取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

10年ぶりにBring Me The Horizon推し

Bring Me The Horizonってどれほどの知名度なのかほんとわかりませんが、2007年ごろの私のアイドルだったんですよね。Oliver Sykesが。

twitter.com

Count Your Blessingsとか、Suicide Seasonは飽きるほど聞きました。

www.youtube.com英語能力とか関係なく、何言ってるか分かんなかったけどそれでも良かった。とにかくOliの顔がカッコよくてタトゥが綺麗で、私の目には神々しく写っていた。その頃アメブロ全盛期。なぞのグルっぽでいまやどこにいるか分からない友人たちと「ゲロさいこう」とか言い合ってたものです。

彼の作ったブランドのDROPDEADのTシャツ買い占めたいって言いながら、「Paypalだるい…」と挫折し、もう10年が経ってしまった。そりゃデザインもお洒落になるよ。

www.dropdead.co

そんなこんなですっかり聴かなくなっちゃってこの間ふとApple MuisicでLinkin Parkのチェスターが死ぬ前に出演したCarpool Karaokeのプレイリスト聴いてたらThroneが流れてきてこれめちゃくちゃカッコいいなと思ったのでありました。

 馬鹿ほどよく慌てるって感じ。

www.youtube.com

Readingでこんな人を集めて熱狂させてるバンドになって…ほんと…嬉しいよ…日本で売れるかは…知らんけど…。私の好きだったBMTHと今のBMTHはかなり違うけど、それより何よりずっとバンドを続けて、その時々に人に感動を与えてるってだけですごいと思うの。これぞミラクル。マジで。

最後にRoyal Albert Hallで壮大なギグを繰り広げたBMTHを見て。

www.youtube.com

控えめに言っても泣ける。

柿喰う客フェスティバル2017『極楽地獄』

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めちゃくちゃ面白かった!!!

 

ひっさしぶりに演劇を見てぶん殴られたっていうか自分の領域だなって感じた。その前に世田谷文学館で『澁澤龍彦 ドラコニアの地平』展を見てきたのもタイムリーだったんですけど。

www.setabun.or.jp

これが『極楽地獄』と何の関係があるんだって、そりゃ直接はないんだけど、澁澤龍彦や中屋敷さんの表現世界の中の倫理や正義、理想というものが純粋に彼ら自身を中心にして回っていて、そしてさらにそこには彼らが生み出したものを素晴らしいという人がいるっていう最高な状況・空間・人々が存在するという奇跡を体感するこの幸せ。自分でも書いてて意味わかんねえなって思うんだけど、つまりは鈍器で殴るようなものを作る人たちと、それを一身に受けたい人たちがいる、偏愛の世界がスポット的にあって、私にとって至高なそれを二つも体験できた今日は幸せな日だったぜってことです。いえあ。

話を戻します。そしてところどころネタバレします。物語はホテルの新人研修の最終日。あと60分でこの研修も終わる。というところで新入社員たちは先輩のナガシマからあるホテルで起きた事件について聞かされる。それは東北大震災と同じ時に起きた恐ろしく、不思議で、滑稽なようにも思える事件。嘘か真か。そんなことどうでもいい。嘘だと言えばウソだし、本当だといえばホントの嘘のような本当の話。いや、本当のような嘘の話。圧倒的な嘘を見せられているからこんなに気持ちがいいのか。リアリティがない?そんなことあるものか。ロシアではつい最近食人夫妻が捕まっているし、嗜好として人を食べる人もいる。またそれとは別に水平思考ゲームの「ウミガメのスープ」はあんなに悪趣味なのに、さもありなんとして受け入れられている。

dic.nicovideo.jp

まあ、そんなことはどうでもいいのだ。供養・文化として食人をする人たちも、興味・嗜好で食人をする人たちも、「そうしない」人たちにとっては同じこと。いくら内輪で「お前と俺は違うのだ」と言ってみたところで、なにも変わりはしない。どこからが「悪」と感じるのかは人それぞれであって、唯一私たちにできることといえば、そういう事実があった時に自分だったらどうするかと考えることぐらい。荒唐無稽な想像にも思えるが、隣人が自分の両親を食うて弔っていたら私はどうするのだろう。嫌悪で引っ越すのだろうか。そういう手もあったかと納得するのだろうか。

