役(天才生徒):ソンジュン
ちょっと面白みの無いまま終わってしまったかなという印象。
演技の固さと人物象は丁度よくマッチしてました。
脚本家の方がいう様に彼主役のラブストーリーはちょっと興味ある。

ユン・ジョンイル役(体育教師):チョン・ソクウォン
良いとこ無し過ぎてつらい。



④音楽
作品中の音楽がとてもいい効果をしていて感動するまである。
特にアンビエントなどの環境音楽My Bloody Valentineのようなシューゲイザーの多用が目立ちました。
ユンスが何度かギターを弾いているんですが、リフとかなさそうだったんでシューゲに近いのかなとか思っていて、それなら学園祭で披露するのはどうなのかなという疑問さえ浮かびました。

あと、音楽ではないのですが作品中によく聞こえる息づかいが、生徒たちの、またヨハンの緊張感を表現し、一方で生まれてくる「怪物」の声にも聞こえてきてよりこのドラマを盛り上げていたように思います。






見返したら、こんなに長いこと書いていたのね。
だってもう朝だよ、おはよう。
そんなことは置いておいて、このドラマは本当にオススメです。
日本では未発売なのでDVDレンタルのみになると思いますが借りて損はない筈。
私は何とかしても手に入れたいので現在画策中です。
ドラマ作品だと『池袋ウエストゲートパーク』と『Dr.Who』というイギリスのドラマはBOXで買いました。
こちらもオススメです。
それで、このドラマを観ていて思いついた映像作品がいくつかあって、これが好きなら『ホワイトクリスマス』も楽しめるよってことでいくつかあげて似ている雰囲気の特徴を書いておきます。

漂流教室』学校が舞台で荒涼感のある風景と死の付きまとうテーマ
ファニーゲームUSA』悪魔に対する圧倒的な敗北感
六番目の小夜子』学校と謎
『バトルロワイヤル』生徒たちがお互いを裏切り訪れる孤独

何か他にもあった気がする。

最後に、このドラマの脚本家のパク・ヨンソンさんはSJの『花美男連続ボム事件』の脚本も書かれていたと知って笑ったというより驚き過ぎて仕方なかったです。