閑話休題、私自身今年祖母を亡くした。とても呆気なかった。日付が悪く、夏の暑い日にドライアイスを抱えて横たわる祖母はとても綺麗な顔をしていた。私はそれ見て申し訳なくて仕方なくて、早く弔ってあげたかった。友引など知らぬ存ぜぬ。私は祖母がそこに放置されているのが嫌だった。これはただ、何もできなかった自分の申し訳なさを隠したいだけなのだと分かっていたが、それでも早く目の前から失くしてしまいたかった。目の前にあるうちは何故だか申し訳なさが先だってしまって仕方なかったのだ。「処理をする」ということは「物事をさばいて始末をつけること」だ。私は祖母の骨を拾って始末をつけた。

物語の本質は土着的ななにかではない。現代の、むしろ未来のSF的な『天の敵*1』のような身体と精神の関係性が大きく影響を与えている世界。人間の体も死しては肉となる。精神は食して極楽へ飛び立ち、肉体は残された者たちの糧となる。洒落た雰囲気だってあってよいのに、そこは柿喰う客。ナンセンスにナンセンスを重ね、嫌悪に嫌悪をまぶし、ノンモラルな物言いも大した問題ではないでも言いたげな目で観客の私たちを見てくる。なんなんだ。強い強すぎるよ。すき。

役者別にちょこっと。やっぱり永島敬三という役者はすごい。アフタートークで「全部、永島敬三に台詞喋らせようと思ってた」と言っていたように、ストーリーテラーであり、キーマンであり総てを握る諸悪の根源のような存在でもある。あの柿喰う客特有の台詞の吐き出し方、滑舌、発声。どれをとっても一級品。というようなことを柿の看板役者、玉置玲央さんも仰っているのでブログ読んでください。

hakuaibiyori.seesaa.net

 田中穂先さんは昨年柿喰う客に入ったのにすっかり馴染んでいて、さらに「なんだかよく分からないけど様子のおかしな人が来た」と場の空気を変えるほどの存在感。そのまま「変態」大学教授役だったのも面白かった。ポスタービジュアルも良い。でも『極楽地獄』は15人も演者がいるから、思った以上に出番がなかったのが残念でした。

そして、今年加入の宮田佳典さんはもう「バンズとバンズでバーン!!!」がパワーワード過ぎてこの先1か月は思い出して笑うと思う。普通に顔がいい人が柿の言葉を叫んでいるのが好き。

 カクト エンタテインメント(伊勢谷友介の事務所)っぽい(適当な物言い)

そうだ。平山夢明の小説、特に『ダイナー』を読んだ時の感覚に似ている。すごい!読んだことある人『極楽地獄』観て。

ダイナー (ポプラ文庫)

ダイナー (ポプラ文庫)

 

 あ、これもバンズとバンズでバーン!!!だ。

 

生!死!愛!暴力!みたいな映画+α

生!死!愛!暴力!みたいな映画が好きなのですが、何かオススメありますか?(最近観た中だとダブルミンツあゝ、荒野はまさしくそれでした) 映画に限らず舞台でも小説でも漫画でも良いのでそんな雰囲気のものがあれば教えて欲しいです。

https://odaibako.net/detail/request/940882417ce04b629686491d5d8406f2

わかります!!!私もすき!!!はやく『あゝ、荒野』観たい...私の少ない引き出しで申し訳ないのですがそんなあなたへおすすめをば!

ちなみにわたしのFilmarksはこちら。

filmarks.com

 たぶん観てるだろうけど『そこのみにて光輝く』 

そこのみにて光輝く

そこのみにて光輝く

 


 ご存知カメレオン俳優の菅田将暉と生気のない男をやらせたらピカイチの綾野剛が出演している作品。普通に泣く。あとめっちゃ痛い(精神的に)日本の泥臭いラブストーリーです。

なんか勢いがすごい『ギャングスターナンバー1』

ギャングスター・ナンバー1 [DVD]

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 何から何までめちゃくちゃかっこいいんだけど、最後にかけてのラブ・アンド・バイオレンスがやばい。男同士の憧れと嫉妬。ほしいものが総て見られる。

ホラーとグロが大丈夫な人向け『無垢の祈り』

 私はこの作品を純ウルトラミラクルラブストーリーと呼んでいるのいる。倫理観が欠落したところの純愛なんじゃない???生と死で愛の話をする感じ。ちなみに原作も最&高。

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)

 

あのキム・ギドクにチャレンジ!『悪い男』

悪い男 [DVD]

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 この手の映画と言えば韓国映画みたいなところあるいじゃないですか(?)一目ぼれした女の人を風俗に落すような男と落とされた女の話ですが、大体悲惨なのに当人たちが幸せそうに見えてくるからすごい。

格好つけてオススメするなら『パッセンジャー

THE PASSENGER [DVD]

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加瀬亮がセクシー&バイオレンス。個人的に名作だと思うのだけど、全然見られていないよね!SHIBUYA TSUTAYAとかで激プッシュしたらいい??? 

とにかくみてくれ!『46億年の恋

46億年の恋

46億年の恋

 

 みて!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

aooaao.hatenablog.com

番外編

小説や漫画でも良いということだったので以下もおすすめ。

aooaao.hatenablog.com

柿喰う客フェスティバル2017『八百長デスマッチ』

あらすじ

入学式を無事に終え、自宅へと帰るぴっかぴかの一年生(永島敬三)。そんな彼の背後をつけて来たのは、同じぴっかぴかの一年生(大村わたる)!?俳優2人による意地とプライドを賭けた演劇バトル! 

https://twitter.com/kaki_kuu_kyaku/status/915902483926368256

感想

永島さんと大村さんの組み合わせで思い出すのは『へんてこレストラン』

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注文の多い料理店』が題材になっているから内容自体は大体の人が知っているのに、これがめちゃくちゃ面白い。もちろん中屋敷さんの演出が妙ということもあるんだけど、この二人の掛け合いが小気味良い。それが今回『八百長デスマッチ』で二人芝居になってそれはそこそこ楽しみにはしてたんだけど、それの10000000倍くらいは面白かったし楽しんだ(そのうち一割は玉置玲央さんが声高く笑っていらっしゃったのでそれだけで幸せになったというのがある)

いい大人が(いい意味)全力で馬鹿みたいなやり取りをしているのって、なんであんなに面白いんでしょう。たとえそれが子供同士の他愛ない口論であろうと、人が本気で何かをやってる姿って心動かされるんでしょう。っていうか、それをみてどうして心を動かされずにいられるのでしょうか。と言うくらいに笑って、最後はほろりとした。つまりはサイコー。

 なんていうか、基本的にこの二人仲良しなんだよね。それだけで幸せじゃん。ありがとう世界。30分だし、赤坂とか四谷あたりで暇時間が1時間くらいあるなら観たほうがいい。いろいろ考えさせられる内容でもあるけど、柿らしからぬ清涼感が胸に広がるから。マジで。

柿喰う客フェスティバル2017『流血サーカス』

 あらすじ

飢えた兄妹は人さらいの口車に上手く乗せられ、兄はサーカス、妹はお金持ちの家に売られてしまう。再会を誓い合う二人。兄は見世物女にサーカスで生き抜く術を教わる一方で、妹は金持ちの家で何不自由なく暮らしていた。そんな兄妹が再び出会う時、物語は思いがけない方向へ転がっていく…

感想

『流血サーカス』というタイトル通り、みんな求めていたことを見透かすように眼前に広がるのは血の海。とはいっても、舞台上で行われることなのだから大したことはないと思うやも知れない。でもそこは柿喰う客。演劇の境界を越えて、眉間にナイフを突き立てられる恐怖を味わうことになる。いわゆる「第四の壁」的なことというよりも、実は舞台上よりも客席(現実)で起きることのほうが奇妙で、恐ろしくて、不可解で危険なのだと。そういう演劇の不思議な用法を感じた。圧倒的な「虚」の世界だから、はじめはなかなか入り込みづらいし、柿喰う客らしさのない演者が多かったこともあって勿体無いなと思うところもあったけど、フェスティバルならではのお祭り感とチャレンジングな意気込みは十分に感じられた。

SNSを見る限りいろんな人の感想にもあったけどふしだらな女を演じていた加藤ひろたかくんがとても良かった。去年加入したばかりというのに、柿のエッセンス+彼のセンスが溢れ出していて、ボインボインと言う度に本当にゆさゆさ揺れる胸が見えた気がする。なんであれを美しいと思ったのか、自分でも謎。

 あと今回柿に加入したメンバーで『流血サーカス』出演者の中では守谷勇人くん(デスノートリュークみたいな人)が良かった。

 で、プロフィール観てみたら『デスノート』出てたらしい。

精悍な顔立ちから繰り出される切れ味のある芝居が魅力。2014年、劇団「ワハハ本舗」公演でデビュー。退団後の主な出演作はNTV『デスノート』、NHKとと姉ちゃん』など。特技は和太鼓。 

http://kaki-kuu-kyaku.com/member_moriya.html

 アドリブの調子がいい人だ~~~と思ったらワハハ本舗からデビューしたって。そりゃ相性いいわとウエメセ気味に思った。良くも悪くもコント的なノリとシリアスが相まみれた柿喰う客の作品の中で輝くって難しいなと思ってて、演技してます!!!という一生懸命な感じが見えると台無しになる。虚構でしかない世界だからこそ、生き物としては正しく機能してそこにいないと整合性が取れないのかななんて。

全体的に予定調和が壊れる瞬間がもっとたくさんあるともっともっと面白くなると思った。

映画『アヤメくんののんびり肉食日誌』

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STORY

一見、今どきの恋愛に積極的に見える女子大生の椿。

彼女には何よりも夢中になるものがあった。

それは『骨』。

幼いころ恐竜の化石に魅せられ、以来ずっとその研究に情熱を注いでいた。

 しかし、そんな彼女の目の前に1つ年下の男性、アヤメが現れる。

著名な考古学者を父に持ちイギリスで生活していた彼は、のんびり屋なのに思いをストレートに口に出す不思議な性格。

そして、椿に一目ぼれ。

アヤメの猛アタックを受け流しながらも、次第にその純粋さ、優しさ、そして骨格の魅力に惹かれてゆく椿。

 しかし、その矢先…アヤメに熱烈な好意を寄せるイギリス時代のガールフレンド、エリザベスが来日。

彼女はわざわざ椿からアヤメを奪うために来日したのであった。

 さらに同じ研究室の先輩:鈴木仁英が現れアヤメを出し抜こうと椿に急接近。

 アヤメ・椿・仁英・エリザベス、研究室を舞台にした恋の四角関係はどんな結末を迎えるのか?!

http://www.ayamekun-movie.com/pages/908695/story 

REVIEW

めちゃくちゃ楽しみにしていたアヤメくん~!めちゃくちゃ楽しかった~~~(知能3)

もともと原作(連載中)を読んでいて、それこそアヤメくんみたいな人が目の前に現れてくれたら最高だな~~~と思っていたところで、それを黒羽麻璃央が演じるですって!!!いろんな理由で『宇田川町で待っててよ。』をリピートしてしまうこの私に、なんというカードを当ててきたのか。制作の人ありがとう。あわせて全世界に感謝しました。もとより麻璃央くんは映画で観たい人枠にいて、それこそまだちゃんと舞台も『僕とあいつの関ケ原』と『男水』しか観てないんでなんとも言えないですけど、いやでも普通にぎりぎり年下男子として恋愛映画でわんこみのある姿を記録して欲しい~~~って常々思っていたわけです。映画だと『色あせてカラフル』も最高だったし、この言い方どうかなと思うけど、サブカル女の大好きな雰囲気しかないので、もっと映像に推されてほしい。今泉力哉とか、横浜聡子三木聡に撮ってほしい~~~!無理だ。これはもう欲望しか出てこない。ひとまず偉い人も含めて『宇田川町で待っててよ。』と『色あせてカラフル』観てくれ。

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『めがだん』も面白いんやで。

gyao.yahoo.co.jp

話をアヤメくんに戻します。そうアヤメくんめっちゃ良かった。アヤメくんの基本少年だけど、椿先輩に対しては男になる感じとか、無意識にセクシーな感じとか。あのスタンスでムキッって拗ねられたら私はいろいろ許してしまうよ。あと椿先輩を演じた足立梨花ちゃんめちゃくちゃスタイル良くて、でも基本的には日本人顔で奥二重な感じとかタイプだわって実感した。漫画の椿先輩のちょっと心が読めなくて駆け引きしちゃうところとかも再現されてて、手玉に取られてもいいかもと思う男の気持ちわかるよ(?)本当は「デイジー」のくだりとかほしかったけど、まあ全部のエピソードできるわけじゃないし、未完の作品を良きところで終わらせてくれたなと思います。一番の解釈違い(見た目が)だった仁英先輩もそう悪くなかったし、個人的には小関陸くんと永田崇人くんと唯月ふうかちゃんの研究室メンバーがめっちゃ好き。エリザベスはイギリス訛りを頑張ろうとしている感があって好感が持てた(誰目線)

ほんと今みたい映画が観られたっていうこともあって、ただただ今はホリプロに感謝しかない。ありがとうホリプロ。個人的には矢野聖人をもっと推してくれると嬉しいという気持ちがないわけでもないけど、今日はこれで終わります。観て!!!!!!!!!!!!!

公式サイト

www.ayamekun-movie.com

関連記事

www.oricon.co.jp

www.cinematoday.jp

www.excite.co.jp

entertainmentstation.jp

黒羽麻璃央/「好きなことを突詰めてひたむきに頑張るアヤメくんを観て、夢を追うパワーにしてもらえたら嬉しい」

 

舞台『関数ドミノ』

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STORY

とある都市で、奇妙な交通事故が起きる。
信号のない横断歩道を渡る歩行者・田宮尚偉(池岡亮介)のもとに、速度も落とさず車がカーブしてきた。
しかし車は田宮の数センチ手前で、あたかも透明な壁に衝突したかのように大破する。
田宮は無傷、運転手の新田直樹(鈴木裕樹)は軽傷で済むが、助手席に座っていた女性は重傷を負ってしまう。
目撃者は真壁薫(瀬戸康史)と友人の秋山景杜(小島藤子)、左門森魚(柄本時生)の3人。
事後処理を担当する保険調査員・横道赤彦(勝村政信)はこの不可解な事故に手を焼き、関係者を集めて検証を始める。
すると真壁が、ある仮説を立てるのだった。
その調査はやがて、HIV患者・土呂弘光(山田悠介)、作家を目指す学生・平岡泉(八幡みゆき)、真壁の主治医・大野琴葉(千葉雅子)をも巻き込んでいく。
はじめは荒唐無稽なものと思われた仮説だったが、それを裏付けるような不思議な出来事が彼らの周りで起こり始める――。 

舞台「関数ドミノ」

 REVIEW

何をどこから信じるかはその人次第。それは観客だけではなく、登場人物さえも同じこと。総てが虚構の演劇の世界の中にも入れ子状になった嘘があって、非現実がある。私達がそう思いながら舞台上の人間たちを観ていると同時に、舞台上の人物たちも私達の様子を伺いながら、それでも真実化どうかを試してくる。『関数ドミノ』はそんな不思議な肌触りだった。

それほど込み入った話ではない。ただ、ある特定の人物が強く願ったことが真実になるということが露呈した世界で、自分がその特定の人物でなかったということで自己肯定すること、その力を意識して生きるということをする人びとがどう振る舞うのかを表現しただけ。ある人は自分が不幸なのは仕方がないことと納得し、ある人はその力で不治の病を治してしまう。同じ信心に起因しているにも関わらず、前者は理解できても後者はあり得ないと感じるのはそこに現実感が伴っていないから。でも、その現実も「ないことを証明」できなければ真実ではない。それはほとんど難しい。

観劇後なにかがずっと引っかかっていて、それを考えていたのだけれどおそらくそれはこの作品の「教訓らしさ」に違和感を感じたからかなと思う。ネガティブでいてはいけない。ポジティブにいなければというような、至極真っ当な考えがどこか作品全体の雰囲気とあっていない気がした。だからなんだと言われればそれまでだけど。

Dステということで、瀬戸くんもいけぴもずっきーも良かったのだけど、今回一番印象に残っているのは山田くんかな。朴訥でなにかどこかがズレている土呂のキャラクターととても良く合っていた。あと勝村さんは最高に面白くて渋いおじさんという感じがして良かった。すき。

これから全国を回っていくと思うので、ぜひ見る機会があれば観てほしい。すべては気から。ドミノ一個。